ファイナンス理論 · 第7回 · 動画1 · インタラクティブ教材
1口97セント:MMFの取り付けが米国短期国債の利回りを動かした
I重要な公式
ポイント:米国債には名目ベースのデフォルト・リスクがないので、その利回りはデフォルトを測るものではありません。短期国債の利回りが記録したのはパニックです。プライムMMFからの取り付けが短期国債の価格を押し上げ、利回りを3ベーシスポイント(bp)まで押し下げました。米国債の保有者が実際に負うリスクは、インフレと金利の変動です。
II3か月物短期国債の価格と利回り
年率換算の利回りが上がると短期国債の価格は下がります。3 bp から49 bp への上昇で、$100 あたり約11セント値下がりしました。
IIIイールドカーブ全体が上昇した
2008年9月17日から24日にかけて、どの満期の利回りも上がり、30年債の上昇がいちばん小さかったのです。
💡 30年債の32ベーシスポイントの一部は、7,000億ドルの資産買い取り計画を受けたインフレ・プレミアムの上乗せと読むのが妥当でしょう。ただ、それより短いどの満期もさらに大きく上がったので、この上昇は期待インフレ率を純粋に測ったものとは言えません。
IVなぜ全員が一斉に解約するのか
保有資産の価値が1口 $0.97 しかないとき、1口を $1.00 で払い戻すたびに、残っている人の取り分が減ります。
💡 $0.97 は、リザーブ・プライマリー・ファンドが保有するリーマンのコマーシャル・ペーパー7億8,500万ドルの評価をゼロとしたあとの1口の価値です。解約の進み方は説明のための例で、実際のファンドはまもなく払い戻しを凍結しました。
V確認クイズ
問1 · 9月18日の短期国債
条件:2008年9月18日、3か月物短期国債の利回りは年率換算で 23 ベーシスポイントでした。P0,T=(1+y)TF に T=41 を使って、額面 $100 の短期国債の価格を求めてください。
✅ 正解です! (1.0023)1/4100≈99.94。満期まで4分の1年なので、価格は額面より6セント安くなります。
❌ 惜しい! 1.0023100≈99.77 は丸1年分割り引いています。この短期国債は3か月で満期を迎えるので、指数は
T=41 です。
❌ 単位を確かめましょう。 1ベーシスポイントは
0.01% なので、
23 bp は
0.00023 ではなく
0.23%=0.0023 です。
❌ 惜しい! 価格が額面の $100 を上回るなら、利回りはマイナスということになります。
(1+y)T を掛けるのではなく、割ってください。
❌ 惜しい! P=(1+y)T100 に
y=0.0023 と
T=41 を使ってください。
解答を見る
23 ベーシスポイントは 0.23% なので y=0.0023、3か月は T=41 年です:
P0,1/4=(1.0023)1/4100=1.0005745100≈99.94
価格は額面 $100 あたり約 $99.94 で、額面より6セント低くなります。
問2 · 四半期ではなく年率
条件:1962年から2002年まで、3か月物短期国債の利回りは平均で約 6% でした。これは年1回複利の年率換算利回りで表示されたものです。利回りがちょうど 6% の短期国債が、3か月で稼ぐ収益率を求めてください。
✅ 正解です! 1四半期で
(1.06)1/4−1≈1.467% です。これを4四半期複利で重ねると、ちょうど
6% に戻ります。
❌ 惜しい! 6% は年率換算の表示です。3か月物短期国債が稼ぐのは、そのうち4分の1年分だけです。
❌ 惜しいですが… 6%/4=1.5% は複利を無視しています。
1.5% で4四半期重ねると
(1.015)4−1≈6.14% となり、
6% を超えてしまいます。4で割るのではなく、4乗根をとってください。
❌ 惜しい! (1.06)4−1≈26.25% は、
6% を4
年にわたって複利で重ねたものです。1四半期なら指数は
41 です。
❌ 惜しい! (1+y)1/4−1 で換算してください。
解答を見る
提示される利回りは年率換算です。利回り y で1年たつと、$1 は 1+y に増えます。1四半期は1年の4分の1なので:
(1.06)1/4−1≈1.014674−1≈1.467%
検算:(1.014674)4≈1.06。同じ計算で、動画の 4% は1四半期あたり約 0.985% となり、1% をわずかに下回ります。
問3 · 保証が発表された日
条件:2008年9月18日(木)、3か月物短期国債の利回りは 23 ベーシスポイントでした。米国財務省がマネー・マーケット・ファンドへの保証を発表した9月19日(金)には、99 ベーシスポイントでした。額面 $100 あたりで、9月19日の価格と、その日の値下がり幅を求めてください。
9月19日の価格は?
