ファイナンス理論 · 第7回 · 動画6 · インタラクティブ教材

コンベクシティ:デュレーションが見落とす価格・利回り曲線の曲がり

I重要な公式

公式名称説明
Vm=1P∂2P∂y2=1(1+y)2∑k=1Tk(k+1)CkP (1+y)kV_m = \dfrac{1}{P}\dfrac{\partial^2 P}{\partial y^2} = \dfrac{1}{(1+y)^2}\displaystyle\sum_{k=1}^{T} k(k+1)\dfrac{C_k}{P\,(1+y)^k}コンベクシティ価格1単位あたりの二階微分。yy と kk は支払いの1期を単位とします。年2回利払いの債券を年単位で表すには、半年あたり y/2y/2 で割り引き、各 k(k+1)k(k+1) を 4=224 = 2^2 で割ります
P(y′)≈P(y)[1−Dm∗(y′−y)+12Vm(y′−y)2]P(y') \approx P(y)\left[1 - D_m^*(y'-y) + \tfrac12 V_m (y'-y)^2\right]二次のテイラー近似デュレーションは利回りの変化について一次の項を、コンベクシティは二次の項を受け持ちます
Dm∗(P)=∑jPjPDm,j∗,Vm(P)=∑jPjPVm,jD_m^*(P) = \displaystyle\sum_j \frac{P_j}{P} D_{m,j}^*, \quad V_m(P) = \sum_j \frac{P_j}{P} V_{m,j}ポートフォリオ各債券の尺度の時価加重平均。すべての利回りが同じだけ動くと仮定します
E ⁣[ΔPP]≈12Vm σ2E\!\left[\dfrac{\Delta P}{P}\right] \approx \tfrac12 V_m\,\sigma^2(E[y′−y]=0E[y'-y] = 0 のとき)ボラティリティ一次の項は平均するとゼロになり、二次の項は「コンベクシティの半分 × 利回りの変化の分散」を加えます

ポイント: 動画の債券(満期4年、クーポン6%を年2回払い、価格は額面。利回りはすべて半年複利の年率なので、半年あたり3%)は、Dm∗=3.509846D_m^* = 3.509846、Vm=14.805972V_m = 14.805972 です。利回りが6%から8%に上がると y′−y=0.02y'-y = 0.02 で、2つの項による推定値は 100(1−0.0701969+0.0029612)≈93.276427100(1 - 0.0701969 + 0.0029612) \approx 93.276427 です。正確な価格は 93.26725593.267255(半年あたり4%)なので、外れは 0.010.01 未満です。デュレーションだけだと 92.98030892.980308 で、0.290.29 近く低すぎます。

II2つの項で曲線を追う

デュレーションの直線は正確な価格から離れていきますが、コンベクシティの項を加えると外れはほとんどなくなります。

III同じ振れ幅、違う価格変化

利回りの変化幅が同じなら、下がったときの利益は上がったときの損失より大きいので、ボラティリティだけで価格の期待値が上がります。

IVポートフォリオのコンベクシティは加重平均

2本のゼロクーポン債を組み合わせると、デュレーションもコンベクシティも平均されるので、組み合わせはデュレーションの等しい1本のゼロクーポン債より上に来ます。

💡 どちらの平均も、すべての債券の利回りが同じだけ動くことを仮定しています。投資家はコンベクシティに価値があることを知っているので、デュレーションが同じなら、コンベクシティの大きいポジションほど低い利回り、つまり高い価格で取引されます。コンベクシティの代金は、買うときに払っているのです。

V確認クイズ

問1 · 2つの項の公式を使う

条件: 価格 100100 の債券があり、Dm∗=5D_m^* = 5、Vm=40V_m = 40 です。利回りが1パーセントポイント上がり、y′−y=0.01y' - y = 0.01 となります。新しい価格の二次の推定値を求めてください。

✅ 正解です! 100(1−0.05+0.002)=95.20100(1 - 0.05 + 0.002) = 95.20。デュレーションで5ポイント下がり、コンベクシティで0.2ポイント戻ります。
❌ それはデュレーションだけの値です。 100(1−5×0.01)=95100(1 - 5 \times 0.01) = 95 では、コンベクシティの項 12×40×0.012=0.002\tfrac12 \times 40 \times 0.01^2 = 0.002 が抜けています。
❌ 二次の項の符号を確認しましょう。 12Vm(y′−y)2\tfrac12 V_m (y'-y)^2 は足します。コンベクシティは正で、変化は2乗されるからです。
❌ 1/2 が抜けています。 テイラー近似の項は 12Vm(y′−y)2=0.002\tfrac12 V_m (y'-y)^2 = 0.002 で、Vm(y′−y)2=0.004V_m(y'-y)^2 = 0.004 ではありません。
❌ 惜しい! P(y′)≈P(y)[1−Dm∗(y′−y)+12Vm(y′−y)2]P(y') \approx P(y)\left[1 - D_m^*(y'-y) + \tfrac12 V_m (y'-y)^2\right] を使いましょう。
解答を見る

