ファイナンス理論 · 第7回 · 動画2 · インタラクティブ教材
同じキャッシュフローなら同じ価格:一物一価の法則とフリーランチ
I重要な公式
ポイント:この法則は、均衡も価格公式も仮定しません。まったく同じキャッシュフローが2つの価格で売られていれば、少ないお金より多いお金を好む人が1人いるだけで、その人が安いほうを買い、高いほうを売ります。その売買が、2つの価格を近づけていくのです。
IIフリーランチを時点ごとに見る
まったく同じ2つの資産のうち、安いほうを買って高いほうを売ると、今日は価格差が手に入り、その後のどの時点も差し引きゼロになります。
III1人の裁定取引者が差を埋める
安い資産を買い、高い資産を売るたびに、その差が利益になり、差そのものは縮まります。
IVまったく同じであることが前提条件
2つのキャッシュフローの流列が違ってしまうと、同じ価格差があっても、フリーランチはもう保証されません。
💡 キャッシュフローが同じだとわかっていることも必要です。包装された包みが、包装されていないiPodとほぼ同じ価格でオークションで落札されれば、入札者たちが中身を何だと考えているかがわかります。価格には、市場全体が知っていることが織り込まれるのです。
V確認クイズ
問1 · 安く買い、高く売る
条件:資産AとBは、何が起きても、同じ日付にまったく同じキャッシュフローを約束しています。Aの価格は $96.40、Bは $97.10 です。裁定になるのはどの取引で、1単位あたりいくら得られるかを答えてください。
✅ 正解です! 今日
97.10−96.40=0.70 ドルを受け取り、その後のどの時点でも、Aから受け取る額はBについて支払う額とちょうど同じです。
❌ 向きが逆です。 Bを買うには97.10かかり、Aを売って入るのは96.40なので、今日0.70ドルの持ち出しになります。安いほうを買いましょう。
❌ 惜しい! 差額が手に入るのは今日の1回だけです。その後はAから
CFt を受け取り、Bについて同じ
CFt を支払うので、各時点は差し引き
+CFt−CFt=0 です。
❌ 惜しい! 何が起きても、AとBは同じ日付に同じ額を支払います。キャッシュフローが少なければ、Aから受け取る額が減り、Bについて支払う額もちょうど同じだけ減ります。リスクは残りません。
解答を見る
Aのほうが安いので、Aを買ってBを売ります。今日は:
PB−PA=97.10−96.40=0.70>0
その後の各時点 t では、何が起きても、Aから CFt を受け取り、Bについて CFt を支払います:
+CFt−CFt=0
こうして1単位あたり $0.70 が、リスクも今日以降の正味の支払い義務もなく手元に残ります。フリーランチです。
問2 · 法則が仮定していること
条件:あるクラスメートが、一物一価の法則は均衡の結果であり、需要と供給が一致するときにしか成り立たない、と言っています。裁定の議論が投資家について実際に仮定しているのは何ですか?
✅ 正解です! 少ないより多いほうを好む人が1人いれば、価格が違う限り、その人が安い資産を買い、高い資産を売り続けます。
❌ 惜しい! 需要と供給が一致していなくても、法則は成り立ちます。この議論は均衡に一切触れていません。
❌ 言いすぎです。 人々一般である必要すらありません。経済のなかに、少ないお金より多いお金を好む人が1人いれば、差を利用するには十分です。
❌ 惜しい! この議論は、どんな商品の価格公式も使っていません。同じキャッシュフローにつく2つの価格を比べるだけで、どちらの価格がいくらであるべきかは何も言っていません。
解答を見る
まったく同じキャッシュフローが P1<P2 で売られているとします。資産1を買って資産2を売ると、今日は P2−P1>0、その後のどの時点も +CFt−CFt=0 になります。少ないお金より多いお金を好む人なら誰でもこの取引をし、価格が違う限り続けます。
この議論のどこにも、需要と供給の一致も、すべての投資家が同じように行動することも、価格の公式も必要ありません。必要なのは、少ないより多いほうを好む人が1人いることです(それに加えて、持っていないものを売ることも含め、自由に売買できること)。
問3 · 取引の規模を大きくする
条件:2つの資産がまったく同じキャッシュフローを約束しています。資産1の価格は $48.25、資産2は $48.60 です。あなたは資産1を2,000単位買い、資産2を2,000単位売ります。時点2には、どちらの資産も1単位あたり $3.10 を支払います。今日と時点2の、差し引きの現金を求めてください。
今日の差し引きの現金は?
