ファイナンス理論 · 第5回 · 動画1 · インタラクティブ教材

債券市場の全体像:61.2兆ドル市場の主役は住宅ローンから米国債へ

I重要な公式

公式名称説明
V0=∑t=1TCFt(1+r)tV_0 = \sum_{t=1}^{T} \dfrac{\text{CF}_t}{(1+r)^t}債券(フィックスト・インカム)の価値どの CFt\text{CF}_t も、決まった日に支払われると約束された額です。デフォルトや不確実性をひとまず脇に置けば、現在価値で価格が付けられます
シェアi=xi∑jxj\text{シェア}_i = \dfrac{x_i}{\sum_j x_j}セクターのシェアあるセクターの数字を、同じ尺度の合計で割ったもの。例:2006年の債務残高では 6,400.4/26,732.2≈24%6{,}400.4 / 26{,}732.2 \approx 24\%
dAdt=発行額−償還額\dfrac{dA}{dt} = \text{発行額} - \text{償還額}ストックとフロー残高 AA はある時点の水準(ストック)です。発行額は1年あたりの新たな債務(フロー)で、AA を変えるのは、返済された債務を上回る分だけです
61.2160.7≈38.1%\dfrac{61.2}{160.7} \approx 38.1\%世界の債券に占める米国のシェア(2025年)どちらも残高で、単位は兆ドルです。160.7の3分の1は約53.6なので、米国は3分の1をゆうに超えています

ポイント:どの時期でも、ストックとフローは同じ首位セクターを示します。2006年は住宅ローン関連債(残高の24%、発行額の34%)、今日は米国債です(2026年8月の残高は約31.8兆ドル、2025年の発行額は4.8兆ドル)。いまや、ペースを決めているのは政府の借入です。

II61.2兆ドルの大きさをつかむ

世界の債券160.7兆ドルのうち、米国の分はどれだけでしょうか。

IIIストックとフロー:2006年と今日

残高はストック、発行額はフローで、どちらの時期も両者は同じ首位セクターを示します。

IV確認クイズ

問1 · 米国以外の世界

条件:2025年の世界の債券残高は160.7兆ドル、米国の債券残高は61.2兆ドルでした。世界の債券のうち、米国以外の割合を求めてください。

✅ 正解です! 世界の合計にはすでに米国が含まれているので、残りは 160.7−61.2=99.5160.7 - 61.2 = 99.5 兆ドルで、99.5/160.7≈61.9%99.5 / 160.7 \approx 61.9\% です。
❌ それは米国のシェアです。 61.2/160.7≈38.1%61.2 / 160.7 \approx 38.1\% は逆の問いへの答えです。米国以外の部分は 100%−38.1%=61.9%100\% - 38.1\% = 61.9\% です。
❌ 米国を二重に数えているうえ、これは米国自身のシェアです。 61.2/(61.2+160.7)=61.2/221.9≈27.6%61.2 / (61.2 + 160.7) = 61.2 / 221.9 \approx 27.6\% は、世界の数字に米国が含まれていないかのように扱っており、その読み方をしても、測っているのは残りではなく米国の部分です。160.7兆ドルは米国を含む世界全体なので、残りは 99.5/160.7≈61.9%99.5 / 160.7 \approx 61.9\% です。
❌ 米国を二重に数えています。 160.7/221.9≈72.4%160.7 / 221.9 \approx 72.4\% は、160.7兆ドルを米国以外の世界として扱い、その上に米国を足しています。世界の数字には、米国の61.2兆ドルがすでに含まれています。
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世界の数字にはすでに米国が含まれているので、米国以外の世界はその差です:

160.7−61.2=99.5 兆ドル160.7 - 61.2 = 99.5 \ \text{兆ドル}

世界の合計に対する割合は:

99.5160.7≈0.619=61.9%\frac{99.5}{160.7} \approx 0.619 = 61.9\%

検算:米国のシェアは 61.2/160.7≈38.1%61.2 / 160.7 \approx 38.1\% で、38.1%+61.9%=100%38.1\% + 61.9\% = 100\% ✓。米国市場だけで世界の3分の1をゆうに超え、それ以外をすべて合わせても3分の2をわずかに下回ります。

