ファイナンス理論 · 第9回 · 動画6 · インタラクティブ教材

r が g に近づくと株価が爆発する理由:ゴードン成長モデルとバブル崩壊

I重要な公式

公式名称必要なもの
Pt=∑k=1∞D(1+r)k=DrP_t = \displaystyle\sum_{k=1}^{\infty} \frac{D}{(1+r)^k} = \frac{D}{r}一定の配当の永久年金どの期でも同じ期待配当 DD と、どの時点にも当てはまる1つの割引率 rr。配当$5を5%で割り引くと$100、$6なら$120。率を倍の10%にすると、価格は半分の$50になります
Pt=∑k=1∞D(1+g)k−1(1+r)k=Dr−g,r>gP_t = \displaystyle\sum_{k=1}^{\infty} \frac{D(1+g)^{k-1}}{(1+r)^k} = \frac{D}{r-g}, \quad r > gゴードン成長モデル(定率成長配当割引モデル)1期後に入る最初の配当 DD が毎期 gg で永久に成長し、rr で割り引かれます。成長永久年金の CC を DD に置き換えたものです
D12(r−g)=2⋅Dr−g\dfrac{D}{\tfrac{1}{2}(r-g)} = 2 \cdot \dfrac{D}{r-g}差が半分になると価格は倍になる配当$1、r=10%r = 10\% のとき、成長率8%、9%、9.5%で価格は$50、$100、$200

ポイント:成長率 gg は予想です。配当$1、r=10%r = 10\% のとき、期待成長率を0%から1%に上げると株価は約11%上がりますが、9%から8%に下げると価値の半分が消えます。

II一定の配当:P=D/rP = D/r

株価は期待配当に比例して上がり、割引率に反比例します。

IIIゴードン・モデルの株価はどこから来るのか

D/(r−g)D/(r-g) は無限の和です。r=gr = g の近くでは、その大部分が何十年も先の配当から来ています。

💡 株価を年ごとに分けるのは、成長永久年金の和から計算した、ここでの独自の説明です。動画の論点も同じで、この公式は、その率が10年や20年ではなく、永久に続くことを前提にしています。

IV成長率1ポイントの差:r から遠いときと近いとき

D=1D = 1、r=10%r = 10\% のとき、同じ1ポイントの gg の修正でも、成長ゼロの株価はほとんど動きませんが、rr の近くの株価は半分になります。

V確認クイズ

問1 · 一定の配当と成長する配当

条件:ある株は、1年後に$3の配当を払い、そのあとも毎年同じ$3を永久に払うと期待されています。リスク調整後割引率は8%です。この株の価格を求めてください。次に、来年の配当は同じ$3のまま、その後は毎年2%で永久に成長すると期待される場合の価格を求めてください。

配当が$3で一定のときの価格は?

2%で成長するときの価格は?

✅ 正解です! 3/0.08=37.53 / 0.08 = 37.5 なので、配当が一定の株の価値は$37.50です。成長があると分母は 0.08−0.02=0.060.08 - 0.02 = 0.06 に縮み、3/0.06=503 / 0.06 = 50 なので、成長する株の価値は$50です。
❌ 配当が一定のときの価格を確認してください。 一定の配当が永久に続くのは永久年金です。配当を割引率で割ってください。
❌ 割るところを掛けています。 3×0.08=0.243 \times 0.08 = 0.24 は$3に対する1年分のリターンです。永久年金の価値は D/r=3/0.08=37.5D / r = 3 / 0.08 = 37.5 です。
❌ 小数点を確認してください。 8%は 0.080.08 で、0.0080.008 ではありません:3/0.08=37.53 / 0.08 = 37.5 で、375ではありません。
❌ それは最初の配当だけを評価しています。 3/1.08≈2.783 / 1.08 \approx 2.78 は来年の支払いだけの現在価値です。この株は毎年$3を永久に払います:D/r=37.5D / r = 37.5。
❌ 成長するときの価格を確認してください。 ゴードン成長モデル D/(r−g)D / (r - g) を、DD を最初の配当として使ってください。
❌ g の符号が逆です。 3/(0.08+0.02)=303 / (0.08 + 0.02) = 30 では、成長が価格を下げることになってしまいます。成長率は引きます:3/(0.08−0.02)=503 / (0.08 - 0.02) = 50。
❌ g だけで割っています。 3/0.02=1503 / 0.02 = 150 では割引率が抜け落ちています。分母は差 r−g=0.06r - g = 0.06 です。
❌ それは配当が一定のときの価格を1年分成長させています。 37.50×1.02=38.2537.50 \times 1.02 = 38.25 は成長を1回だけ当てはめたものです。成長は毎年永久に続き、公式はそのすべてを取り込みます:3/(0.08−0.02)=503 / (0.08 - 0.02) = 50。
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一定の配当:毎年 D=3D = 3、r=0.08r = 0.08 なので:

