ファイナンス理論 · 第7回 · 動画5 · インタラクティブ教材

デュレーション:利回りが動くと債券価格はどれだけ動くか

I重要な公式

公式名称必要なもの
Dm=∑k=1Tk⋅ωk,ωk=Ck/(1+y)kPD_m = \sum_{k=1}^{T} k \cdot \omega_k, \quad \omega_k = \dfrac{C_k/(1+y)^k}{P}マコーレー・デュレーション:支払日を現在価値で加重した平均キャッシュフロー CkC_k、1期あたりの利回り yy、価格 P=∑kCk/(1+y)kP = \sum_k C_k/(1+y)^k。答えは期数で出ます
1P∂P∂y=−Dm1+y=−Dm∗\dfrac{1}{P}\dfrac{\partial P}{\partial y} = -\dfrac{D_m}{1+y} = -D_m^*修正デュレーション:利回りが1単位上がったときの価格の下落率期数で表した DmD_m と、1期あたりの yy
ΔP≈−Dm∗⋅P⋅Δy\Delta P \approx -D_m^* \cdot P \cdot \Delta y接線に沿った価格の変化。Dm∗⋅PD_m^* \cdot P が価格リスク同じ時間の単位で測った Dm∗D_m^* と Δy\Delta y
年単位の Dm=∑kk⋅ωkq,年単位の Dm∗=年単位の Dm1+y/q\text{年単位の } D_m = \dfrac{\sum_k k \cdot \omega_k}{q}, \quad \text{年単位の } D_m^* = \dfrac{\text{年単位の } D_m}{1 + y/q}期数を年に換算する支払いは年 qq 回。yy は提示される年率の利回りなので、1期あたりは y/qy/q

ポイント: デュレーションは時間です。クーポン7%の4年物米国中期国債は D=7.13D = 7.13 半期、およそ 3.573.57 年です。価値のおよそ79%が第8期に入ってくるからです。修正デュレーションは 7.13/1.03=6.927.13/1.03 = 6.92 半期なので、半年あたりの利回りが 0.1%0.1\% 上がると、価格はおよそ 6.92×0.1%≈0.69%6.92 \times 0.1\% \approx 0.69\% 下がります。

II現在価値の釣り合う点

各支払いの現在価値を棒として時間軸の上に立てたとき、軸がちょうど釣り合う点がマコーレー・デュレーションです。

💡 半年あたりちょうど3%で割り引くと、8つの現在価値の合計は、動画の表が合計として示す提示価格の$103.50ではなく$103.51になります。また第3期の k⋅PVk \cdot \text{PV} は 9.619.61 になり、表の 9.609.60 とは少し違います。どちらにしても D=7.13D = 7.13 半期です。

IIIデュレーションは価格・利回り曲線の傾き

今日の利回りでの接線の傾きは −Dm∗⋅P-D_m^* \cdot P で、凸の曲線はその直線より上に曲がります。

IVDD と Δy\Delta y は同じ時間の単位で

デュレーションには、同じ時間の単位で測った利回りの変化を組み合わせます。そうしないと、価格の動きが2倍に出てしまいます。

V確認クイズ

問1 · 2期の債券のマコーレー・デュレーション

条件: ある債券は第1期末に$10、第2期末に$110を払い、利回りは1期あたり y=10%y = 10\% です。この債券のマコーレー・デュレーション DmD_m を期数で求めてください。

✅ 正解です! 価値のおよそ91%が第2期に入ってくるので、釣り合う点は満期の少し手前にあります。
❌ 惜しい! 1.501.50 は2つの日付を同じ重みで扱っています。ウェイトは現在価値で決まります。価格$100のうち$90.91が第2期に入ってきます。
❌ 惜しい! 1.74=1.91/1.101.74 = 1.91/1.10 は修正デュレーションです。問われているのは、1+y1+y で割る前のマコーレー・デュレーションです。
❌ 惜しい! デュレーションが満期に等しくなるのは、ゼロクーポン債だけです。第1期の$10のクーポンが、釣り合う点を手前に引き寄せます。
❌ 惜しい! 各日付を、価格に占めるその現在価値の割合で加重しましょう。
解答を見る