問2 · どれだけ大きいか

条件:2006年末、住宅ローン関連債の残高は6兆4,004億ドル(市場の24%)、米国債の残高は4兆2,838億ドル(16%)でした。住宅ローン関連債は米国債市場全体より何%大きかったかを求めてください。

✅ 正解です! 6,400.4/4,283.8≈1.4946{,}400.4 / 4{,}283.8 \approx 1.494 なので、住宅ローン関連債は約49.4%大きく、丸めたシェアとも一致します:24/16=1.524 / 16 = 1.5。
❌ それはパーセントポイントの差です。 24%−16%=824\% - 16\% = 8 は市場全体に対するポイントの差です。米国債市場自体の大きさと比べると、差は 2,116.6/4,283.8≈49.4%2{,}116.6 / 4{,}283.8 \approx 49.4\% です。
❌ 基準が違います。 2,116.6/6,400.4≈33.1%2{,}116.6 / 6{,}400.4 \approx 33.1\% は、米国債が住宅ローン関連債より何%小さいかを表します。「米国債市場より大きい」なら、分母は米国債の額です。
❌ それは比率で、増加分ではありません。 6,400.4/4,283.8≈1.4946{,}400.4 / 4{,}283.8 \approx 1.494 は、住宅ローン関連債が米国債市場の149.4%の大きさだったということで、つまり49.4%大きいということです。
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ステップ1:差(単位:10億ドル)。

6,400.4−4,283.8=2,116.66{,}400.4 - 4{,}283.8 = 2{,}116.6

ステップ2:米国債市場に対する差の割合。比べる基準は米国債市場です:

2,116.64,283.8≈0.494=49.4%\frac{2{,}116.6}{4{,}283.8} \approx 0.494 = 49.4\%

比で見ても同じです:6,400.44,283.8≈1.494\dfrac{6{,}400.4}{4{,}283.8} \approx 1.494 で、1.494−1=0.4941.494 - 1 = 0.494。

シェアで検算:どちらの額も同じ合計 26,732.226{,}732.2(単位:10億ドル)に対するシェアなので、額の比はシェアの比に等しくなります。丸めたシェアでは 24/16=1.524/16 = 1.5、つまり約50%大きく、丸めの分を考えれば一致します。24%と16%の差の8は、市場全体に対するパーセントポイントの差であって、米国債市場に対する%ではありません。

問3 · 前年のフローと米国債のシェア

条件:2025年の米国の長期債の発行額は11.5兆ドルで、前年比9.7%の増加でした。そのうち4.8兆ドルを米国財務省が発行しました。

2024年の長期債の発行額はいくらでしたか?

2025年の長期債の発行額のうち、米国債の割合はどれだけですか?

✅ 正解です! 2024年の発行額は 11.5/1.097≈10.4811.5 / 1.097 \approx 10.48 兆ドルで、米国財務省の4.8兆ドルは2025年のフローの 4.8/11.5≈41.7%4.8 / 11.5 \approx 41.7\% です。
❌ 違う年の9.7%です。 増加分は2024年の額の9.7%なので、割り算で元に戻します:11.5/1.097≈10.4811.5 / 1.097 \approx 10.48。1−0.0971 - 0.097 を掛けると、代わりに2025年の額の9.7%を引くことになります:11.5×0.903≈10.3811.5 \times 0.903 \approx 10.38。
❌ それは2025年の額をさらに9.7%増やしています。 11.5×1.097≈12.611.5 \times 1.097 \approx 12.6 は1年先を見ています。11.5兆ドルはすでに増えた後の数字なので、1.0971.097 で割って戻します。
❌ それは2025年の額の9.7%で、水準ではありません。 11.5×0.097≈1.111.5 \times 0.097 \approx 1.1 は増加分を、しかも違う基準で測っています。問われているのは2024年の合計です:11.5/1.097≈10.4811.5 / 1.097 \approx 10.48。
❌ フローをストックで割っています。 4.8/61.2≈7.8%4.8 / 61.2 \approx 7.8\% は、1年間に新たに発行された米国債を残高全体と比べています。2025年の発行額に占める割合なら、2025年の発行額11.5兆ドルで割ります。
❌ 2024年の合計で割っています。 4.8/10.48≈45.8%4.8 / 10.48 \approx 45.8\% は2つの年を混ぜています。米国財務省の2025年の発行額は、2025年の発行額に対する割合として見ます。
❌ 丸めたセクター別の数字の合計で割っています。 6つのセクターの数字を足しても約 11.4011.40 兆ドルにしかならず、4.8/11.40≈42.1%4.8 / 11.40 \approx 42.1\% です。セクター別の数字は丸められていて、合計とぴったり一致しません。示された合計は11.5兆ドルです。
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ステップ1:増加を元に戻す。「前年比9.7%の増加」は I2025=I2024×(1+0.097)I_{2025} = I_{2024} \times (1 + 0.097) という意味なので、

