ファイナンス理論 · 第4回 · 動画2 · インタラクティブ教材
損失は誰が負うのか:ノンリコース、利下げ、そしてリーマンの週末
I重要な公式
ポイント:損失は移るだけで、消えはしません。返済を放棄して手放せば損失は貸し手に、利下げならドルを持つすべての人に、救済なら納税者に渡ります。リーマンの問題は、それを渡せる相手が誰もいなかったことです。
II金利の見直し
ティーザー金利(当初優遇金利)で月$300だった返済額が、同じ家、同じ借金のまま$1,000になります。
💡 金利が見直される時点で、正味資産はすでになくなっています。しかも元の水準に戻るだけで、およそ20年分の返済が必要です。そこで次の問いは、借り手がただ支払いをやめられるのか、ということになります。
III損失の行き着く先
損失は消えません。最後にそれを抱えている人のところで止まります。
IV6.95%は高い金利か?
住宅ローンの金利が高いかどうかは、その月ではなく、過去の記録全体に照らして判断する問題です。
💡 利下げはすべての借り手に等しく届くわけではありません。大量のデフォルトでサブプライムの信用供与が引き揚げられると、本当は信用力が高いのにプライムの基準を満たさない借り手がしわ寄せを受けます。それでも均衡においては、どのタイプの借り手も、自分のシグナルに見合った価格を払います。
V確認クイズ
問1 · 金利見直しを金額で見る
条件:ティーザー金利での返済額が月$300の変動金利型住宅ローンがあります。1年後に金利が見直され、返済額は月$1,000になります。同じ家、同じ借金で、2年目に借り手が支払う額はどれだけ増えますか?
✅ 正解です! 年額にすると、ティーザー金利の1年は
12×300=3,600 、2年目は
12×1000=12,000 なので、金利の見直しによって、同じ家計から同じ家のために$8,400多く出ていきます。
❌ それは1年分ではなく1か月分です。 $1,000 − $300 = $700は月々の増加額で、その12か月分は
12×700=8,400 です。
❌ $12,000は2年目の支払い総額です。 1年目にもすでに$3,600払っていて、問われているのは増加額です:
12,000−3,600=8,400 。
❌ 惜しい! まずそれぞれの返済額を年額に直してください:
12×300=3,600 と
12×1000=12,000 です。
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それぞれの返済額を年額に直し、差をとります:
12×300=3,600,12×1000=12,000
ΔP=12,000−3,600=8,400
資産も借金も何ひとつ変わっていません。見直されたのはローンの金利だけです。借り手は、市場価格がすでにローン残高を下回った家のために、年に$8,400多く払うことになります。だからこそ正味資産はなくなり、元の水準に戻るだけでおよそ20年分の返済が必要になるのです。
問2 · 不足額を負うのは誰か
条件:ノンリコースの州の借り手が支払いをやめ、鍵を返します。貸し手は家を差し押さえ、家はローン残高より安く売れました。不足額はどうなりますか?
✅ 正解です! ノンリコースとは、貸し手が押さえられるのは担保だけということです。貸し手にできるのはせいぜい物件を取り上げて売ることで、
D=max(0,L−V) は貸し手のところで止まります。給料や貯金は、その請求権の外にあります。
❌ それはリコース・ローン(遡及型融資)です。 州によっては、貸し手が不足額を借り手に請求できます。だからこそ答えは州法とローンの契約書次第なのです。ノンリコースの住宅ローンでは、家が貸し手の請求権のすべてです。
❌ 普通の住宅ローンに、そのような損失保証はありません。 2008年の支援が向かったのはベア・スターンズ、ファニーメイ、フレディマックといった企業で、個々のローンの担保ではありません。しかもFRBは、リーマンの売却に損失保証をつけることすら拒みました。
❌ 売却は値洗いではありません。 値洗いは帳簿上の価値を書き下げるだけですが、差し押さえ売却は損失を現金で実現させる取引です。その後、誰かがその損失を抱えなければなりません。
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ローン残高を L 、売却価格を V として、不足額を売却時の差額で表します:
D=max(0,L−V)
住宅ローンの契約が決めるのは D を誰が負うかであって、 D の大きさではありません:
- ノンリコース(多くの州):貸し手は家を担保に取っていますが、押さえられるのはその家だけです。差し押さえて売り、 D を自ら負います。
- リコース(それ以外の州):貸し手は D を借り手の給料や貯金から取り立てることもできます。
返済を放棄して手放すのにも代償はあります。債務不履行(デフォルト)は借り手の信用履歴に残り、経験則ではその期間は5年か7年です。それでもノンリコースの州では、家を超える現金の損失は貸し手のものです。
問3 · 金利を過去の記録と比べる
条件:30年固定金利型住宅ローンの金利は、1981年10月に週平均 18.63% でピークをつけ、1980年代半ばにはおよそ 10% で推移し、2026年9月中旬の平均は 6.95% でした。
1981年のピークは、2026年9月の平均の何倍でしたか?