1期あたり 10%10\% での現在価値は次のとおりです。

PV1=101.10=9.09,PV2=1101.102=90.91,P=9.09+90.91=100.00\text{PV}_1 = \frac{10}{1.10} = 9.09, \qquad \text{PV}_2 = \frac{110}{1.10^2} = 90.91, \qquad P = 9.09 + 90.91 = 100.00

ウェイトは ω1=9.09/100=0.0909\omega_1 = 9.09/100 = 0.0909、ω2=90.91/100=0.9091\omega_2 = 90.91/100 = 0.9091 で、足すと1になります。したがって

Dm=1×0.0909+2×0.9091=0.0909+1.8182=1.9091≈1.91 期D_m = 1 \times 0.0909 + 2 \times 0.9091 = 0.0909 + 1.8182 = 1.9091 \approx 1.91 \text{ 期}

問2 · 米国中期国債の年単位の修正デュレーション

条件: 動画のクーポン7%の4年物米国中期国債は、利払いが年2回で、提示される利回りは 6%6\%(半年あたり 3%3\%)、マコーレー・デュレーションは D=7.13D = 7.13 半期です。年単位の修正デュレーションを求めてください。

✅ 正解です! 7.13/2.06=3.467.13/2.06 = 3.46 年です。これは半期単位の修正デュレーション 6.926.92 を q=2q = 2 で割ったものと同じです。
❌ 惜しい! 7.13/2=3.577.13/2 = 3.57 は年単位のマコーレー・デュレーションです。修正デュレーションでは、さらに 1+y/q=1.031 + y/q = 1.03 で割ります。
❌ 惜しい! 7.13/1.03=6.927.13/1.03 = 6.92 は正しいのですが、単位は年ではなく半期です。q=2q = 2 で割りましょう。
❌ 惜しい! 7.13/(2×1.06)=3.367.13/(2 \times 1.06) = 3.36 は、1 + 年率の利回りで割っています。1期あたりの利回りは y/q=3%y/q = 3\% なので、1.031.03 で割ります。
❌ 惜しい! 期数を年に換算し、1+y/q1 + y/q で割りましょう。
解答を見る

支払いは年 q=2q = 2 回、提示される利回りは y=0.06y = 0.06 です。

年単位の Dm=7.132≈3.57 年,年単位の Dm∗=7.13/21+0.06/2=7.132.06=3.46 年\text{年単位の } D_m = \frac{7.13}{2} \approx 3.57 \text{ 年}, \qquad \text{年単位の } D_m^* = \frac{7.13/2}{1 + 0.06/2} = \frac{7.13}{2.06} = 3.46 \text{ 年}

半期単位の修正デュレーションからも同じ値が出ます:6.92/2=3.466.92/2 = 3.46 年。

問3 · ゼロクーポン債の利回りが20ベーシスポイント上がる

条件: 年複利の10年物ゼロクーポン債の利回りは y=5%y = 5\% です。利回りが20ベーシスポイント(bp)上がって 5.20%5.20\% になります。修正デュレーションと、価格のおおよその変化率を求めてください。

