ファイナンス理論 · 第3回 · 動画8 · インタラクティブ教材

二百万ドルの賞金が百万ドルに届かない理由:年金現価係数

I重要な公式

公式名称わかること
PV=Cr−Cr1(1+r)T\text{PV} = \dfrac{C}{r} - \dfrac{C}{r}\dfrac{1}{(1+r)^T}年金(アニュイティ)の現在価値今から始まる永久年金から、時点 TT の後を引き継ぐ永久年金を引いたもの
ADF(r,T)≡1r[1−1(1+r)T]\text{ADF}(r,T) \equiv \dfrac{1}{r}\left[1 - \dfrac{1}{(1+r)^T}\right]年金現価係数1期あたり $1 を TT 期間受け取る流れの今日の価値。rr と TT だけで決まる一つの数
PV=C×ADF(r,T)\text{PV} = C \times \text{ADF}(r,T)支払い額から価値を求める宝くじの賞金:支払い額に係数をかける
C=PVADF(r,T)C = \dfrac{\text{PV}}{\text{ADF}(r,T)}価値から支払い額を求める住宅ローンの返済額:借入額を係数で割る

ポイント:この係数は金利とキャッシュフローを切り分けます。残る量は PV\text{PV}、CC、ADF(r,T)\text{ADF}(r,T) の三つで、どれか二つがわかれば三つ目が決まります。また 1/(1+r)T→01/(1+r)^T \to 0 なので、係数は永久年金の係数 1/r1/r に向かって増え続けますが、決して届きません。

II金利と期間ごとに一つの数

表の各値は、支払い額にかける一つの数です。期間が長いほど大きく、金利が高いほど小さくなります。

💡 印刷された金利表には整数と0.5刻みのパーセントしか載っていなかったので、年 834%8\tfrac{3}{4}\% のような金利の行はありませんでした。表は公式から計算したもので、その逆ではありません。表にない値も、公式を一度計算すれば求まります。

III当選者は百万長者か

$100,000 の支払い20回の合計は $2,000,000 ですが、その今日の価値は $1,000,000 に届きません。

IV住宅ローンの返済額

係数を逆向きに使います。借入額を ADF(r,T)\text{ADF}(r,T) で割ったものが、銀行が毎月求める返済額です。

V確認クイズ

問1 · 支払いの流れの価値

条件:ある賞金は毎年 $20,000 を10年間支払い、最初の支払いは今日から1年後です。r=8%r = 8\% で、ADF(8%,10)=6.71008\text{ADF}(8\%, 10) = 6.71008 です。この賞金の現在価値を求めてください。

✅ 正解です! $20,000 × 6.71008 = $134,201.60 なので、賞金の今日の価値は $134,202 です。支払い総額 $200,000 の約3分の2です。
❌ それは係数で割っています。 割ると現在価値が支払い額に変わります。これは住宅ローンの向きです。ここでは支払い額がわかっていて価値を求めるので、かけます。
❌ $200,000 は支払われる総額で、賞金の価値ではありません。 10の異なる時点に届く10回の支払いは、単純には足せません。どの支払いも額面より価値が小さいのです。
❌ $250,000 は C/rC/r で、支払いが永久に続く場合の価値です。 10年は永久にはほど遠く、ADF(8%,10)=6.71008\text{ADF}(8\%,10) = 6.71008 は上限 1/r=12.51/r = 12.5 を大きく下回ります。
解答を見る

支払い額がわかっていて価値を求めるので、かけます。

PV=C×ADF(r,T)=20,000×6.71008=134,201.60\text{PV} = C \times \text{ADF}(r,T) = 20{,}000 \times 6.71008 = 134{,}201.60

賞金の今日の価値は $134,202 です。この数の大きさを二つの方法で確かめます。

  • 割り引く前の合計 $200,000 より小さいはずです。割引は各支払いを小さくするだけだからです。
  • 永久年金の価値 C/r=20,000/0.08=250,000C/r = 20{,}000/0.08 = 250{,}000 より小さいはずです。10年分の支払いは、永久に続く支払いより価値が小さいからです。

問2 · 住宅ローンの返済額

条件:$300,000 の住宅ローンを30年間毎月返済します。提示金利は年7.2%なので、月あたりの金利は 0.6%0.6\%、ADF(0.006,360)=147.32136\text{ADF}(0.006, 360) = 147.32136 です。毎月の返済額を求めてください。

✅ 正解です! $300,000 ÷ 147.32136 = $2,036.36 が毎月の返済額です。1期は1か月なので、金利は月あたりの金利、TT は月数です。
❌ $833.33 は $300,000 ÷ 360 です。 銀行が利息をまったく取らない場合の返済額で、係数をまったく使っていません。
❌ $1,800 は1か月分の利息 0.006×300,0000.006 \times 300{,}000 です。 これを永久に払うのは永久年金の支払い C=PV×rC = \text{PV} \times r で、元本は1セントも返済されません。30年の住宅ローンでは、元本を完済しなければなりません。
❌ それは年1回の返済額を12等分したものです。 ADF(7.2%,30)=12.16375\text{ADF}(7.2\%, 30) = 12.16375 なら年間の返済額は $24,663.45、月あたり $2,055.29 です。しかし毎月の支払いは毎月割り引くので、rr と TT はどちらも月単位でなければなりません。
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借入額が現在価値で、返済額を求めるので、割ります。

