ファイナンス理論 · 第6回 · 動画2 · インタラクティブ教材

今日の二つの価格から来年の金利を読む:スポットレートと金利の期間構造

I重要な公式

公式名称説明
P0=F(1+R1)(1+R2)⋯(1+RT)P_0 = \dfrac{F}{(1+R_1)(1+R_2)\cdots(1+R_T)}1年物金利の連鎖から求める価格価格についての理論です。1年物金利 RtR_t(時点 t−1t-1 から時点 tt まで)が順番に複利で効き、額面 FF はその積で割り引かれます。RtR_t は今日の時点では観察できません
r0,T=[(1+R1)(1+R2)⋯(1+RT)]1/T−1r_{0,T} = \left[(1+R_1)(1+R_2)\cdots(1+R_T)\right]^{1/T} - 1TT 年物スポットレート毎年当てはめると連鎖と同じ成長係数になる、ただ一つの金利です。1年物金利の幾何平均であって、TT 年目だけの金利ではありません
r0,T=(FP0,T)1/T−1r_{0,T} = \left(\dfrac{F}{P_{0,T}}\right)^{1/T} - 1価格から求めるスポットレート価格と額面は観察できるので、スポットレートが決まります:r0,5=(1/0.797)1/5−1≈4.64%r_{0,5} = (1/0.797)^{1/5} - 1 \approx 4.64\%。1年未満では指数 1/T1/T が1を超えます:r0,12=(1/0.983)2−1≈3.49%r_{0,\frac12} = (1/0.983)^{2} - 1 \approx 3.49\%。これは年率です
P0,1P0,2=1+R2\dfrac{P_{0,1}}{P_{0,2}} = 1+R_22つの価格から得る予想将来の1年物金利が今日分かっているとすると、FF と (1+R1)(1+R_1) が打ち消し合います。どちらの価格も今日観察できるので、この比は2つの価格による R2R_2 の予想です:0.967/0.927≈1.04310.967/0.927 \approx 1.0431、R2≈4.31%R_2 \approx 4.31\%

ポイント:スポットレートは観察できます。そしてその中には、観察できない1年物金利が、少なくともそれらについての今日の予想が収まっています。1年物の債券では連鎖が1年分しかないので r0,1=R1r_{0,1} = R_1 です。そこで1年物と2年物の価格を比べれば、市場による R2R_2 の予想だけを取り出せます。

II価格の形で書いた、ある一日の期間構造

ストリップス債のどの価格も、満期ごとに同じ逆算でスポットレートに換算できます。

III2つの価格から1つの予想

1年物の価格を2年物の価格で割ると 1+R21+R_2 が残ります。来年の1年物金利についての、今日の予想です。

1年物の価格 P₀,₁ 0.967

IVスポットレートは連鎖全体の平均

5年物スポットレートは5つの1年物金利の幾何平均であって、5年目の金利ではありません。

💡 観察できるのは P0P_0 と FF だけで、連鎖の中の1年物金利は観察できません。ですから r0,5r_{0,5} は、市場価格がそれらについて明かすものを、一つの平均として表しているのです。

V確認クイズ

問1 · 価格からスポットレートを読む

条件:2001年8月1日、10年物のストリップス債は額面$1あたり0.605で取引されていました。10年物スポットレート r0,10r_{0,10} を求めてください。

✅ 正解です! 0.605=1/(1+r0,10)100.605 = 1/(1+r_{0,10})^{10} なので、r0,10=(1/0.605)1/10−1≈5.15%r_{0,10} = (1/0.605)^{1/10} - 1 \approx 5.15\% です。その日の期間構造をなす金利の一つです。
❌ それは総収益率を均等に割っています。 (1/0.605−1)/10≈6.53%(1/0.605 - 1)/10 \approx 6.53\% は複利を無視しています。金利は10年間複利で効くので、10で割るのではなく、1/0.6051/0.605 の10乗根をとります。
❌ それは10年間の総収益率です。 1/0.605−1≈65.29%1/0.605 - 1 \approx 65.29\% は10年間全体の成長です。スポットレートは年率なので、1を引く前に 1/0.6051/0.605 を 1/101/10 乗します。
❌ 価格の逆数をとっていません。 1−0.6051/10≈4.90%1 - 0.605^{1/10} \approx 4.90\% は価格に対する割引の率です。スポットレートは0.605を1まで成長させる金利です:(1/0.605)1/10−1(1/0.605)^{1/10} - 1。
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ストリップス債は割引債なので、10年後の1ドルを10年分割り引いたものが価格になります。