I2024=11.51.097≈10.48 兆ドル≈10.5 兆ドルI_{2024} = \frac{11.5}{1.097} \approx 10.48 \ \text{兆ドル} \approx 10.5 \ \text{兆ドル}

検算:10.48×1.097≈11.5010.48 \times 1.097 \approx 11.50 ✓。代わりに 11.511.5 に 0.9030.903 を掛けると、新しい額の9.7%を引くことになり、10.3810.38 と小さすぎる値になります。

ステップ2:同じフローに占める米国債のシェア。分子も分母も2025年の発行額です:

4.811.5≈0.417=41.7%\frac{4.8}{11.5} \approx 0.417 = 41.7\%

分母に使いたくなる誤りが2つあります。61.2兆ドルは残高、つまりストックで、1年間の発行額ではありません。また、6つのセクター別の数字 4.8+2.2+1.9+1.4+0.5873+0.5174≈11.404.8 + 2.2 + 1.9 + 1.4 + 0.5873 + 0.5174 \approx 11.40 は丸められていて、示された合計11.5兆ドルに届きません。

問4 · 新しい証券を分類する

条件:動画には出てこない2つの証券があります。(1) あるファイナンス会社が何千件もの設備リース契約をプールにまとめ、その支払いへの請求権を売る。(2) カナダ政府が債券を発行する。それぞれを分類してください。

設備リースのプール:2006年のデータの7つのセクターのどれですか?

カナダ政府の債券:標準的な6つのカテゴリーのどれですか?

✅ 正解です! 住宅ローン以外の資産をプールにまとめて請求権として売れば資産担保証券です。また、国債のカテゴリーには、ドイツ連邦債、日本国債、英国のギルト債といった海外の同等品も含まれます。
❌ 仕組みは同じでも、裏付けが違います。 住宅ローン関連債は、あくまで住宅ローンのプールへの請求権です。リースのプールは資産担保証券で、統計では両者を別々に数えます。
❌ 何に対する請求権かを見てください。 売り手は会社ですが、投資家が持つのはリースのプールから生じる支払いへの請求権で、その会社自身の社債や手形ではありません。住宅ローン以外の資産のプールは、資産担保証券のセクターになります。
❌ 短期金融市場は短期の証券です。 このセクターにはコマーシャル・ペーパーのような短期の証券が入ります。住宅ローン以外の資産のプールから生じる支払いへの請求権は、統計では資産担保証券として数えられます。
❌ 政府機関は政府そのものではありません。 政府機関債は、連邦住宅貸付銀行、ファニーメイ、フレディマックといった連邦政府機関や政府支援機関が発行するものです。国の政府そのものが発行する債券は、米国債に相当する国債です。
❌ 地方債は州や地方自治体のものです。 地方債は州や地方自治体が発行します。カナダの中央政府が発行するのは、米国債の海外の同等品です。
❌ 発行体は会社ではなく政府です。 国の政府の債券は、米国債とその海外の同等品と同じカテゴリーに入ります。
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設備リースのプール → 資産担保証券。資産担保証券は、どんな資産を裏付けにしてもかまいません。動画の例はクレジットカードの債権、自動車ローン、学生ローンで、リースのプールも同じ仕組みです。プールの支払いが請求権に回され、その請求権が投資家に売られます。住宅ローン関連債も同じ仕組みを持ちますが、あくまで住宅ローンに関するもので、統計では両者は別々のセクターとして数えられます。

カナダ政府の債券 → 国債。国債のカテゴリーには、米国の短期国債・中期国債・長期国債と、その海外の同等品であるドイツ連邦債、日本国債、英国のギルト債が入ります。カナダの中央政府の債券も、そうした同等品の一つです。政府機関債は米国の連邦政府機関や政府支援機関が、地方債は州や地方自治体が、社債等は企業が発行します。

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