修正デュレーション Dm∗D_m^*

価格のおおよその変化

✅ 正解です! Dm∗=10/1.05=9.52D_m^* = 10/1.05 = 9.52 年なので、ΔP/P≈−9.52×0.20%=−1.90%\Delta P/P \approx -9.52 \times 0.20\% = -1.90\% です。
❌ 惜しい! 1010 年はマコーレー・デュレーションで、ゼロクーポン債では満期に等しくなります。修正デュレーションは、それを 1+y=1.051 + y = 1.05 で割ったものです。
❌ 修正デュレーションを確認しましょう。 マコーレー・デュレーションを 1+y1 + y で割ります。利回りをかけたり引いたりするのではありません。
❌ 惜しい! −10×0.20%-10 \times 0.20\% はマコーレー・デュレーションを使っています。価格の変化率を決めるのは修正デュレーション 9.529.52 です。
❌ Δy\Delta y の大きさを確認しましょう。 20 bpは 0.20%=0.0020.20\% = 0.002 で、0.020.02 ではありません。
❌ 符号を確認しましょう。 価格と利回りは逆向きに動きます。利回りが上がると価格は下がります。
❌ 価格の変化を確認しましょう。 ΔP/P≈−Dm∗⋅Δy\Delta P/P \approx -D_m^* \cdot \Delta y に Δy=0.002\Delta y = 0.002 を入れます。
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ゼロクーポン債の支払いは1回だけなので、Dm=T=10D_m = T = 10 年(1期 = 1年)です。したがって

Dm∗=Dm1+y=101.05=9.52 年D_m^* = \frac{D_m}{1+y} = \frac{10}{1.05} = 9.52 \text{ 年} ΔPP≈−Dm∗⋅Δy=−9.52×0.002=−0.0190=−1.90%.\frac{\Delta P}{P} \approx -D_m^* \cdot \Delta y = -9.52 \times 0.002 = -0.0190 = -1.90\%.

正確に計算し直すと (1.051.052)10−1=−1.88%\left(\tfrac{1.05}{1.052}\right)^{10} - 1 = -1.88\% です。価格・利回り曲線は凸なので、価格の下落は接線が示すよりわずかに小さくなります。

問4 · 2本の債券からなるポートフォリオのデュレーション

条件: あるポートフォリオは、マコーレー・デュレーション2年の債券Aを$40,000(時価)、マコーレー・デュレーション7年の債券Bを$60,000持っています。どちらも同じ年率の利回りで価格づけされています。ポートフォリオのマコーレー・デュレーションを求めてください。

✅ 正解です! 0.4×2+0.6×7=5.00.4 \times 2 + 0.6 \times 7 = 5.0 年です。ポートフォリオのデュレーションは、各債券のデュレーションの時価加重平均です。
❌ 惜しい! 0.6×2+0.4×7=4.00.6 \times 2 + 0.4 \times 7 = 4.0 はウェイトを入れ替えています。価値の60%を占めるのは債券Bです。
❌ 惜しい! 4.54.5 は2本の債券を同じ重みで扱っていますが、ウェイトはポートフォリオの価値に占める割合、0.40.4 と 0.60.6 です。
❌ 惜しい! デュレーションは日付の平均であって、合計ではありません。債券を組み合わせても、最も長い債券の7年を超えることはありません。
❌ 惜しい! 各債券のデュレーションを、ポートフォリオの価値に占めるその債券の割合で加重しましょう。
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ポートフォリオのキャッシュフローを期ごとに集め、各日付を、その現在価値をポートフォリオの価値 V=PA+PBV = P_A + P_B で割ったもので加重します。どちらの債券も同じ利回りで割り引かれるので、和は債券ごとに分けられます。

Dport=∑kk⋅PVA,k+∑kk⋅PVB,kV=PADA+PBDBV.D_{\text{port}} = \frac{\sum_k k \cdot \text{PV}_{A,k} + \sum_k k \cdot \text{PV}_{B,k}}{V} = \frac{P_A D_A + P_B D_B}{V}.

ウェイトは 40,000/100,000=0.440{,}000/100{,}000 = 0.4 と 60,000/100,000=0.660{,}000/100{,}000 = 0.6 です。

Dport=0.4×2+0.6×7=0.8+4.2=5.0 年D_{\text{port}} = 0.4 \times 2 + 0.6 \times 7 = 0.8 + 4.2 = 5.0 \text{ 年}

正解数:0 / 4