ファイナンス理論 · 第5回 · 動画3 · インタラクティブ教材

利付債の価格:市場金利がクーポン・レートに等しいと、なぜ額面になるのか

I重要な公式

公式名称説明
C=c×FC = c \times Fクーポンクーポン・レート(表面利率) cc は債券に書き込まれていて、支払額を決めます。市場がどう動いても、毎年 C=0.05×1,000=50C = 0.05 \times 1{,}000 = 50 です
P0=C1+r+C(1+r)2+C+F(1+r)3P_0 = \dfrac{C}{1+r} + \dfrac{C}{(1+r)^2} + \dfrac{C+F}{(1+r)^3}3年物の利付債の価格日付のついた各キャッシュフローを、市場金利 rr で今日まで割り引きます。r=5%r = 5\% なら各項はセント単位で 47.62、45.35、907.03 で、価格はちょうど$1,000です
r=c  ⟹  P0=Fr = c \;\Longrightarrow\; P_0 = FパーrF=CrF = C:額面に対する市場金利での1年分の利息が、ちょうどクーポンに等しくなります。r<cr \lt c なら割引係数はどれも大きくなって P0>FP_0 \gt F、つまりオーバーパーです。r>cr \gt c なら P0<FP_0 \lt F で、アンダーパーです
dt=1(1+r)td_t = \dfrac{1}{(1+r)^t}割引係数時点 tt に支払われる1ドルの今日の価格です。債券をオークションにかけると決まる、日付の違うドルどうしの交換レートです

ポイント:クーポン・レートはキャッシュフローを決め、市場金利はそれに価格をつけます。債券がパーで取引されるのは、2つの率が等しいときに限ります。そのとき、$1,000に対する1年分の利息が、ちょうど$50のクーポンになるからです。

II価格を決めるのは市場金利

5%のクーポンはキャッシュフローを決めます。価格を動かすのは、それを割り引く市場金利 rr だけです。

クーポン・レート 5%(債券で固定)

IIIなぜちょうどパーなのか:1年ずつさかのぼる

r=5%r = 5\% なら$1,000に対する1年分の利息は$50のクーポンに等しいので、1年さかのぼるたびに$1,000に着地します。

💡 この議論は、債券が3年物であることにまったく依存しません。r=cr = c なら、どの満期からさかのぼっても、クーポンの各支払日に額面へ着地するので、債券はパーで取引されます。

IVもう一つの答え方:オークションにかける

オークションで決まる価格は現在価値です。日付のついた各支払いを、市場の割引係数で今日のドルに換算した額です。

💡 市場がすべての時点を同じ率で割り引く必要はありません。市場は各時点の1ドルに別々に価格をつけます。その価格を直接見せてくれるのが、ゼロクーポン債です。

V確認クイズ

問1 · 3年物の債券の価格

条件:額面$1,000、年6%のクーポンを払う3年物の債券があり、市場金利は r=4%r = 4\% です。この債券の今日の価格を求めてください。

✅ 正解です! クーポンは C=0.06×1,000=60C = 0.06 \times 1{,}000 = 60 で、各支払いを市場金利で割り引きます:P0≈57.69+55.47+942.34=1,055.50P_0 \approx 57.69 + 55.47 + 942.34 = 1{,}055.50。市場金利がクーポン・レートより低いので、債券はオーバーパーになります。
❌ それはクーポン・レートで割り引いています。 6%のクーポンが決めるのは$60の支払いで、それを割り引くのは4%の市場金利です。クーポン・レートで割り引けば、仕組み上かならず額面に戻ります。
❌ 最後の支払いはクーポンと元本の合計です。 時点3に債券が払うのは$60 + $1,000 = $1,060で、$1,000ではありません。
❌ 支払いにはそれぞれの日付があります。 $1,180の全額を3年分割り引くと、クーポンがどれも時点3に届くものとして扱うことになります。時点1のクーポンは1年分、時点2のクーポンは2年分だけ割り引きます。
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支払いを決めるのはクーポン・レートです。時点1と2には C=0.06×1,000=60C = 0.06 \times 1{,}000 = 60、時点3には C+F=1,060C + F = 1{,}060 が支払われます。これを市場金利で割り引きます:

P0=601.04+60(1.04)2+1,060(1.04)3≈57.69+55.47+942.34=1,055.50P_0 = \frac{60}{1.04} + \frac{60}{(1.04)^2} + \frac{1{,}060}{(1.04)^3} \approx 57.69 + 55.47 + 942.34 = 1{,}055.50

価格は$1,055.50です。市場金利(4%)がクーポン・レート(6%)より低いので、債券はオーバーパーになります。$1,000に対する市場での1年分の利息は$40にすぎないのに、この債券は毎年$60を払うからです。

問2 · 金利は下がっても、クーポンは下がらない

条件:あなたは動画の債券(額面$1,000、クーポン・レート5%、満期まで3年)を、市場金利が5%のときにパーで買って保有しています。その同じ日に、市場金利が4%に下がりました。

時点1に債券が払う額はいくらですか?

では、債券の価格はどうなりますか?

✅ 正解です! クーポンは債券に書き込まれているので、$50のままです。市場金利が下がると、分母がどれも小さくなります:P0=501.04+50(1.04)2+1,050(1.04)3≈1,027.75P_0 = \frac{50}{1.04} + \frac{50}{(1.04)^2} + \frac{1{,}050}{(1.04)^3} \approx 1{,}027.75 で、オーバーパーです。
❌ クーポンは市場に連動しません。 $50は額面の5%で、債券に印刷されています。新しい4%の金利が変えるのは、市場がその$50をどう割り引くかだけです。
❌ それは支払額ではなく現在価値です。 時点1のクーポンの今日の価値は、4%なら$48.08(5%なら$47.62)ですが、債券が時点1に支払うのは変わらず$50です。
❌ 額面は固定されていますが、価格は固定されていません。 価格は$50、$50、$1,050の現在価値で、割引率が下がれば、その項はどれも大きくなります。
❌ 向きが逆です。 金利が下がると各分母 (1+r)t(1+r)^t が小さくなるので、各割引係数も、各現在価値も大きくなります。
❌ 惜しいのですが、毎年の余分な$10も割り引く必要があります。 $1,000に対する市場の利息が$40のところ、債券は$50を払います。その余分な$10の支払い3回分の今日の価値は 101.04+10(1.04)2+10(1.04)3≈27.75\frac{10}{1.04} + \frac{10}{(1.04)^2} + \frac{10}{(1.04)^3} \approx 27.75 で、30ではありません。
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支払額。 クーポン・レートは契約の一部です。市場金利がどう動いても、時点1と2には C=0.05×1,000=50C = 0.05 \times 1{,}000 = 50、時点3には$1,050が支払われます。

価格。 市場はいま、まったく同じキャッシュフローを r=4%r = 4\% で割り引きます:

P0=501.04+50(1.04)2+1,050(1.04)3≈1,027.75P_0 = \frac{50}{1.04} + \frac{50}{(1.04)^2} + \frac{1{,}050}{(1.04)^3} \approx 1{,}027.75

どの項も5%のときより大きくなります。セント単位で、47.62が48.08に、45.35が46.23に、907.03が933.45になります(それぞれ丸めてから足すと1,027.76、丸めずに足すと1,027.75です)。債券はいまやオーバーパーで取引されます。

額面を上回る分を別の道で求める。 $1,000に対する市場での1年分の利息は$40にすぎないのに、債券は毎年$50を払います。余分な$10の支払い3回分の価値は

P0−F=101.04+10(1.04)2+10(1.04)3≈27.75P_0 - F = \frac{10}{1.04} + \frac{10}{(1.04)^2} + \frac{10}{(1.04)^3} \approx 27.75

なので、価格はおよそ$1,000 + $27.75 = $1,027.75となり、同じ答えになります。

問3 · 市場の割引係数から価格を求める

条件:市場は日付のついたドルに、今日の価格として、時点1に支払われる1ドルに$0.96、時点2の1ドルに$0.92、時点3の1ドルに$0.88をつけています。額面$1,000、年5%のクーポンを払う3年物の債券の価格を求めてください。

