ファイナンス理論 · 第6回 · 動画7 · インタラクティブ教材

米国債のイールドカーブを読む:何を描き、どれだけ動き、形が何を語るか

I重要な公式

公式名称必要なもの
P0=C1+y+C(1+y)2+⋯+C+F(1+y)TP_0 = \dfrac{C}{1+y} + \dfrac{C}{(1+y)^2} + \cdots + \dfrac{C+F}{(1+y)^T}最終利回り(満期利回り) yy:公表されるカーブが描くただ一つの金利で、満期ごとに1点利付債の価格 P0P_0、クーポン CC、額面 FF
P0=C1+r0,1+C(1+r0,2)2+⋯+C+F(1+r0,T)TP_0 = \dfrac{C}{1+r_{0,1}} + \dfrac{C}{(1+r_{0,2})^2} + \cdots + \dfrac{C+F}{(1+r_{0,T})^T}同じ価格を、支払日ごとのスポットレートから求める式期間構造 r0,1,…,r0,Tr_{0,1}, \ldots, r_{0,T}
C=0  ⇒  y=r0,T;C>0  ⇒  yC = 0 \;\Rightarrow\; y = r_{0,T}; \quad C > 0 \;\Rightarrow\; y は r0,1,…,r0,Tr_{0,1}, \ldots, r_{0,T} を混ぜ合わせたものストリップス債のカーブはスポットレートを描き、利付債のカーブはその近似にすぎない理由債券がクーポンを払うかどうか
18.63%6.95%≈2.68\dfrac{18.63\%}{6.95\%} \approx 2.68同じ残高に対する1年分の利息の比:1981年10月のピークと2026年9月(30年固定金利型住宅ローン)同じ残高に対する2つの金利

ポイント:公表される米国債のカーブが描いているのは利付債の利回り yy で、スポットレート r0,Tr_{0,T} ではありません。クーポンが極端でなく互いに近ければ、ストリップス債のカーブのよい代わりになります。そして予想として読めば、その形は将来の金利についての市場の予想を表しています。

II満期が同じでもクーポンが違えば利回りも違う

5年債の利回り yy は、5つのスポットレートを債券自身の支払いで重みづけして混ぜたものなので、クーポンが yy を動かします。

III金利はどれだけ動いてきたか

暦の上で見ると、1年物米国債の利回りは17%超からほぼゼロまで動いてきました。

IVカーブの形が語ること

予想として読むと、右上がりの区間は金利の上昇が、右下がりの区間は低下が予想されていることを意味します。

💡 2000年3月、FRBはまだ利上げを続けており、利下げを始めたのは2001年1月です。ただ、予想だけですべてが説明できるとは限りません。2000年には米国財務省が長期国債の買い戻しも行っていて、その供給が減っていました。

V確認クイズ

問1 · 当時と今

条件:30年固定金利型住宅ローンの金利は、1981年10月に 18.63%18.63\% でピークをつけ、2026年9月17日までの1週間の平均は 6.95%6.95\% でした。同じ$200,000の残高に対する1年分の利息は、1981年のピーク時には何倍だったかを求めてください。

✅ 正解です! 残高は約分されます。18.63/6.95≈2.6818.63 / 6.95 \approx 2.68 なので、1981年のピーク時の1年分の利息は約2.68倍でした。
❌ 上下が逆です。 6.95/18.63≈0.376.95 / 18.63 \approx 0.37 は、2026年の利息が1981年の利息の何倍かを表します。問いでは1981年のピークが分子です。
❌ それは何倍かではなく、どれだけ多いかです。 (18.63−6.95)/6.95≈1.68(18.63 - 6.95)/6.95 \approx 1.68 は、増えた分の利息が2026年の利息の何倍かを表します。比を求めるには、2026年の利息そのものを足し戻してください。
❌ それはパーセントポイントの差です。 18.63−6.95=11.6818.63 - 6.95 = 11.68 ポイントです。比は2つの金利を割り算して求めます。
解答を見る

