ファイナンス理論 · 第9回 · 動画7 · インタラクティブ教材

配当利回りは答えの半分:資本コスト r = D/P + g

I重要な公式

公式名称必要なもの
Pt=Dr−g,r>gP_t = \dfrac{D}{r - g}, \quad r > gゴードン成長モデル(定率成長配当割引モデル)(出発点)配当 DD が率 gg で永久に成長し、率 rr で割り引かれます。PtP_t は配当落ち後の価格なので、DD は来期の配当です
r=DPt+gr = \dfrac{D}{P_t} + g資本コスト:配当利回り+成長率ゴードン成長モデルに r−gr - g をかけ、PtP_t で割り、gg を足します。D/PtD/P_t は配当株価比率で、クーポン÷価格の株式版です
r=D0(1+g)Pt+gr = \dfrac{D_0(1+g)}{P_t} + g観察できる入力で書いた同じ公式支払われたばかりの配当 D0D_0 と今日の株価(観察値)に、gg(判断)を加えます。gg は配当の周期で測ります。四半期ごとの配当なら四半期の gg です
r=(0.052)(1.049)+0.049≈10.35%r = (0.052)(1.049) + 0.049 \approx 10.35\%デューク・パワー、1992年9月配当利回り D0/P0=5.2%D_0/P_0 = 5.2\% とバリューラインの g=4.9%g = 4.9\%。I/B/E/S の g=4.1%g = 4.1\% なら (0.052)(1.041)+0.041≈9.51%(0.052)(1.041) + 0.041 \approx 9.51\% です

ポイント:配当利回りは現在の事業が払い出すものを測り、gg は会社の将来の成長機会が資本コストに入ってくるただ1つの場所です。この公式は rr と gg を結びつけます。一方を仮定すればもう一方を推測できますが、どちらか単独では何も教えてくれません。

II要求収益率の2つの部分

デューク・パワーの配当利回り5.2%は、資本コストのおよそ半分にすぎず、残りは成長がもたらしていました。

III配当利回りだけでは説明できない株価

成長しない永久年金として評価すると、デューク・パワーの価値は市場価格のおよそ半分でした。仮定した rr ごとに、1つの gg が導かれます。

IV配当を払わない会社とマイナスのキャッシュフロー

適用範囲内ではマイナスの DD からマイナスの株価が出て、範囲外では損失が深いほど「価値」が高くなります。

💡 これらは定常状態の式です。会社が成長のために投資していて、何も払わない年や赤字の年は1年ずつ評価し、定常状態の公式はそのあとにだけ当てはめます。

V確認クイズ

問1 · 支払われたばかりの配当から資本コストを求める

条件:ある株は配当落ち後の価格$40で取引されています。1株あたり$2.00の配当を支払ったばかりで、配当は年 g=5%g = 5\% で永久に成長すると期待されています。資本コスト rr を求めてください。

✅ 正解です! 来期の配当は 2.00×1.05=2.102.00 \times 1.05 = 2.10 なので、配当利回りの項は 2.10/40=5.25%2.10/40 = 5.25\%、r=5.25%+5%=10.25%r = 5.25\% + 5\% = 10.25\% です。
❌ 惜しい!どの配当でしょうか? 株価は配当落ち後の価格なので、D/PtD/P_t の DD は支払われたばかりの配当ではなく、来期の配当 D0(1+g)D_0(1+g) です。
❌ それは答えの半分だけです。 5.25%5.25\% は来期の配当に基づく配当利回りです。資本コストには、これに成長率 gg を足します。
❌ 惜しい! (1+g)(1+g) 倍になるのは配当だけです。gg の項はそのまま1回だけ足します:r=D0(1+g)/Pt+gr = D_0(1+g)/P_t + g。
❌ 惜しい! r=D0(1+g)/Pt+gr = D_0(1+g)/P_t + g を使います。
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株価は配当落ち後の価格なので、公式の配当は来期のものです:D=D0(1+g)=2.00×1.05=2.10D = D_0(1+g) = 2.00 \times 1.05 = 2.10 ドル。

r=D0(1+g)Pt+g=2.1040+0.05=0.0525+0.05=0.1025=10.25%r = \frac{D_0(1+g)}{P_t} + g = \frac{2.10}{40} + 0.05 = 0.0525 + 0.05 = 0.1025 = 10.25\%