0.605=1(1+r0,10)10⟹r0,10=(10.605)1/10−10.605 = \frac{1}{(1+r_{0,10})^{10}} \quad\Longrightarrow\quad r_{0,10} = \left(\frac{1}{0.605}\right)^{1/10} - 1

1/0.605≈1.6528931/0.605 \approx 1.652893、1.6528931/10≈1.0515371.652893^{1/10} \approx 1.051537 なので、10年物スポットレートは年約5.15%です。

問2 · 1年未満では指数が逆になる

条件:同じ日、3か月物のストリップス債は額面$1あたり0.991で取引されていました。つまり T=14T = \tfrac14 です。年率のスポットレート r0,14r_{0,\frac14} を求めてください。

✅ 正解です! 指数は 1/T=1/(1/4)=41/T = 1/(1/4) = 4 なので、比を4乗します:(1/0.991)4−1≈3.68%(1/0.991)^4 - 1 \approx 3.68\%(年率)。
❌ 指数の向きが逆です。 (1/0.991)1/4−1(1/0.991)^{1/4} - 1 は4乗根をとっています。指数は 1/T1/T で、T=14T = \tfrac14 ならそれは 44 です。1年未満では、比を1より大きい指数で累乗します。
❌ それは3か月間の収益率です。 1/0.991−1≈0.91%1/0.991 - 1 \approx 0.91\% は4分の1年で得られる分です。スポットレートは年率なので、4四半期分を複利で計算します。
❌ 4倍すると複利が抜け落ちます。 4×0.908%≈3.63%4 \times 0.908\% \approx 3.63\% は4四半期分の収益を足しただけで、増えた分がさらに増える効果が入っていません。スポットレートは複利です:(1/0.991)4−1(1/0.991)^4 - 1。
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4分の1年後の1ドルの価格は 0.991=1/(1+r0,14)1/40.991 = 1/(1+r_{0,\frac14})^{1/4} を満たします。解くと、指数は 1/T=41/T = 4 になります。

r0,14=(10.991)4−1≈1.036825−1r_{0,\frac14} = \left(\frac{1}{0.991}\right)^{4} - 1 \approx 1.036825 - 1

3か月物のスポットレートは、年率で表して約3.68%です。

問3 · 予想してから平均する

条件:1年物の割引債が P0,1=0.960P_{0,1} = 0.960、2年物の割引債が P0,2=0.910P_{0,2} = 0.910 で売られています(どちらも額面$1あたり)。将来の1年物金利は今日分かっているものとします。

2つの価格から得られる R2R_2 の予想はいくらですか?

2年物スポットレート r0,2r_{0,2} はいくらですか?

✅ 正解です! 比から 1+R2=0.960/0.910≈1.05491 + R_2 = 0.960/0.910 \approx 1.0549 が得られ、2年物スポットレート 1/0.910−1≈4.83%\sqrt{1/0.910} - 1 \approx 4.83\% は R1≈4.17%R_1 \approx 4.17\% と R2≈5.49%R_2 \approx 5.49\% の間にあります。
❌ それは価格の差です。 0.960−0.910=0.0500.960 - 0.910 = 0.050 は金利ではありません。予想は比から得られます:P0,1/P0,2=1+R2P_{0,1}/P_{0,2} = 1 + R_2。
❌ それは2年物スポットレートです。 r0,2r_{0,2} は2年分を平均したものです。予想は2年目だけの金利です:0.960/0.910−10.960/0.910 - 1。
❌ それは2年間の総収益率です。 1/0.910−1≈9.89%1/0.910 - 1 \approx 9.89\% は2年物の価格しか使っていません。1年物の価格で割ると、1年目の係数が取り除かれます。
❌ 総収益率を半分にすると複利が抜け落ちます。 (1/0.910−1)/2≈4.95%(1/0.910 - 1)/2 \approx 4.95\%。スポットレートは平方根です:1/0.910−1\sqrt{1/0.910} - 1。
❌ それは2年目だけの金利です。 r0,2r_{0,2} は TT 年目の金利ではなく、R1R_1 と R2R_2 の幾何平均です。
❌ それは1年目だけの金利です。 R1=1/0.960−1≈4.17%R_1 = 1/0.960 - 1 \approx 4.17\% は r0,1r_{0,1} に等しい金利です。2年物スポットレートは、これを R2R_2 と平均したものです。
❌ 惜しい! 1年物の価格を2年物の価格で割り、1を引きます。
❌ 惜しい! 0.910=1/(1+r0,2)20.910 = 1/(1+r_{0,2})^2 を r0,2r_{0,2} について解きます。
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予想。額面が同じなら、価格の比では FF と (1+R1)(1+R_1) が打ち消し合います。