P=Dr=30.08=37.5P = \frac{D}{r} = \frac{3}{0.08} = 37.5

この株の価値は$37.50です。

成長する配当:最初の配当は1年後でやはり D=3D = 3、g=0.02g = 0.02 なので:

P=Dr−g=30.08−0.02=30.06=50P = \frac{D}{r - g} = \frac{3}{0.08 - 0.02} = \frac{3}{0.06} = 50

この株の価値は$50です。成長によって分母が小さくなるので、成長する配当は、一定の配当より価値が高くなります。

問2 · D はどの配当か

条件:ある会社が1株あたり$2.00の配当を払ったばかりです。配当は毎年4%で永久に成長すると期待され、割引率は9%です。今日の1株の価格を求めてください。

✅ 正解です! $2.00はすでに支払われたので、買い手が受け取る最初の配当は 2×1.04=2.082 \times 1.04 = 2.08 で、2.08/(0.09−0.04)=41.62.08 / (0.09 - 0.04) = 41.6 です。
❌ 惜しい!それはすでに支払われた配当を使っています。 D/(r−g)D/(r-g) の DD は1期後に入る最初の配当で、2×1.04=2.082 \times 1.04 = 2.08 です。したがって P=2.08/0.05=41.6P = 2.08 / 0.05 = 41.6 です。
❌ 成長が抜けています。 2/0.09≈22.222 / 0.09 \approx 22.22 は配当を一定として扱っています。4%の成長があるなら、分母は 0.09−0.04=0.050.09 - 0.04 = 0.05 です。
❌ g の符号が逆です。 2.08/(0.09+0.04)=162.08 / (0.09 + 0.04) = 16 は成長率を足しています。分母は r−g=0.05r - g = 0.05 です。
❌ 惜しい! まず来年の配当を求めてから、r−gr - g で割ってください。
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ゴードン成長モデルの DD は、1期後に入る最初の配当です。払ったばかりの配当は$2.00なので、次の配当の期待値は

D=2×(1+0.04)=2.08D = 2 \times (1 + 0.04) = 2.08 P=Dr−g=2.080.09−0.04=2.080.05=41.6P = \frac{D}{r - g} = \frac{2.08}{0.09 - 0.04} = \frac{2.08}{0.05} = 41.6

この株の価値は$41.60です。すでに支払われた$2.00を代入すると$40になり、1年分の成長だけ株を低く評価してしまいます。

問3 · 高騰のあとの暴落

条件:ある株の次の配当の期待値は$4で、割引率は11%です。市場は配当が毎年7%で永久に成長すると期待しているので、株価は$100です。良いニュースで期待成長率が9%に上がり、その後、悪いニュースで3%に下がりました。良いニュースのあとの株価と、悪いニュースによる株価の変化率を求めてください。

期待成長率が9%に上がったあとの株価は?

期待成長率が9%から3%に下がったときの変化率は?

✅ 正解です! 差 r−gr - g が4%から2%へ半分になるので、株価は倍の$200になります。次に差が4倍の8%になるので、株価は4分の1の 200/4=50200 / 4 = 50 に下がり、変化は 14−1=−75%\tfrac{1}{4} - 1 = -75\% です。
❌ 新しい株価を確認してください。 g=0.09g = 0.09 で D/(r−g)D / (r - g) を計算し直してください。
❌ 株価は g に比例しません。 成長率が7%から9%に上がるのは gg の 2/7≈28.6%2/7 \approx 28.6\% の上昇ですが、株価は差で決まります:4/(0.11−0.09)=4/0.02=2004 / (0.11 - 0.09) = 4 / 0.02 = 200。
❌ g だけで割っています。 4/0.09≈44.444 / 0.09 \approx 44.44 では割引率が抜け落ちています。分母は r−g=0.02r - g = 0.02 です。
❌ $4はすでに来年の配当です。 4×1.09/0.02=2184 \times 1.09 / 0.02 = 218 は、それをもう1回成長させています。D/(r−g)D/(r-g) の DD は最初の配当なので、P=4/0.02=200P = 4 / 0.02 = 200 です。
❌ 変化を確認してください。 g=0.03g = 0.03 での株価を求めて、元の$100ではなく、$200の株価と比べてください。
❌ 株価は g に比例して動きません。 成長率が9%から3%に下がるのは gg の 6/9≈66.7%6/9 \approx 66.7\% の引き下げですが、差 r−gr - g は2%から8%になるので、株価は$200の4分の1に下がります。
❌ 出発点の株価が違います。 50/100−1=−50%50 / 100 - 1 = -50\% は元の$100からの下落を測っています。悪いニュースが来たのは株価が$200のときです:50/200−1=−75%50 / 200 - 1 = -75\%。
❌ それは g の変化で、株価の変化ではありません。 gg は6パーセントポイント下がり、株価は$200から$50に下がりました。
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出発点の株価の確認:P=4/(0.11−0.07)=4/0.04=100P = 4 / (0.11 - 0.07) = 4 / 0.04 = 100 で、与えられた$100です。