一次の項:Dm∗(y′−y)=5×0.01=0.05D_m^*(y'-y) = 5 \times 0.01 = 0.05。二次の項:12Vm(y′−y)2=12×40×0.0001=0.002\tfrac12 V_m (y'-y)^2 = \tfrac12 \times 40 \times 0.0001 = 0.002。

P(y′)≈100 (1−0.05+0.002)=100×0.952=95.20P(y') \approx 100\,(1 - 0.05 + 0.002) = 100 \times 0.952 = 95.20

デュレーションだけなら 95.0095.00 と予測します。曲線は接線より上に曲がるので、コンベクシティの項が推定値を引き上げます。

問2 · 利回りが下がるとき

条件: 利回り6%の動画の債券(価格 100100、Dm∗=3.509846D_m^* = 3.509846、Vm=14.805972V_m = 14.805972、利回りは半年複利)があります。利回りが4%に下がります。新しい価格の二次の推定値を求めてください。

✅ 正解です! y′−y=−0.02y'-y = -0.02 では、どちらの項も価格を引き上げます。100(1+0.0701969+0.0029612)≈107.3158100(1 + 0.0701969 + 0.0029612) \approx 107.3158 で、誤差は 0.010.01 以内です(正確な価格は 107.3255107.3255)。
❌ 二次の項の符号は変わりません。 利回りがどちらに動いても (y′−y)2=(−0.02)2=0.0004(y'-y)^2 = (-0.02)^2 = 0.0004 は正なので、ここでもコンベクシティは 0.00296120.0029612 を加えます。
❌ それはデュレーションだけの値です。 デュレーションの直線は、どちらの側でも価格を低く見積もります。12×14.805972×0.0004=0.0029612\tfrac12 \times 14.805972 \times 0.0004 = 0.0029612 を足しましょう。
❌ それは8%に上がったときの推定値です。 ここでは y′−y=−0.02y'-y = -0.02 なので −Dm∗(y′−y)=+0.0701969-D_m^*(y'-y) = +0.0701969 となり、価格は上がります。
❌ 惜しい! 2つの項の公式に y′−y=−0.02y'-y = -0.02 を代入しましょう。
解答を見る

一次の項:−Dm∗(y′−y)=−3.509846×(−0.02)=+0.0701969-D_m^*(y'-y) = -3.509846 \times (-0.02) = +0.0701969。二次の項:12×14.805972×(−0.02)2=+0.0029612\tfrac12 \times 14.805972 \times (-0.02)^2 = +0.0029612。

P(0.04)≈100 (1+0.0701969+0.0029612)=107.31581P(0.04) \approx 100\,(1 + 0.0701969 + 0.0029612) = 107.31581

すべてのキャッシュフローを半年あたり2%で割り引いた正確な価格は 107.325481107.325481 なので、推定値は 0.00970.0097 低いだけです。デュレーションだけだと 107.0197107.0197 で、0.3060.306 ずれます。8%に上がる場合と比べると、7.337.33 の利益は 6.736.73 の損失を上回ります。一方、デュレーションの直線はどちら向きにも 7.027.02 と予測します。

問3 · 2本の債券のポートフォリオ

条件: あるポートフォリオは、債券A(Dm∗=2.0D_m^* = 2.0、Vm=6.0V_m = 6.0)を6,000万ドル、債券B(Dm∗=9.0D_m^* = 9.0、Vm=95.0V_m = 95.0)を4,000万ドル持っています。2本の利回りは同じだけ動きます。ポートフォリオの修正デュレーションとコンベクシティ、そして利回りが50ベーシスポイント(bp)上がったときの価値の変化の推定値を求めてください。

ポートフォリオの修正デュレーション Dm∗(P)D_m^*(P) は?

ポートフォリオのコンベクシティ Vm(P)V_m(P) は?

y′−y=0.005y' - y = 0.005 のときの価値の変化の推定値は?