1年分の利息は金利 × 残高です。ピーク時は 0.1863×200,000=37,2600.1863 \times 200{,}000 = 37{,}260 ドル、2026年9月は 0.0695×200,000=13,9000.0695 \times 200{,}000 = 13{,}900 ドルです。

37,26013,900=18.636.95=2.6806…≈2.68\frac{37{,}260}{13{,}900} = \frac{18.63}{6.95} = 2.6806\ldots \approx 2.68

残高は約分されるので、どんな残高でも答えは2つの金利の比になります。

問2 · 同じ満期、2つのクーポン

条件:スポットレートは満期とともに上がっています。今日、クーポン・レート 2.3%2.3\% と 4.5%4.5\% の2本の10年物米国中期国債が取引されています。2本の最終利回りについて正しい記述はどれですか。

✅ 正解です! どちらの利回りも、スポットレート r0,1,…,r0,10r_{0,1}, \ldots, r_{0,10} を国債自身の支払いで決まる割合で混ぜたものです。クーポンが大きいほど、混ぜ方は低い短期金利の側に傾きます。
❌ y=r0,Ty = r_{0,T} となるのはゼロクーポン債だけです。 利付国債の利回りは、支払日ごとのスポットレートを一つの数字に圧縮したものなので、r0,10r_{0,10} にはなりません。
❌ クーポン・レートは利回りではありません。 クーポンが高いほど、早い時期の支払いに重みがかかります。スポットレートが右上がりなら、それらは低い金利で割り引かれるので、利回りは上がるのではなく下がります。
❌ 利回りの差は、クーポンの差よりずっと小さくなります。 どちらの利回りも同じスポットレートを混ぜたもので、クーポンが変えるのは重みだけです。ですから利回りの差はわずかで、だからこそ利付債のカーブはストリップス債のカーブのそれなりの代わりになるのです。
解答を見る

スポットレートから、それぞれの国債の価格は P0=∑t=110C(1+r0,t)t+F(1+r0,10)10P_0 = \sum_{t=1}^{10} \dfrac{C}{(1+r_{0,t})^t} + \dfrac{F}{(1+r_{0,10})^{10}} です。その利回り yy は、この価格を再現するただ一つの金利です。

ゼロクーポン債は価値のすべてが10年目にあるので、その yy はちょうど r0,10r_{0,10} です。クーポンを加えると価値の一部がより早い日付に移り、右上がりのカーブではそれが低い金利で割り引かれます。価格に合うただ一つの金利は r0,10r_{0,10} より下に引き下げられ、クーポンが大きいほどその幅も大きくなります。

ですから、4.5%4.5\% の国債の利回りは 2.3%2.3\% の国債の利回りをわずかに下回ります。満期が同じでも、クーポン・レートが違えば利回りも違うのです。可視化IIは5年債で同じ効果を示しています。クーポン 2.3%2.3\% では y≈4.37%y \approx 4.37\%、4.5%4.5\% では y≈4.35%y \approx 4.35\% です。

問3 · スポットレートから利回りへ

条件:スポットレートは r0,1=3%r_{0,1} = 3\%、r0,2=4%r_{0,2} = 4\% です。額面$100で、年 5%5\% のクーポンを払う2年物米国中期国債(1年目に$5、2年目に$105)の価格と最終利回りを求めてください。

価格はいくらですか?

最終利回りはいくらですか?