✅ 正解です! 各支払いを、それぞれの時点の価格で換算します:P0=50(0.96)+50(0.92)+1,050(0.88)=48+46+924=1,018P_0 = 50(0.96) + 50(0.92) + 1{,}050(0.88) = 48 + 46 + 924 = 1{,}018。この和こそ、債券のオークションが計算しているものです。
❌ クーポンが5%でも、パーになるとは限りません。 価格を決めるのは市場の割引係数で、ここではどれも5%のときの値(11.05≈0.952\frac{1}{1.05} \approx 0.952、1(1.05)2≈0.907\frac{1}{(1.05)^2} \approx 0.907、1(1.05)3≈0.864\frac{1}{(1.05)^3} \approx 0.864)より大きいので、どの支払いも今日の価値が高くなり、債券はオーバーパーになります。
❌ 時点3の支払いは$1,050で、$1,000ではありません。 最後のクーポンは元本と一緒に支払われます。
❌ 時点ごとに交換レートは違います。 $1,150の全額に時点3の係数を当てはめると、早く届くクーポンを過小評価してしまいます。
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割引係数は、将来の時点に支払われる1ドルの今日の価格なので、日付のついた各支払いは、掛け算で今日のドルに換算できます:

P0=50×0.96+50×0.92+1,050×0.88=48+46+924=1,018P_0 = 50 \times 0.96 + 50 \times 0.92 + 1{,}050 \times 0.88 = 48 + 46 + 924 = 1{,}018

債券の価格は$1,018で、オーバーパーです。市場の係数はどれも、対応する5%の係数(小数第3位までで0.952、0.907、0.864)より大きくなっています。これは、市場が5%のクーポン・レートより低い率で割り引いている、というのと同じことです。時点1の1ドルの価格が$0.96なら、r1=10.96−1≈4.17%r_1 = \frac{1}{0.96} - 1 \approx 4.17\% に当たります。

単一の金利は必要ありません。オークションは各時点のドルに別々に価格をつけ、現在価値はまさにその価格を使うのです。

問4 · 市場金利がクーポン・レートに等しい10年物の債券

条件:額面$1,000、年6%のクーポンを払う10年物の債券があり、市場金利も6%です。10個の項を書き出さずに、その価格を求めてください。

✅ 正解です! r=cr = c なら、$1,000に対する6%の1年分の利息は$60のクーポンに等しいので、10年目からさかのぼると、どの時点でも$1,000に着地します。年金の公式でも同じ結果になります。クーポンの価値は441.61、元本は558.39で、合計は1,000.00です。
❌ それはキャッシュフローを割り引かずに足しています。 $60のクーポン10回と元本$1,000で$1,600になりますが、時点10の1ドルは今日の1ドルよりずっと価値が低いのです。
❌ それは元本だけの価値です。 1,000(1.06)10≈558.39\frac{1{,}000}{(1.06)^{10}} \approx 558.39。10回の$60のクーポンには、今日の価値でさらに441.61あります。
❌ それはクーポンだけの価値です。 年金としての価値は 600.06(1−1(1.06)10)≈441.61\frac{60}{0.06}\left(1 - \frac{1}{(1.06)^{10}}\right) \approx 441.61 です。時点10の元本$1,000には、さらに558.39の価値があります。
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債券を、$60のクーポン10回からなる年金(アニュイティ)と、時点10の元本に分けます。クーポンは額面に対する市場での1年分の利息に等しい、つまり C=rFC = rF なので、年金の Cr\frac{C}{r} はちょうど FF です:

P0=Cr(1−1(1+r)10)+F(1+r)10=F(1−1(1+r)10)+F(1+r)10=FP_0 = \frac{C}{r}\left(1 - \frac{1}{(1+r)^{10}}\right) + \frac{F}{(1+r)^{10}} = F\left(1 - \frac{1}{(1+r)^{10}}\right) + \frac{F}{(1+r)^{10}} = F

数値では 600.06=1,000\frac{60}{0.06} = 1{,}000、1(1.06)10≈0.558395\frac{1}{(1.06)^{10}} \approx 0.558395 なので、クーポンの価値は約441.61、元本は約558.39で、合計$1,000です。ここでは年数をまったく使っていないので、どの満期でも同じことが成り立ちます。

これは、1年ずつさかのぼる議論そのものです。r=cr = c なら、債券の価値はどのクーポンの支払い直後にも$1,000で、それが今日まで続きます。

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