P0,1P0,2=1+R2=0.9600.910≈1.0549⟹R2≈5.49%\frac{P_{0,1}}{P_{0,2}} = 1 + R_2 = \frac{0.960}{0.910} \approx 1.0549 \quad\Longrightarrow\quad R_2 \approx 5.49\%

スポットレート。2年物の価格だけで求まります。

r0,2=10.910−1≈1.048285−1≈4.83%r_{0,2} = \sqrt{\frac{1}{0.910}} - 1 \approx 1.048285 - 1 \approx 4.83\%

連鎖で検算。1+R1=1/0.9601 + R_1 = 1/0.960 で、(1/0.960)(0.960/0.910)=1/0.910\sqrt{(1/0.960)(0.960/0.910)} = \sqrt{1/0.910} なので、どちらの道筋でも同じ r0,2r_{0,2} になります。R1≈4.17%R_1 \approx 4.17\% と R2≈5.49%R_2 \approx 5.49\% の幾何平均です。

問4 · 2つのスポットレートから予想へ

条件:1年物スポットレートが r0,1=3%r_{0,1} = 3\%、2年物スポットレートが r0,2=4%r_{0,2} = 4\% です。これらの金利が示す R2R_2(1年目から2年目までの1年物金利)の予想を求めてください。

✅ 正解です! (1.04)2=(1.03)(1+R2)(1.04)^2 = (1.03)(1+R_2) なので、1+R2=1.0816/1.03≈1.05011 + R_2 = 1.0816/1.03 \approx 1.0501、R2≈5.01%R_2 \approx 5.01\% です。
❌ それは r0,2r_{0,2} を算術平均として扱っています。 2×4%−3%=5%2 \times 4\% - 3\% = 5\% なら4%は3%と5%の単純平均になりますが、(1.03)(1.05)−1≈3.9952%\sqrt{(1.03)(1.05)} - 1 \approx 3.9952\% で、4%に届きません。複利で計算します:1.042/1.031.04^2 / 1.03。
❌ 2年物スポットレートは2年目の金利ではありません。 r0,2r_{0,2} は R1R_1 と R2R_2 の平均です。R1=3%R_1 = 3\% が平均を下回るので、R2R_2 は4%を上回るはずです。
❌ それはスポットレートどうしの差です。 4%−3%4\% - 3\% は1年物金利ではありません。(1.04)2=(1.03)(1+R2)(1.04)^2 = (1.03)(1 + R_2) を解きます。
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1年物なら連鎖の係数は1つなので、R1=r0,1=3%R_1 = r_{0,1} = 3\% です。2年物スポットレートは、複利で2つの1年物金利の連鎖と同じだけの成長になります。

(1+r0,2)2=(1+R1)(1+R2)⟹1+R2=1.0421.03=1.08161.03≈1.050097(1 + r_{0,2})^2 = (1+R_1)(1+R_2) \quad\Longrightarrow\quad 1 + R_2 = \frac{1.04^2}{1.03} = \frac{1.0816}{1.03} \approx 1.050097

予想はR2≈5.01%R_2 \approx 5.01\%です。額面$1あたりの価格からも同じ数字が出ます:P0,1=1/1.03≈0.970874P_{0,1} = 1/1.03 \approx 0.970874、P0,2=1/1.0816≈0.924556P_{0,2} = 1/1.0816 \approx 0.924556 で、その比はやはり 1.0816/1.031.0816/1.03 です。

正解数:0 / 4