代わりに支払われたばかりの配当を使うと 2.00/40+0.05=10.00%2.00/40 + 0.05 = 10.00\% となり、0.25パーセントポイント低すぎます。抜け落ちるのは D0g/Pt=0.05×0.05=0.25%D_0 g/P_t = 0.05 \times 0.05 = 0.25\% の部分です。

問2 · 配当の周期に合わせる

条件:ある会社は四半期ごとに配当を支払います。1株あたり$0.50を支払ったばかりで、配当落ち後の価格は$50、配当は四半期あたり 1%1\% で永久に成長すると期待されています。四半期あたりの資本コストを求めてください。

✅ 正解です! 四半期の配当、四半期の成長率、四半期の資本コストです:四半期あたり 0.505/50+0.01=2.01%0.505/50 + 0.01 = 2.01\%。
❌ 周期が混ざっています。 配当を4倍すると、年率の配当利回りと四半期の gg が並んでしまいます。この公式には時間の単位が組み込まれていないので、すべての入力を同じ周期にそろえる必要があります。
❌ 惜しい!どの配当でしょうか? 配当落ち後の価格に対しては、次の配当は支払われたばかりの$0.50ではなく、0.50×1.01=0.5050.50 \times 1.01 = 0.505 です。
❌ それは配当利回りだけです。 四半期の成長率 g=1%g = 1\% を足します。
❌ 惜しい! 配当、成長率、答えのすべてを四半期あたりでそろえます。
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配当は四半期ごとに支払われるので、gg も rr も四半期あたりです。来四半期の配当は D0(1+g)=0.50×1.01=0.505D_0(1+g) = 0.50 \times 1.01 = 0.505 ドルです。

r=0.50550+0.01=0.0101+0.01=0.0201=2.01%(四半期あたり)r = \frac{0.505}{50} + 0.01 = 0.0101 + 0.01 = 0.0201 = 2.01\% \text{(四半期あたり)}

周期を混ぜる誤りでは、配当を年率にしながら四半期の gg をそのまま使います:4×0.505/50+0.01=0.0404+0.01=5.04%4 \times 0.505/50 + 0.01 = 0.0404 + 0.01 = 5.04\%。これは四半期の資本コストでも年率の資本コストでもありません。

問3 · 成長ゼロの公式が見落とすもの

条件:ある株の配当利回り D0/P0D_0/P_0 は 4%4\% で、配当は年 6%6\% で永久に成長すると期待されています。資本コスト rr と、その rr で成長しない永久年金 D0/rD_0/r として評価した株の価値を求めてください。

資本コストはいくらですか?

成長ゼロの価値 D0/rD_0/r はいくらですか?

✅ 正解です! 市場価格は D0/0.04=25 D0D_0/0.04 = 25\,D_0 で、成長ゼロの価値の 25×0.1024=2.5625 \times 0.1024 = 2.56 倍です。その差が、gg に対して支払われている部分です。
❌ 惜しい!どの配当でしょうか? 4%+6%4\% + 6\% は支払われたばかりの配当を使っています。来期の配当は D0(1.06)D_0(1.06) なので、配当利回りの項は 0.04×1.06=4.24%0.04 \times 1.06 = 4.24\% です。
❌ それは配当利回りだけです。 成長率を足します:r=4.24%+6%r = 4.24\% + 6\%。
❌ 資本コストを確認しましょう。 (1+g)(1+g) 倍になるのは配当だけです:r=(0.04)(1.06)+0.06r = (0.04)(1.06) + 0.06。
❌ それは市場価格です。 D0/0.04=25 D0D_0/0.04 = 25\,D_0 は市場が支払う額です。成長ゼロの価値は、D0D_0 を配当利回りではなく資本コスト rr で割ります。
❌ 惜しい! 1/0.061/0.06 は成長率で割り引いています。永久年金は資本コスト r=10.24%r = 10.24\% で割り引きます。
❌ 惜しい!どの資本コストでしょうか? D0/0.10=10 D0D_0/0.10 = 10\,D_0 は、支払われたばかりの配当に基づく配当利回りに gg を足した 10%10\% を使っています。ここでの資本コストは r=10.24%r = 10.24\% です。
❌ 成長ゼロの価値を確認しましょう。 D0D_0 を、求めた資本コスト r=0.1024r = 0.1024 で割ります。
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ステップ1:資本コスト。