では、1980年代半ばの金利を同じように測ると?
✅ 正解です! 18.63/6.95=2.68 、
10/6.95=1.44 です。過去最高の金利は今日の金利の2.5倍を超え、若い買い手には手が届かなかった1980年代半ばの金利は、今日より約44%高い水準でした。
❌ 倍率は割り算で求めるもので、差ではありません。 18.63%−6.95%=11.68 パーセントポイントで、
11.68/6.95=1.68 はピークがどれだけ高かったか(増加率)を表します。何倍だったかより、ちょうど1小さい値です。
❌ 昔の金利を今日の金利で割ってください。 10/6.95=1.44 です。逆に割ると
6.95/10=0.70 、引き算をすると
3.05 パーセントポイントになります。
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「高い」という言葉は、比べる相手がなければ意味を持ちません。そこで、過去のそれぞれの金利を現在の金利で割ります:
6.95%18.63%=2.68,6.95%10%=1.44
パーセント記号は分子と分母で打ち消し合うので、答えは単純な倍率になります。ピークは2026年9月の平均の2.5倍を超え、若い助教授には家が買えないほど高かった1980年代半ばの水準は、その1.44倍でした。
よくある2つの間違いは、誤りの選択肢に表れています。割り算の代わりに引き算をすると 11.68 パーセントポイント(それを割ると 1.68 で、これは増加の割合です)になり、比を逆にすると 6.95/18.63=0.37 になります。
問4 · 破産申請前の週末
条件:リーマン・ブラザーズは米連邦準備制度(FRB)に助けを求めましたが、断られました。バークレイズはFRBが損失を保証するなら買うという姿勢でしたが、FRBはこれを拒みました。債務の返済期限が迫り、24〜48時間のうちに売却をまとめることもできず、リーマンは連邦破産法第11章(チャプター・イレブン)の適用を申請しました。リーマンの立場と、ノンリコースの州の住宅の持ち主の立場を分けるものは何ですか?
✅ 正解です! ノンリコースの住宅ローンでは、損失を負う相手が前もって決まっています。鍵を渡せば、不足額は貸し手のもとに残ります。リーマンには、そうした義務を負う取引相手がいませんでした。FRBは断り、バークレイズは損失保証がなければ買わず、損失は破産裁判所が引き取るまで、そのまま残ったのです。
❌ それでは保護の向きが逆です。 ノンリコースは貸し手が押さえられるものを担保に限り、それによって借り手を守ります。リーマンの困難は、債権者が制限されていたことではなく、残った損失を引き受ける義務を負う者が誰もいなかったことです。
❌ FRBは動けましたが、動かないことを選んだのです。 FRBはベア・スターンズの損失を保証し、ファニーメイとフレディマックも支えていました。リーマンを断ったのは、同じ納税者にもう一度救済を求めることと、それに続く反発についての判断でした。
❌ 損失を現実のものにしたのは値洗いではありません。 債務の返済期限が24〜48時間以内に迫り、現金を用意しなければなりませんでした。まさにそのとき、値洗いの数字は誰か別の人のスプレッドシートの上の数字ではなくなるのです。
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それぞれの場合に、損失がどこへ行きうるかをたどります。
住宅の持ち主。この問いには住宅ローンの契約がすでに答えています。ノンリコースの州では、貸し手が押さえているのは家だけなので、鍵を渡せば、契約に基づいて D=max(0,L−V) が貸し手に移ります。
リーマン。週末のうちに3つの道が試され、3つとも閉ざされました。FRBは融資を断り、バークレイズはFRBの損失保証があるときだけ買収を進めるとし、FRBはそれを拒みました。納税者はすでにベア・スターンズ、ファニーメイ、フレディマックのために負担を求められていて、もう一度求められることはありませんでした。
債務の満期が24〜48時間以内に迫り、買い手もいない以上、残された道は破産申請でした。住宅の持ち主には、契約上損失を引き受ける義務を負う相手がいました。リーマンには誰もいなかったのです。
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