良いニュース、g=0.09g = 0.09:

P=40.11−0.09=40.02=200P = \frac{4}{0.11 - 0.09} = \frac{4}{0.02} = 200

株価は$200です。差が半分になり、株価は倍になりました。

悪いニュース、g=0.03g = 0.03:

P=40.11−0.03=40.08=50P = \frac{4}{0.11 - 0.03} = \frac{4}{0.08} = 50 50200−1=−0.75\frac{50}{200} - 1 = -0.75

差が 0.020.02 から 0.080.08 になったので、株価は 14\tfrac{1}{4} 倍になり、変化は −75%-75\% です。配当も rr も変わらず、gg が2回修正されただけで、株価は倍になったあと、価値の4分の3を失いました。

問4 · 金利が上がるとき

条件:市場全体で金利が上がり、2つの株の割引率が10%から11%に上がりました。ほかには何も変わりません。どちらも来年$1を払うと期待されています。株Aの配当は永久に一定のまま、株Bの配当は毎年9%で永久に成長すると期待されています。それぞれの株の価格の変化率を求めてください。

株A(成長なし)は?

株B(9%成長)は?

✅ 正解です! 株Aの分母は 0.100.10 から 0.110.11 に上がるので、価格は$10から約$9.09へ、約9.1%下がります。株Bの差 r−gr - g は1%から2%へ倍になるので、価格は$100から$50へ半分になります。同じ金利の上昇でも、r=gr = g の近くで価格がついている株には、5倍以上の打撃になります。
❌ 株Aを確認してください。 1/0.111 / 0.11 と 1/0.101 / 0.10 を比べてください。
❌ 惜しい!価格は r に反比例します。 rr が10%上がる(0.10から0.11へ)と、価格は 0.90.9 倍ではなく 1/1.11/1.1 倍になります:10/11−1≈−9.1%10/11 - 1 \approx -9.1\%。
❌ それは率の変化です。 率は1パーセントポイント上がり、価格は$10から約$9.09になりました。
❌ それは株Bの変化です。 株Aには成長がないので、価格は 1/0.10=101/0.10 = 10 から 1/0.11≈9.091/0.11 \approx 9.09 になります。
❌ 株Bを確認してください。 1/(0.11−0.09)1 / (0.11 - 0.09) と 1/(0.10−0.09)1 / (0.10 - 0.09) を比べてください。
❌ 成長があると感応度が変わります。 株Bの分母は差 r−gr - g で、0.010.01 から 0.020.02 へ倍になるので、価格は半分になります。
❌ それは率の変化です。 rr が1ポイント上がったことで株Bの差 r−gr - g は1%から2%へ倍になり、価格は$100から$50になりました。
❌ 向きが逆です。 差は倍になりましたが、それは分母にあります。差が倍になれば価格は半分になります。
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株A、P=D/rP = D / r:

10.10=10→10.11≈9.09,1011−1=−111≈−9.1%\frac{1}{0.10} = 10 \quad\to\quad \frac{1}{0.11} \approx 9.09, \qquad \frac{10}{11} - 1 = -\frac{1}{11} \approx -9.1\%

株B、P=D/(r−g)P = D / (r - g):

10.10−0.09=100→10.11−0.09=50,50100−1=−50%\frac{1}{0.10 - 0.09} = 100 \quad\to\quad \frac{1}{0.11 - 0.09} = 50, \qquad \frac{50}{100} - 1 = -50\%

株Aは$10から約$9.09へ、株Bは$100から$50へ下がります。動画が言うとおり、金利が上がればどの株価も下がりますが、期待成長率が割引率に近い株ほど、ずっと大きく下がります。

正解数:0 / 4