✅ 正解です! 価格は$101.93で、それを再現するただ一つの金利は y≈3.98%y \approx 3.98\% です。r0,2=4%r_{0,2} = 4\% に近いものの、3%3\% で割り引かれる1年目のクーポンによって、少し下に引き下げられています。
❌ 価格を確かめてください。 各支払いを、その日付のスポットレートで割り引きます。$5は r0,1r_{0,1} で、$105は r0,2r_{0,2} で割り引きます。
❌ 両方の支払いを 4%4\% で割り引いています。 1年目のクーポンに使うのは、1年物スポットレート r0,1=3%r_{0,1} = 3\% で、r0,2r_{0,2} ではありません。
❌ 2年目のクーポンが抜けています。 最後の支払いは$5のクーポンと$100の額面を合わせた$105で、$100ではありません。
❌ 両方の支払いを 3%3\% で割り引いています。 2年目の支払いに使うのは、2年物スポットレート r0,2=4%r_{0,2} = 4\% です。
❌ 利回りを確かめてください。 yy は、51+y+105(1+y)2\frac{5}{1+y} + \frac{105}{(1+y)^2} が価格に等しくなるただ一つの金利です。
❌ それは r0,2r_{0,2}、つまりゼロクーポン債の答えです。 y=4%y = 4\% では式の値は約101.89で、価格を下回ります。3%3\% の日付にかかるクーポンの重みが、yy を 4%4\% より少し下に引き下げます。
❌ スポットレートの単純平均では、重みが無視されています。 価格のほとんどは2年目の$105から来るので、yy は中間ではなく r0,2r_{0,2} の近くにあります。
❌ それはクーポン・レートです。 yy がクーポン・レートに等しくなるのは、額面で値付けされた債券だけです。この国債は$100を上回って取引されているので、利回りは 5%5\% を下回ります。
解答を見る

スポットレートから価格を求めます。

P0=51.03+1051.042=4.8544+97.0784=101.9328≈101.93P_0 = \frac{5}{1.03} + \frac{105}{1.04^2} = 4.8544 + 97.0784 = 101.9328 \approx 101.93

利回り:51+y+105(1+y)2=101.93\dfrac{5}{1+y} + \dfrac{105}{(1+y)^2} = 101.93 を解きます。y=4%y = 4\% では左辺は 4.8077+97.0784=101.88614.8077 + 97.0784 = 101.8861 で低すぎるので、yy は 4%4\% より少し下です。解くと y=3.977%y = 3.977\% となり、確かに 51.03977+1051.039772=101.930\dfrac{5}{1.03977} + \dfrac{105}{1.03977^2} = 101.930 です。

したがって P0≈P_0 \approx $101.93、y≈3.98%y \approx 3.98\% です。2つのスポットレートを1つの数字で代表させたもので、価格の大部分を$105が占めるため、r0,2r_{0,2} の側に重みがかかっています。

問4 · 形を読む

条件:米国債のカーブが、33 か月物 4.00%4.00\%、22 年物 4.60%4.60\%、1010 年物 4.30%4.30\%、3030 年物 4.10%4.10\% です。正しい読み方はどれですか。

✅ 正解です! カーブは短期側で 4.00%4.00\% から 4.60%4.60\% に上がり、その先で 4.30%4.30\%、4.10%4.10\% へと下がります。2000年3月22日と同じこぶ型です。予想は予想として読んだときの説明ですが、それですべてが説明できるとは限りません。
❌ 両端だけでは形が見えません。 22 年から先ではカーブは下がっている(4.60%→4.30%→4.10%4.60\% \to 4.30\% \to 4.10\%)ので、長期側で下に曲がっています。
❌ 短期側は上がっています。 33 か月から 22 年までで 4.00%→4.60%4.00\% \to 4.60\% と上昇しています。
❌ 供給も影響し得ます。 2000年には、市場の予想とは別に、米国財務省が長期国債を買い戻してその供給を減らしていました。カーブの形を説明するのは、期間構造のモデルの仕事です。
解答を見る

短期側:4.00%→4.60%4.00\% \to 4.60\% で、0.600.60 ポイントの上昇です。予想として読めば、今後2年ほどは金利の上昇が予想されています。

長期側:4.60%→4.30%→4.10%4.60\% \to 4.30\% \to 4.10\% で、0.300.30 ポイント、続いて 0.200.20 ポイントの低下です。長期側で下に曲がるカーブは、長い目で見れば金利が下がると市場が予想していることを意味します。

短期側で上がり、その先で下がるのはこぶ型のカーブで、2000年3月22日と同じです。予想として読むのは一つの説明にすぎず、2000年の米国財務省による長期国債の買い戻しのように、供給も長期側の形に影響し得ます。

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