ファイナンス理論 · 第5回 · 動画4 · インタラクティブ教材

割引債とストリップス債:債券価格に潜む金利の予想を読む

I重要な公式

公式名称必要なもの
P0=F(1+r)TP_0 = \dfrac{F}{(1+r)^T}割引債(純粋割引債)の価格額面 FF と金利 rr
r=(FP0)1/T−1r = \left(\dfrac{F}{P_0}\right)^{1/T} - 1価格が示す金利価格 P0P_0 と額面 FF
F=P0 (1+r)TF = P_0\,(1+r)^T価格と金利から求める額面金利 rr と価格 P0P_0
r>0,  T>0  ⇒  (1+r)T>1  ⇒  P0<Fr > 0,\; T > 0 \;\Rightarrow\; (1+r)^T > 1 \;\Rightarrow\; P_0 < F価格が額面を下回る理由正の金利

ポイント:満期 TT がわかっていれば、(P0, r, F)(P_0,\ r,\ F) の3つは独立ではありません。どれか2つで残りの1つが決まるので、市場価格から逆にたどって、その価格が示す金利を求められます。

II利付債を分離する

元利分離(ストリップ)によって、利付債の支払いの一つ一つが独立したゼロクーポン債になります。1つの金利で価格をつければ、その合計は元の債券の価格に等しくなります。

IIIなぜ額面を下回るのか、どこまで下回るのか

r>0r > 0 なら (1+r)T>1(1+r)^T > 1 なので、ゼロクーポン債の価格は額面を下回り、rr や TT が大きいほど、さらに下回ります。

IVどれか2つで残りの1つが決まる

TT がわかっていれば、P0P_0、rr、FF のうちどれか2つで残りの1つが決まります。

💡 価格 → 金利の向きの計算を市場価格に当てはめると、その価格が示す金利が求まり、そこには将来の金利の予想が暗に含まれています。2008年9月15日の月曜日、ローは米国債の価格とFFレート先物(フェデラルファンド金利先物)から、FRBが翌日に利下げすることを99.5%の確信度で読み取りました。火曜日、FRBは誘導目標を2%に据え置き、予想は外れました。

V確認クイズ

問1 · ゼロクーポン債の価格

条件:額面$1,000で T=5T = 5 年後に満期を迎える割引債(純粋割引債)があり、金利は年 r=4%r = 4\% です。今日の価格を求めてください。

✅ 正解です! (1.04)5=1.216653(1.04)^5 = 1.216653 で、$1,000を 1.2166531.216653 で割ると$821.93です。額面との差$178.07は、保有者が5年間で受け取る利息です。
❌ それは1年分しか割り引いていません。 支払いは5年後なので、額面を割る数は (1.04)5(1.04)^5 で、1.041.04 ではありません。
❌ それは$1,000を5年先へ成長させています。 額面は満期に支払われるので、今日の価格は成長の係数で割って求めます。F/(1+r)TF/(1+r)^T であって、F (1+r)TF\,(1+r)^T ではありません。金利が正なら、価格は$1,000を下回るはずです。
❌ それは単利です。 1+5×0.04=1.201 + 5 \times 0.04 = 1.20 は利息についた利息を無視しています。複利なら割る数は (1.04)5=1.2167(1.04)^5 = 1.2167 でもっと大きいので、価格はもっと低くなります。
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ゼロクーポン債の価格を、1行の式で求めます(単位はドル):

P0=F(1+r)T=1,000(1.04)5=1,0001.216653=821.93P_0 = \frac{F}{(1+r)^T} = \frac{1{,}000}{(1.04)^5} = \frac{1{,}000}{1.216653} = 821.93

このゼロクーポン債の今日の価格は$821.93です。r>0r > 0 なので (1.04)5>1(1.04)^5 > 1 となり、価格は額面$1,000を下回ります。差額の$178.07は、保有者が5年間待つことで得る利息です。

問2 · 価格から金利を読む

条件:T=10T = 10 年後に$1,000を支払う元本部分のストリップス債が、今日$675.56で取引されています。その価格が示す年あたりの金利を求めてください。