r=D0P0(1+g)+g=(0.04)(1.06)+0.06=0.0424+0.06=0.1024=10.24%r = \frac{D_0}{P_0}(1+g) + g = (0.04)(1.06) + 0.06 = 0.0424 + 0.06 = 0.1024 = 10.24\%

ステップ2:成長ゼロの価値。 rr で割り引く、D0D_0 の定額の永久年金です:

D0r=D00.1024=9.765625 D0≈9.77 D0\frac{D_0}{r} = \frac{D_0}{0.1024} = 9.765625\,D_0 \approx 9.77\,D_0

比較:市場価格は P0=D0/0.04=25 D0P_0 = D_0/0.04 = 25\,D_0 で、25/9.765625=2.5625/9.765625 = 2.56 です。gg を抜かすと、株は2倍以上割高に見えます。デューク・パワーも同じパターンでした:19.23 D019.23\,D_0 対 9.66 D09.66\,D_0 です。

問4 · 赤字の会社と r を上回る g

条件:インターネット時代のある会社が株主にもたらす定常状態のキャッシュフローは、1株あたり年 D=−2D = -2 ドル(損失)と推定されています。アナリストは P=D/(r−g)P = D/(r - g) に r=10%r = 10\% と g=12%g = 12\% を使います。

公式はどんな数字を返しますか?

アナリストはどう結論すべきですか?

✅ 正解です! マイナスのキャッシュフローからプラスの数字が出て、損失が深いほど大きくなる。これが動画で注意したおかしな結果で、モデルが適用範囲の外で使われています。
❌ 分母の符号を確認しましょう。 r−g=0.10−0.12=−0.02r - g = 0.10 - 0.12 = -0.02 で、マイナスをマイナスで割るとプラスになります。
❌ 惜しい! −2/0.10-2/0.10 は成長しない永久年金です。ここでの公式は r−gr - g で割ります。
❌ 惜しい! −2/0.12-2/0.12 は成長率だけで割っています。分母は r−g=0.10−0.12=−0.02r - g = 0.10 - 0.12 = -0.02 です。
❌ 計算を確認しましょう。 まず r−gr - g を計算し、それで DD を割ります。
❌ それこそがおかしな結果です。 計算 −4/(−0.02)=200-4/(-0.02) = 200 は正しいのですが、損失が価値を高めるのは評価ではなく、モデルの使い方を誤っているしるしです。
❌ 惜しい! 定常状態の配当を使っても、条件 r>gr > g が成り立たない公式は救えません。
❌ 惜しい! −2×1.12/(−0.02)=112-2 \times 1.12/(-0.02) = 112 で、やはりプラスです。問題は DD のタイミングではなく、g>rg > r であることです。
❌ 惜しい! ここで公式の条件 r>gr > g が成り立っているかを考えましょう。
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P=Dr−g=−20.10−0.12=−2−0.02=100P = \frac{D}{r - g} = \frac{-2}{0.10 - 0.12} = \frac{-2}{-0.02} = 100

ゴードン成長モデルには r>gr > g が必要です。その範囲内では、マイナスの DD からマイナスの株価が出て、それだけでも意味をなしません。ここのように範囲の外では、公式はプラスの数字を返し、損失が深いほど大きな数字になります:−4/(−0.02)=200-4/(-0.02) = 200。これは使い方を誤っているしるしです。P=D/(r−g)P = D/(r-g) は定常状態の式なので、会社が成長のために投資していてキャッシュフローがゼロやマイナスになる年は、1期ずつ明示的にモデル化しなければなりません。

正解数:0 / 4