C=PVADF(r,T)=300,000147.32136=2,036.36C = \frac{\text{PV}}{\text{ADF}(r,T)} = \frac{300{,}000}{147.32136} = 2{,}036.36

支払いは毎月なので、1期は1か月です。月あたり r=7.2%/12=0.6%r = 7.2\%/12 = 0.6\%、支払い回数は T=30×12=360T = 30 \times 12 = 360 回です。係数を直接計算すると、

ADF(0.006,360)=10.006[1−11.006360]=147.32136\text{ADF}(0.006, 360) = \frac{1}{0.006}\left[1 - \frac{1}{1.006^{360}}\right] = 147.32136

答えは月 $2,036.36 です。年単位で計算すると $2,055.29 になります。正しそうに見えるほど近い値ですが、誤りです。

問3 · 百万長者かどうか

条件:ある宝くじの賞金は毎年 $60,000 を25年間支払い、最初の支払いは今日から1年後です。r=8%r = 8\% で、ADF(8%,25)=10.67478\text{ADF}(8\%, 25) = 10.67478 です。

賞金の今日の価値はいくらですか。

支払いが永久に続くとしたら、賞金の価値はいくらですか。

✅ 正解です! 25回の支払いの価値は $640,487 で、同じ支払いが永久に続けば $750,000 です。25年で、すでに無限に続く流れの85%に達しています。そして、どちらも100万ドルには届きません。
❌ 現在価値を確かめましょう。 支払い額がわかっているので、係数をかけます。$1,500,000 は割り引く前の合計、$750,000 は C/rC/r、$5,621 はかけるべきところで割っています。
❌ 永久年金を確かめましょう。 永久に続く支払いの価値は C/rC/r で、C×rC \times r でも、限りなく大きな額でもありません。割引によって各支払いが十分速く小さくなるので、和は収束します。
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ステップ1:25年間の賞金。支払い額に係数をかけます。

PV=60,000×10.67478=640,486.80\text{PV} = 60{,}000 \times 10.67478 = 640{,}486.80

ステップ2:同じ支払いが永久に続く場合。TT が大きくなると 1/(1+r)T→01/(1+r)^T \to 0 となり、係数は上限 1/r=12.51/r = 12.5 に近づきます。

PV∞=Cr=60,0000.08=750,000\text{PV}_\infty = \frac{C}{r} = \frac{60{,}000}{0.08} = 750{,}000

したがって賞金の価値は $640,487 で、永久に続いても $750,000 です。25回の支払いの合計は $1,500,000 になりますが、どちらで数えても当選者は百万長者ではありません。

問4 · いくらの家が買えるか

条件:予算は月 $1,500 を360か月です。月 0.5%0.5\% なら係数は 166.79161166.79161 なので、$250,187 を借りられます。その後、金利が月 0.75%0.75\% に上がり、係数は 124.28187124.28187 になりました。同じ月 $1,500 でいくら借りられるかを求めてください。

✅ 正解です! $1,500 × 124.28187 = $186,423 です。月0.25ポイントの上昇で、予算は同じでも借りられる額が $63,764 減ります。
❌ $540,000 は 1,500 × 360 です。 360の異なる時点に支払う360回の支払いを、すべて今日支払うかのように足しています。
❌ 予算は変わりませんが、それで買えるものは変わります。 係数が 166.79161 から 124.28187 に下がったので、毎月の支払い1ドルあたりで借りられる額が減ります。
❌ それは借入額を金利の比 0.005/0.00750.005/0.0075 で縮めています。 係数がちょうど 1/r1/r なら正しいのですが、かっこの中の 1−1/(1+r)T1 - 1/(1+r)^T も rr とともに大きくなるので、実際の減り方はもっと小さくなります。
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ここでは支払い額と係数がわかっているので、かけます。宝くじの賞金と同じ向きの計算を、借りられる額として読むのです。

PV=C×ADF(r,T)=1,500×124.28187=186,422.81\text{PV} = C \times \text{ADF}(r,T) = 1{,}500 \times 124.28187 = 186{,}422.81

この予算で借りられるのは $250,187 ではなく $186,423 で、$63,764 の減少です。

なぜ金利の比ではないのでしょうか。係数が 1r\tfrac{1}{r} になるのは、極限 T→∞T \to \infty のときだけです。0.5%0.5\% のときに借りられる額を 0.005/0.00750.005/0.0075 倍するのはこの極限を仮定することで、$166,792 となり、借りられる額を過小に見積もります。有限の360か月では、かっこの中の 1−1/(1+r)T1 - 1/(1+r)^{T} は金利が高いほど1に近く(0.93210.9321 対 0.83400.8340)、それが 1/r1/r の低下の一部を打ち消すのです。

正解数:0 / 4