ファイナンス理論 · 第6回 · 動画5 · インタラクティブ教材
賭けずにヘッジする:米国債でフォワードレートを固定し、先渡ローンを提示する
I重要な公式
ポイント:フォワードレートは2つの割引債の価格によって今日決まり、その2つの債券で反対のポジションをとれば固定できます。固定すれば R2 への賭けはなくなりますが、後悔する可能性はなくなりません。後悔するのは、ちょうど R2>f2 となるときです。
II固定するか、待つか
固定すれば何が起きても1,090万4,000ドル、待てば 10(1+R2)(単位:100万ドル)で、待つほうが得になるのは R2>f2 のときだけです。
💡 0年目の時点でわかっているのは f2=9.04% だけで、R2 はわかりません。ですから待つことを選ぶのは、R2 が最終的に f2 を上回るほうに賭けることです。それは金利の投機家の立場であって、わかっている資金需要をヘッジする CFO の立場ではありません。
III今日のイールドカーブに織り込まれたフォワードレート
2年目のインプライド・フォワードレートは、2年物の利回りをはさんで、1年物の利回りの反対側にあります。
IV先渡ローンの金利を提示し、ヘッジする
(t−1) 年物のゼロクーポン債の買いと t 年物のゼロクーポン債の空売りを組み合わせれば、今日の費用はゼロで、フォワードレート ft を固定できます。
V確認クイズ
問1 · 2つのスポットレートからフォワードレートを求める
条件:1年物スポットレートは r0,1=4%、2年物スポットレートは r0,2=6% です。2年目について今日固定できるフォワードレート f2 を求めてください。
✅ 正解です! 1.062/1.04−1=8.04%。6%での2年間は、4%での1年に8.04%での1年を続けたものに等しくなります。
❌ 惜しい! 5%は2つのスポットレートの平均です。2年物の金利そのものが(おおよそ)
r0,1 と
f2 の平均なので、
f2 は2つの間ではなく、6%より上にあります。
❌ 惜しいですが… 2(6%)−4%=8% は単利による近道です。複利で計算すると
1.062/1.04−1 で、それより少し大きくなります。
❌ 惜しい! 1.062−1=12.36% は2年間の成長です。1年目の分を割り出しましょう:
1+f2=1.062/1.04。
解答を見る
1ドルを2年物の金利で2年間増やした結果は、r0,1 で1年、続いて f2 で1年増やした結果に等しくなければなりません:
(1.06)2=(1.04)(1+f2)⇒1+f2=1.041.1236=1.08038
したがって f2≈8.04% です。
問2 · 後悔は間違いではない
条件:CFO は、1年目に入ってくる1,000万ドルについて f2=9.04% を固定したので、2年目には1,090万4,000ドルになります。1年目になってみると、1年物スポットレートは R2=11% でした。正しいのはどれですか?
✅ 正解です! R2=11%>f2=9.04% なので、待っていたほうが多く受け取れました。これが後悔するケースです。
❌ 向きを確かめましょう。 待てば 1,000万ドル × 1.11 = 1,110万ドルで、1,090万4,000ドルより多くなります。固定したほうが少ないのであって、多いのではありません。
❌ 惜しい! 0年目には
R2 はわからず、使えたのは
f2 だけでした。後から後悔しても、ヘッジが間違っていたことにはなりません。もう一つの選択肢は、金利への賭けだったのです。
❌ 惜しい! f2 は今日決まる金利で、
R2 は1年目に市場が実際に提示する金利です。待てば、稼ぐのは
f2 ではなく
R2=11% です。
解答を見る
固定した場合:2年目に 1,000万ドル × 1.0904 = 1,090万4,000ドル。0年目に決まっています。
待った場合:1年目に1,000万ドルを R2=11% で運用し、1,000万ドル × 1.11 = 1,110万ドルになります。
差:1,110万ドル − 1,090万4,000ドル = 19万6,000ドルで、待ったほうが有利です。R2>f2 なので、これは後悔するケースです。R2 が9.04%を下回っていれば、喜ぶケースになっていたでしょう。どちらの結果も、0年目にはわかりませんでした。
問3 · 先渡ローンをヘッジする
条件:割引債の価格は P0,2=0.8900、P0,3=0.8278 です。ある顧客が、2年目から1年間、$10,000,000を借りたいと考えています。銀行は2年物のゼロクーポン債を額面$10,000,000分買い、その代金を3年物のゼロクーポン債の空売りでまかないます。空売りする額面と、銀行が提示すべき金利を求めてください。
3年物の空売りの額面はいくらですか?
顧客に提示する金利はいくらですか?