✅ 正解です! (1,000675.56)1/10−1=0.0400\left(\dfrac{1{,}000}{675.56}\right)^{1/10} - 1 = 0.0400 で、逆に価格を求めると 1,000(1.04)10=675.56\dfrac{1{,}000}{(1.04)^{10}} = 675.56 です。金利と価格は、このストリップス債についての同じ事実を表しています。
❌ それは10年間全体の収益率です。 1,000675.56−1=48.03%\dfrac{1{,}000}{675.56} - 1 = 48.03\%。年あたりの金利は、比の10乗根をとってから1を引きます。
❌ それは利息$324.44を額面で割り、さらに10で割っています。 金利は支払った価格に対してつき、しかも複利で増えます:r=(F/P0)1/T−1r = (F/P_0)^{1/T} - 1。
❌ 全体の 48.03%48.03\% を10で割ると、複利を無視することになります。 4.80%4.80\% で10年間成長させると、価格は額面を超えてしまいます:(1.048)10=1.598(1.048)^{10} = 1.598 で、$675.56 × 1.598 はおよそ$1,080となり、$1,000にはなりません。
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価格と額面がわかっているので、3つの向きのうち2つ目、金利を求める式を使います:

r=(FP0)1/T−1=(1,000675.56)1/10−1=(1.480253)0.1−1=0.0400r = \left(\frac{F}{P_0}\right)^{1/T} - 1 = \left(\frac{1{,}000}{675.56}\right)^{1/10} - 1 = (1.480253)^{0.1} - 1 = 0.0400

したがって、このストリップス債の価格は年 4.00%4.00\% の金利を示しています。

価格に戻して検算: 1,000(1.04)10=1,0001.480244=675.56\dfrac{1{,}000}{(1.04)^{10}} = \dfrac{1{,}000}{1.480244} = 675.56 で、提示された価格に一致します。

つい使いたくなる近道は、利息$324.44を$675.56で割って 48.03%48.03\%、それを10で割って 4.80%4.80\% とするものです。これは利息を単利として扱っています。全体の 48.03%48.03\% にはすでに利息についた利息が含まれているので、その10分の1では年あたりの金利を過大に見積もってしまいます。

問3 · 2年物の債券を分離する

条件:額面$1,000で、年1回 4%4\% のクーポンを払う2年物の債券を、ゼロクーポン債に分離します。どのゼロクーポン債も市場金利 r=3%r = 3\% で価格がつけられます。元本部分の価格と、次に債券全体の価格を求めてください。

元本部分の価値はいくらですか?

債券全体の価値はいくらですか?

✅ 正解です! 3つのストリップス債の価格は$38.83 + $37.70 + $942.60 = $1,019.13で、これが 3%3\% での債券の価格です。市場金利が 4%4\% のクーポン・レートより低いので、オーバーパーになります。
❌ 元本部分の価格ではありません。 元本部分は、2年後に$1,000を支払うゼロクーポン債です:1,000/(1.03)21{,}000/(1.03)^2。
❌ それは1年分しか割り引いていません。 元本は2年目に支払われるので、割る数は (1.03)2=1.0609(1.03)^2 = 1.0609 です。
❌ それは2年目のクーポンを元本部分に含めています。 分離すると、この2つは別々になります。2年目の$40のクーポンはそれ自体が1つのクーポン部分で、元本部分が支払うのは$1,000だけです。
❌ $1,000は、このストリップス債が2年後に支払う額で、今日の価格ではありません。 金利が正なら、ゼロクーポン債の価格は額面を下回ります。
❌ 債券の価格ではありません。 3つのストリップス債、つまり2つのクーポン部分と元本部分の価格をすべて足します。
❌ 価格が額面(パー)になるのは、市場金利がクーポン・レートに等しいときだけです。 ここでは市場金利が 3%3\%、クーポン・レートが 4%4\% なので、債券の価値は$1,000を上回ります。
❌ それは支払いを割り引かずに足しています。 $40 + $40 + $1,000は債券が支払う総額です。各支払いを、まずゼロクーポン債として価格評価する必要があります。
❌ ストリップス債が1つ抜けています。 $38.83 + $942.60には、2年目のクーポン部分が入っていません。その価値は 40/(1.03)2=37.7040/(1.03)^2 = 37.70 ドルです。
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ステップ1:各部分。 債券は1年目に$40、2年目に$40と$1,000を支払います。分離すると3つのゼロクーポン債ができ、それぞれ P0=F/(1+r)TP_0 = F/(1+r)^T で価格を求めます(単位はドル):

