ファイナンス理論 · 第9回 · 動画5 · インタラクティブ教材

一つの配当への入札:オークションが明かすリスク調整後割引率

I重要な公式

公式名称必要なもの
Pt=∑k=1∞Et[Dt+k](1+rt+k)kP_t = \displaystyle\sum_{k=1}^{\infty} \frac{E_t[D_{t+k}]}{(1+r_{t+k})^k}配当を1回だけ払う会社のポートフォリオとしての株配当はそれぞれ独立した1つの会社で、その1つのキャッシュフローのリスクに見合った率 rt+kr_{t+k} で割り引きます
E[D]=12(54)+12(0)=27E[D] = \tfrac{1}{2}(54) + \tfrac{1}{2}(0) = 27期待される清算配当(単位:百万ドル)すべての結果とその確率。平均の額を支払う結果は1つもありません
15=27(1+r)5  ⇒  (1+r)5=1.815 = \dfrac{27}{(1+r)^5} \;\Rightarrow\; (1+r)^5 = 1.8入札額が価格を決める最高の入札額(1,500万ドル)、期待ペイオフ(2,700万ドル)、約5年
r=(E[D]P)1/T−1=1.81/5−1≈12.5%r = \left(\dfrac{E[D]}{P}\right)^{1/T} - 1 = 1.8^{1/5} - 1 \approx 12.5\%価格が示すリスク調整後の率価格と期待ペイオフだけ。無リスク金利も信用スプレッドも要りません

ポイント:リスク調整は入札者たちがやってくれます。オークションが証書の利回りを生み出すのは、2008年9月17日に入札が米国短期国債の利回りを生み出したのと同じです。この日、3か月物短期国債の利回りは約3ベーシスポイント(bp)、つまり0.03%まで下がりました。違うのは、証書のペイオフが不確実なので、その利回りがリスク調整後のものだという点です。

II入札額が率を明かす

価格と期待ペイオフで rr が決まります。入札額が成長して、期待値2,700万ドルになるときの率です。

III公正な価格でも公正な率は得られる

期待値2,700万ドルに1,500万ドルを払うと、平均して年約12.5%を稼げます。ただし、1枚1枚の証書が支払うのは54か0です。

IV確認クイズ

問1 · 率を逆算する

条件:1回払いの会社が、3年後に1回だけ清算配当を支払います。その期待値は3,200万ドルです。オークションでの最高の入札額は2,000万ドルでした。この価格が示す年あたりのリスク調整後割引率を求めてください。

✅ 正解です! (1+r)3=32/20=1.6(1+r)^3 = 32/20 = 1.6 なので 1+r=1.61/3≈1.16961 + r = 1.6^{1/3} \approx 1.1696 で、r≈17.0%r \approx 17.0\%(年あたり)です。
❌ それは複利を無視しています。 合計60%の利益を3年に均等に割ると20%ですが、1.23=1.7281.2^3 = 1.728 で、1.61.6 にはなりません。代わりに 1.61.6 の3乗根を取ってください。
❌ それは合計の利益で、年あたりの率ではありません。 32/20−1=60%32/20 - 1 = 60\% は3年間で得るものです。年あたりの率は (1+r)3=1.6(1+r)^3 = 1.6 の解です。
❌ それは動画の5年を使っています。 1.61/5−1≈9.9%1.6^{1/5} - 1 \approx 9.9\% です。この支払いは3年後なので、3乗根を取ってください。
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入札額が価格で、価格は期待ペイオフを3年分割り引いたものです(単位:百万ドル):

20=32(1+r)3⇒(1+r)3=3220=1.620 = \frac{32}{(1+r)^3} \quad\Rightarrow\quad (1+r)^3 = \frac{32}{20} = 1.6 1+r=1.61/3≈1.1696⇒r≈17.0%1 + r = 1.6^{1/3} \approx 1.1696 \quad\Rightarrow\quad r \approx 17.0\%

確認:20×1.16963≈32.020 \times 1.1696^3 \approx 32.0。入札者は、このリスクを抱える見返りに年約17%を稼ぐことを期待しています。

問2 · 分子は期待値

条件:ある事業が5年後に1回だけ清算配当を支払います。確率0.4で6,000万ドル、確率0.6で何も支払いません。今日の最高の入札額は1,200万ドルです。この価格が示す年あたりのリスク調整後の率を求めてください。

✅ 正解です! E[D]=0.4×60=24E[D] = 0.4 \times 60 = 24 なので (1+r)5=24/12=2(1+r)^5 = 24/12 = 2 で、r=21/5−1≈14.9%r = 2^{1/5} - 1 \approx 14.9\% です。
❌ それは成功したときのペイオフを割り引いています。 6,000万ドルが入るのは40%の確率だけです。分子は期待配当で、そこにはゼロになる可能性がすでに織り込まれています:0.4×60+0.6×0=240.4 \times 60 + 0.6 \times 0 = 24。
❌ 確率が入れ替わっています。 0.6×60=360.6 \times 60 = 36 は、失敗の確率を成功したときのペイオフに掛けています。事業が成功する確率は0.4なので、E[D]=24E[D] = 24 です。
❌ それは複利を無視しています。 5年で2倍になるのは年20%ではありません:1.25≈2.491.2^5 \approx 2.49。(1+r)5=2(1+r)^5 = 2 を解いてください。
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まず分子です(単位:百万ドル):