時点2の差し引きの現金は?
✅ 正解です! 今日は
2,000×0.35=700 ドル、時点2は
2,000×3.10−2,000×3.10=0 です。
❌ 今日の現金を確かめましょう。 高い資産を売り、安い資産を買うので、
2,000×48.60 を受け取り、
2,000×48.25 を支払います。
❌ 1単位分だけです。 48.60−48.25=0.35 は1単位あたりの利益で、ポジションは2,000単位です。
❌ 片側の取引だけです。 2,000×48.60=97,200 は売却で入る額ですが、資産1の購入に
2,000×48.25=96,500 かかります。
❌ 時点2を確かめましょう。 両側を数えてください。資産1から受け取る額と、資産2について支払う額です。
❌ 片側の取引だけです。 資産1から
2,000×3.10=6,200 が入り、資産2について同じ6,200が出ていくので、打ち消し合います。
❌ 惜しい! 価格差が手に入るのは、取引したときの1回だけです。その後の時点にあるのはキャッシュフローだけで、それは打ち消し合います。
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今日:資産2を2,000単位売り、資産1を2,000単位買います:
2,000×48.60−2,000×48.25=97,200−96,500=700
つまり $700 を受け取ります。
時点2:資産1から 2,000×3.10=6,200 を受け取り、資産2について同じ額を支払います:
+6,200−6,200=0
ほかのどの時点も同じなので、利益は $700 がすべてで、今日以降の正味の支払い義務はありません。
問4 · 利付債とそのストリップス債
条件:2年物の債券が、時点1にクーポン $4 を、時点2に $104(最後のクーポンと額面 $100)を支払います。ストリップス債の価格は、時点1に支払われる $1 あたり $0.96、時点2に支払われる $1 あたり $0.91 です。この債券の価格は $99.10 です。裁定になるのはどの取引で、今日いくら得られるかを答えてください。
✅ 正解です! 詰め合わせの費用は $98.48 で、債券とちょうど同じ額を支払います。ですから債券を $99.10 で売って詰め合わせを買えば、$0.62 が確定します。
❌ キャッシュフローが1つ抜けています。 時点2には最後のクーポンも支払われるので、100ではなく104です。時点2満期のストリップス債が100単位だけだと、その時点でまだ4を支払う義務が残り、ポジションは無リスクになりません。
❌ 向きが逆です。 債券(99.10)は詰め合わせ(98.48)より割高です。債券を買って詰め合わせを売ると、今日0.62ドルの持ち出しになります。
❌ 惜しい! 法則が比べるのは名前ではなく、キャッシュフローです。詰め合わせは時点1に4、時点2に104を支払い、債券とちょうど同じなので、同じ価格でなければなりません。
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債券のキャッシュフローを再現する詰め合わせの費用は
4×0.96+104×0.91=3.84+94.64=98.48
債券の価格は99.10で、まったく同じ詰め合わせより高くなっています。債券を売り、詰め合わせを買います:
99.10−98.48=0.62>0
時点1にはストリップス債から4を受け取り、債券のクーポン4を支払います。時点2には104を受け取り、104を支払います。その後のどの時点も差し引きゼロなので、債券1本あたり $0.62 はフリーランチです。債券を持っていない場合、それを売ることは持っていないものを売ることになります。その前提を、次の動画で確かめます。
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