クーポン部分、1年目: 401.03=38.83クーポン部分、2年目: 40(1.03)2=37.70\text{クーポン部分、1年目: } \frac{40}{1.03} = 38.83 \qquad \text{クーポン部分、2年目: } \frac{40}{(1.03)^2} = 37.70 元本部分、2年目: 1,000(1.03)2=1,0001.0609=942.60\text{元本部分、2年目: } \frac{1{,}000}{(1.03)^2} = \frac{1{,}000}{1.0609} = 942.60

ステップ2:債券全体。 1つの金利で価格をつければ、ゼロクーポン債の合計が債券の価格になります:

38.83+37.70+942.60=1,019.1338.83 + 37.70 + 942.60 = 1{,}019.13

利付債の式で検算: 401.03+1,040(1.03)2=38.83+980.30=1,019.13\dfrac{40}{1.03} + \dfrac{1{,}040}{(1.03)^2} = 38.83 + 980.30 = 1{,}019.13 で、同じ$1,019.13です。分離は債券の支払いを変えずに組み直すだけなので、1つの金利で価格をつければ、各部分の価格の合計は債券の価格と同じになります。

問4 · 額面を上回る価格

条件:ユーロの金利は何年もマイナスでした(2年物のドイツ国債の利回りは2020年を通じてゼロを下回っていました)。額面€1,000の2年物のゼロクーポン債が€1,010.08で取引されています。その価格が示す年あたりの金利を求めてください。

✅ 正解です! (1,0001,010.08)1/2−1=−0.0050\left(\dfrac{1{,}000}{1{,}010.08}\right)^{1/2} - 1 = -0.0050 で、年 −0.50%-0.50\% の金利です。逆に価格を求めると 1,000(0.995)2=1,010.08\dfrac{1{,}000}{(0.995)^2} = 1{,}010.08 です。
❌ それは2年間全体の値です。 1,0001,010.08−1=−1.00%\dfrac{1{,}000}{1{,}010.08} - 1 = -1.00\%。年あたりの金利を得るには、比の平方根をとります。
❌ 比が上下逆です。 金利は F=P0(1+r)TF = P_0(1+r)^T を解いたものなので、(F/P0)1/T−1(F/P_0)^{1/T} - 1 です。満期に戻ってくる額より多くを今日払うということは、金利がマイナスだということです。
❌ 式が P0<FP_0 < F を保証するのは、r>0r > 0 のときだけです。 r<0r < 0 なら (1+r)T<1(1+r)^T < 1 で、FF を1未満の数で割ると、価格は額面を上回ります。
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価格と額面から金利を読み取ります:

r=(FP0)1/T−1=(1,0001,010.08)1/2−1=(0.990021)1/2−1=0.994998−1=−0.005002r = \left(\frac{F}{P_0}\right)^{1/T} - 1 = \left(\frac{1{,}000}{1{,}010.08}\right)^{1/2} - 1 = (0.990021)^{1/2} - 1 = 0.994998 - 1 = -0.005002

したがって、この価格は年およそ −0.50%-0.50\% の金利を示しています。

価格に戻して検算: (1−0.005)2=0.990025(1 - 0.005)^2 = 0.990025 で、1,0000.990025=1,010.08\dfrac{1{,}000}{0.990025} = 1{,}010.08 です。

ゼロクーポン債が額面を下回って取引されるという議論は (1+r)T>1(1+r)^T > 1 を経由していて、それには r>0r > 0 が必要です。ここでは (1+r)T=0.990025<1(1+r)^T = 0.990025 < 1 なので、価格は額面を上回り、保有者は債券から戻ってくる額より€10.08多く払うことになります。

正解数:0 / 4