✅ 正解です! 3年目の空売りの負債$10,751,389は、貸し出した$10,000,000より7.51%多いので、7.51%での顧客の返済でちょうど賄えます。
❌ 惜しい! 空売りでは費用$8,900,000を調達しなければならないので、その額面は
8,900,000/0.8278 です。価格を掛けると逆向きになります。
❌ 惜しい! 3年物のゼロクーポン債は額面1ドルあたり0.8278でしか売れないので、$8,900,000を調達するには、額面で$10,000,000より多く必要です。
❌ 惜しいですが… 10,000,000/0.8900 は2年物の価格で割っています。空売りするのは3年物のゼロクーポン債です。費用$8,900,000を0.8278で割りましょう。
❌ 空売りを確かめましょう。 今日の費用は
=10,000,000×0.8900 です。空売りでは、額面1ドルあたり0.8278で、ちょうどその額を調達しなければなりません。
❌ 年がずれています。 7.01%は
f2 で、1年目から2年目までのローンの金利です。このローンは2年目から3年目までなので、
f3=P0,2/P0,3−1 が必要です。
❌ 惜しい! 6.5%は3年物スポットレートで、1年目から3年目までの平均です。このローンが対象とするのは3年目だけなので、フォワードレート
f3 で価格がつきます。
❌ 年がずれています。 8.51%は
f4 で、3年目から4年目までのローン、つまり動画の例の金利です。このローンは2年目に始まります。
❌ 提示金利を確かめましょう。 提示金利は、空売りの負債をローンの額で割って1を引いたものです。
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買い:2年物のゼロクーポン債を額面$10,000,000分買うと、今日の費用は次のとおりです(単位:ドル)。
10,000,000×0.8900=8,900,000
この債券は2年目に$10,000,000を支払い、それが顧客へのローンになります。
売り:3年物のゼロクーポン債を額面1ドルあたり0.8278で空売りして$8,900,000を調達するには、次の額面(単位:ドル)が必要です。
0.82788,900,000=10,751,389
これを3年目に返さなければなりません。今日の正味の費用は0です。
提示金利:
10,000,00010,751,389−1=7.51%=P0,3P0,2−1=f3
スポットレートから計算しても、f3=1.0653/1.062−1≈7.51% となります。
問4 · 1年後ろにずらして、将来の時点で貸す
条件:ある企業は2年目に500万ドルを受け取り、3年目の支払いまでそれを持っていなければなりません。スポットレートは r0,2=4%、r0,3=5% です。今日の正味の費用ゼロで3年目の金利を固定する米国債のポジションと、その金利を求めてください。
どのポジションで固定できますか?
3年目について固定される金利はどれですか?
✅ 正解です! 2年間借りて3年間貸すと、3年目について将来の時点で貸すことになり、その金利は
1.053/1.042−1=7.03% です。
❌ 逆です。 短く貸して長く借りるのは、将来の時点で借りること、つまり銀行のヘッジです。この企業にはお金が入ってくるので、将来の時点で貸す必要があります。
❌ 惜しい! 待てば、3年目の金利は2年目までわかりません。それは金利への賭けであって、固定ではありません。
❌ 期間がずれています。 1年借りて2年貸すと、固定されるのは2年目の金利です。お金は2年目に入ってきて3年目に必要になるので、期間は2年と3年です。
❌ ポジションを確かめましょう。 2年目の500万ドルで売りの側を返済し、買いの側が3年目に支払いをしなければなりません。
❌ 惜しい! 5%は3年物スポットレートで、3年間の平均です。3年目だけの金利はフォワードレートです。
❌ 惜しいですが… 3(5%)−2(4%)=7% は単利による近道です。複利で考えると
1+f3=1.053/1.042 です。
❌ 惜しい! 1.053/1.04−1 は、4%の1年分しか割り出していません。2年物スポットレートは2年間複利で増えるので、
1.042 で割ります。
❌ 金利を確かめましょう。 1+f3=(1+r0,3)3/(1+r0,2)2 を使います。
解答を見る
ポジション:今日、2年間借ります(額面500万ドルの2年物ゼロクーポン債を空売り)。2年目に入ってくる500万ドルで、この借入をちょうど返済できます。調達した資金は3年間貸します(3年物ゼロクーポン債を買う)。今日の支払いはなく、2年目に500万ドルが出ていき、3年目にそれより多くが戻ってきます。
金利:
1+f3=(1.04)2(1.05)3=1.08161.157625=1.07029
したがって f3≈7.03% です。この企業は3年目について7.03%で将来の時点で貸すことになります。CFO が2年目について9.04%で将来の時点で貸したのと、まったく同じ仕組みです。
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