9月18日から19日にかけての値下がり幅は?
✅ 正解です! 利回りは
76 bp 上がり、価格は $100 あたり19セント下がりました。
0.76 のおよそ4分の1です。満期まで残り4分の1年しかないからです。
❌ 惜しい! 1.0099100≈99.02 は丸1年分割り引いています。
T=41 を使ってください。
❌ 惜しい! 100−0.99 は、年率換算の利回りを価格から差し引くドル額として扱っています。価格は
(1.0099)1/4100 です。
❌ 惜しい! 99.94 は
23 bp だった9月18日の価格です。利回りが上がったので、価格はそれより下がりました。
❌ 価格を確かめましょう。 P=(1.0099)1/4100 です。
❌ 惜しい! 99−23=76 bp は、価格ではなく年率換算の利回りの変化です。2つの価格の差をとってください。
❌ 惜しい! それは、どちらか1日の価格と額面 $100 との差(満期までに稼ぐ額)です。値下がり幅は、9月18日の価格から9月19日の価格を引いたものです。
❌ 差を確かめましょう。 9月18日の価格から9月19日の価格を引いてください。
解答を見る
9月18日(y=0.0023):(1.0023)1/4100≈99.94。
9月19日(y=0.0099):
(1.0099)1/4100=1.0024659100≈99.75
値下がり幅:額面 $100 あたり 99.94−99.75=0.19。
動画で注意したとおり、資産買い取り計画と空売り禁止も同じ日に発表されたので、この急上昇を保証だけの効果とみなすことはできません。
問4 · 長期の米国債が抱えるリスク
条件:30年物の米国債は、満期に $1,000 を支払います。例として、物価が30年間ずっと年 3% 上がるとします。
その $1,000 で買えるのは、今日のモノに換算しておよそ
保有者が負うのはどのリスクですか?
✅ 正解です! $1,000 は名目では確実ですが、インフレ率
3% では今日のモノで約 $412 分しか買えません。この目減りこそがリスクで、だからこそ30年債の利回りの上昇はインフレ・プレミアムとして読めるのです。
❌ 惜しい! $1,000 は名目の支払額で、これは確実です。問われているのは、
3% のインフレが30年続いたあとに、それで何が
買えるかです。
❌ 惜しい! 1000(1−30×0.03)=100 は、毎年
当初の価値の
3% を差し引いています。インフレは複利で効くので、
(1.03)30 で割ってください。
❌ 惜しいですが… 1000×(0.97)30≈401 は、
1−π を
1+π1 と同じものとして使っています。正確な係数は
(1.03)301 です。
❌ 購買力を確かめましょう。 (1.03)301000 を計算してください。
❌ 惜しい! ドルを発行しているのは米国自身なので、支払うためのドルはいつでも新たにつくり出せます。名目ベースでは、少なくとも誰の知る限り、デフォルト・リスクはありません。
❌ 惜しい! デフォルト・リスクがないことは、リスクがないことではありません。この債券はドルで支払われ、そのドルで何が買えるかは不確かです。
❌ 惜しい! それはプライムMMFの中にあったリスクです。米国債は企業の証券ではなく、ドルを発行する政府の借用証書(IOU)です。そのリスクは、そのドルで何が買えるかにあります。
❌ リスクを確かめましょう。 名目の債券が約束するのはモノではなく、ドルです。
解答を見る
30年間で物価は (1.03)30 倍になるので、その $1,000 で買えるのは
(1.03)301000=2.42731000≈411.99
ドルで今日買えるもの、つまり約 $412 分です。支払いそのものに名目のデフォルト・リスクはありません。リスクはインフレと、満期前に売却する場合の金利の変動です。
正解数:0 / 4