✅ 正解です! ウェイト 0.60.6 と 0.40.4 から Dm∗(P)=4.8D_m^*(P) = 4.8、Vm(P)=41.6V_m(P) = 41.6 となるので、価値は1億ドルのおよそ 2.348%2.348\% 下がります。
❌ ウェイトは半分ずつではなく、価値に占める割合です。 債券Aはポートフォリオの価値の 60/100=0.660/100 = 0.6、債券Bは 0.40.4 です。
❌ ウェイトが入れ替わっています。 保有額の大きい債券Aのウェイトが 0.60.6 です。
❌ それはデュレーションだけの値です。 −4.8×0.005=−0.024-4.8 \times 0.005 = -0.024 では、コンベクシティの項 12×41.6×0.0052=0.00052\tfrac12 \times 41.6 \times 0.005^2 = 0.00052 が抜けています。
❌ 二次の項の符号を確認しましょう。 コンベクシティの項は足すので、損失はデュレーションの予測より大きくなるのではなく、小さくなります。
❌ 1/2 が抜けています。 二次の項は 12Vm(y′−y)2=0.00052\tfrac12 V_m (y'-y)^2 = 0.00052 で、0.001040.00104 ではありません。
❌ デュレーションを確認しましょう。 Dm∗(P)=∑jPjPDm,j∗D_m^*(P) = \sum_j \frac{P_j}{P} D_{m,j}^* は時価加重平均で、合計ではありません。
❌ コンベクシティを確認しましょう。 Vm(P)=∑jPjPVm,jV_m(P) = \sum_j \frac{P_j}{P} V_{m,j} は時価加重平均で、合計ではありません。
❌ 変化を確認しましょう。 ポートフォリオ自身の尺度を使って ΔPP≈−Dm∗(P)(y′−y)+12Vm(P)(y′−y)2\frac{\Delta P}{P} \approx -D_m^*(P)(y'-y) + \tfrac12 V_m(P)(y'-y)^2 を計算します。
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ポートフォリオの価値は1億ドルなので、時価ウェイトはAが 60100=0.6\frac{60}{100} = 0.6、Bが 40100=0.4\frac{40}{100} = 0.4 です。

Dm∗(P)=0.6×2.0+0.4×9.0=1.2+3.6=4.8D_m^*(P) = 0.6 \times 2.0 + 0.4 \times 9.0 = 1.2 + 3.6 = 4.8 Vm(P)=0.6×6.0+0.4×95.0=3.6+38.0=41.6V_m(P) = 0.6 \times 6.0 + 0.4 \times 95.0 = 3.6 + 38.0 = 41.6 ΔPP≈−4.8×0.005+12×41.6×0.0052=−0.024+0.00052=−0.02348\frac{\Delta P}{P} \approx -4.8 \times 0.005 + \tfrac12 \times 41.6 \times 0.005^2 = -0.024 + 0.00052 = -0.02348

価値はおよそ 0.02348×100=2.3480.02348 \times 100 = 2.348(単位:百万ドル)、つまり234.8万ドル下がります。デュレーションだけなら、240万ドルの減少になります。

問4 · ボラティリティの価値

条件: 利回り6%の動画の債券(価格 100100、Dm∗=3.509846D_m^* = 3.509846、Vm=14.805972V_m = 14.805972)があります。金利の変動が大きくなり、明日の利回りは4%か8%のどちらかで、それぞれの確率は 12\tfrac12 です。二次近似による価格の期待値を求めてください。

✅ 正解です! E[y′−y]=0E[y'-y] = 0、E[(y′−y)2]=0.0004E[(y'-y)^2] = 0.0004 なので、E[P]≈100(1+12×14.805972×0.0004)≈100.30E[P] \approx 100(1 + \tfrac12 \times 14.805972 \times 0.0004) \approx 100.30 です。正確な平均 (107.325481+93.267255)/2=100.296368(107.325481 + 93.267255)/2 = 100.296368 とも一致します。
❌ 打ち消し合うのは一次の項だけです。 −Dm∗(y′−y)-D_m^*(y'-y) は平均するとゼロになりますが、12Vm(y′−y)2\tfrac12 V_m (y'-y)^2 はどちらの結果でも正です。
❌ 1/2 が抜けています。 期待される利益は 12Vmσ2\tfrac12 V_m \sigma^2 で、Vmσ2V_m \sigma^2 ではありません。
❌ ここでは、ボラティリティは債券の保有者に有利に働きます。 二次の項は足されるので、価格の期待値は 100100 を上回ります。
❌ 惜しい! 2つの項の公式を、2つの結果について平均しましょう。
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利回りの変化は同じ確率で +0.02+0.02 か −0.02-0.02 なので、E[y′−y]=0E[y'-y] = 0、σ2=E[(y′−y)2]=0.022=0.0004\sigma^2 = E[(y'-y)^2] = 0.02^2 = 0.0004 です。

E ⁣[ΔPP]≈−Dm∗⋅0+12Vmσ2=12×14.805972×0.0004=0.0029612E\!\left[\frac{\Delta P}{P}\right] \approx -D_m^* \cdot 0 + \tfrac12 V_m \sigma^2 = \tfrac12 \times 14.805972 \times 0.0004 = 0.0029612

よって E[P]≈100×1.0029612≈100.30E[P] \approx 100 \times 1.0029612 \approx 100.30 です。正確な価格で検算すると (107.325481+93.267255)/2=100.296368(107.325481 + 93.267255)/2 = 100.296368 です。他の条件が同じなら、振れ幅が大きいほど債券の価格の期待値は上がります。市場では、投資家はそのコンベクシティの代金を前もって払っています。

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