E[D]=0.4×60+0.6×0=24E[D] = 0.4 \times 60 + 0.6 \times 0 = 24

次に、入札額が価格を決めます:

12=24(1+r)5  ⇒  (1+r)5=2  ⇒  1+r=21/5≈1.1487  ⇒  r≈14.9%12 = \frac{24}{(1+r)^5} \;\Rightarrow\; (1+r)^5 = 2 \;\Rightarrow\; 1 + r = 2^{1/5} \approx 1.1487 \;\Rightarrow\; r \approx 14.9\%

2,400万ドルを支払う結果は1つもありません。これは1回の支払いの平均的な値で、率はその平均に対して測られます。

問3 · 配当を1回だけ払う2つの会社としての株

条件:ある株は、1年後に期待値$2の配当を、2年後に期待値$50の清算配当を支払い、そのあとは何も支払いません。それぞれの支払いを独立した1つの会社として扱います。市場は、近くてより安全な支払いを年6%で、遠くてよりリスクの高い支払いを年10%で割り引きます。株価を求めてください。

✅ 正解です! 21.06+501.102≈1.89+41.32=43.21\frac{2}{1.06} + \frac{50}{1.10^2} \approx 1.89 + 41.32 = 43.21。株は、1回払いの会社それぞれを自分の率で評価した価格の合計です。
❌ それは2つに同じ率を使っています。 21.10+501.102≈43.14\frac{2}{1.10} + \frac{50}{1.10^2} \approx 43.14 は、近くてより安全な配当を、遠い配当の10%で割り引いています。どの会社にも、自分のキャッシュフローに見合った率を使います。1社目は6%です。
❌ 指数を確認してください。 $50が入るのは2年後なので、割る数は 1.102=1.211.10^2 = 1.21 で、1.101.10 ではありません。
❌ それは配当を割り引かずに足しています。 部分を合計する前に、それぞれの支払いを時間とリスクについて割り引かなければなりません。
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会社1は1年後の1回の支払いのためだけに、会社2は2年後の1回の支払いのためだけに存在します:

P=21.06+50(1.10)2≈1.8868+41.3223≈43.21P = \frac{2}{1.06} + \frac{50}{(1.10)^2} \approx 1.8868 + 41.3223 \approx 43.21

株価は約$43.21です。両方を10%で割り引くと約$43.14になります。この差は、近くて安全な配当の率が低いことから来ています。

問4 · 公正に価格付けされた証書をなぜ買うのか

条件:動画の証書です。落札者は今日1,500万ドルを払い、5年後に事業は確率 12\tfrac{1}{2} で5,400万ドルを支払うか、何も支払いません。入札額は公正な価格です。

事業が成功した場合、落札者が得る年あたりの率はいくらですか?

正しい記述はどれですか?

✅ 正解です! 成功すれば1,500万ドルが5,400万ドルに増え、年約29.2%です。失敗すればすべてを失います。公正に価格付けされていれば、公正な12.5%をもたらすのは、証書の期待ペイオフ2,700万ドルです。
❌ それは期待される率で、成功したときの率ではありません。 12.5%は期待ペイオフ27から来ています。成功した状態ではペイオフは54なので、(1+r)5=54/15=3.6(1+r)^5 = 54/15 = 3.6 を解いてください。
❌ それは複利を無視しています。 合計260%の利益を5年に均等に割ると52%ですが、1.525≈8.11.52^5 \approx 8.1 で、3.63.6 にはなりません。代わりに 3.63.6 の5乗根を取ってください。
❌ それは5年間の合計の利益で、年あたりの率ではありません。 54/15−1=260%54/15 - 1 = 260\% です。年あたりの率は (1+r)5=3.6(1+r)^5 = 3.6 の解です。
❌ 成功したときの率を確認してください。 成功した状態のペイオフは、期待値の27ではなく54です:(1+r)5=54/15=3.6(1+r)^5 = 54/15 = 3.6 を解いてください。合計260%の利益を5年で割る(52%)のは、複利を無視しています。
❌ 記述を確認してください。 公正な価格とは、期待リターンがゼロになることではなく、リスクに対する公正な率に等しくなることです。その率は期待値であって保証ではありません。また、価格が誤っているという信念は、買うための追加の理由にすぎず、必要条件ではありません。
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成功した状態(単位:百万ドル):

15(1+r)5=54  ⇒  (1+r)5=3.6  ⇒  r=3.61/5−1≈29.2%15(1+r)^5 = 54 \;\Rightarrow\; (1+r)^5 = 3.6 \;\Rightarrow\; r = 3.6^{1/5} - 1 \approx 29.2\%

失敗した状態:ペイオフは0で、1,500万ドル全額の損失です。

平均では:E[D]=27E[D] = 27 で、15(1+r)5=2715(1+r)^5 = 27 から r=1.81/5−1≈12.5%r = 1.8^{1/5} - 1 \approx 12.5\% です。これが、このリスクを抱えることに対する公正な収益率です。公正に価格付けされた証券でも、期待値としてはこの率を稼げます。このリスクと報酬が欲しいから買うのであって、価格が誤っていると信じることは、追加の動機にすぎません。

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