線形代数 · 第1回 · 動画2 · インタラクティブ教材

3次元の連立方程式:行の見方と列の見方

I重要な公式

概念 式 説明
行列の方程式 Ax=bA\mathbf{x} = \mathbf{b} 連立一次方程式をひとまとめに書いた形
行の見方(3次元) 各方程式 →\rightarrow 平面 解 = すべての平面の交わり
列の見方 xc1+yc2+zc3=bx\mathbf{c}_1 + y\mathbf{c}_2 + z\mathbf{c}_3 = \mathbf{b} 列を組み合わせて b\mathbf{b} を作るスカラーを求める
一次結合(線形結合) α1v1+α2v2+⋯+αnvn\alpha_1\mathbf{v}_1 + \alpha_2\mathbf{v}_2 + \cdots + \alpha_n\mathbf{v}_n スカラー倍したベクトルの和

II可視化1 — 行の見方

方程式の一つ一つが平面です。3つを重ねていくと、解は平面から直線へ、そして1点へと絞られていきます。

💡 未知数が3つを超えると、行の見方は通用しなくなります。変数が4つなら方程式の一つ一つが3次元の超平面になり、誰にも描けません。その穴をちょうど埋めてくれるのが列の見方です。

III可視化2 — 列の見方

どんなスカラー x,y,zx, y, z で列を伸び縮みさせれば、矢印をつなげた和が目標 b=[0,−1,4]\mathbf{b} = [0, -1, 4] に着地するでしょうか。

💡 チャレンジ:0でないスカラーを1つだけ使って b\mathbf{b} に届かせてみましょう。列の見方なら、その近道がひと目でわかります。

IV可視化3 — 列の見方で、どんな目標にも

目標 b\mathbf{b} を取り替えると、同じように矢印をつなげる手順で、別の解 (x,y,z)(x, y, z) に着地します。

💡 列の成分が3個でも3000個でも、問いは変わりません。組み合わせて b\mathbf{b} に届くか、です。次元によらないこの性質こそ、列の見方が現代の線形代数の土台になっている理由です。

V確認クイズ

問1

方程式が3つ、未知数が3つの連立方程式を「行の見方」で見るとき、各方程式は三次元空間のどんな図形を表しますか。

✅ 正解です! 未知数が3つの一次方程式は、どれも3次元の中に1枚の平面を定めます。

❌ 惜しい! 未知数が3つの方程式が1つだけなら、自由度がいくつ残るかを考えてみましょう。

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解答

未知数が3つの一次方程式1つには自由変数が2つあるので、その解の集合は3次元の中の2次元の面、つまり平面になります。

  • 2次元:未知数2つの方程式1つ → 直線(1次元)
  • 3次元:未知数3つの方程式1つ → 平面(2次元)
  • n次元:未知数 n 個の方程式1つ → 超平面((n-1)次元)

問2

A=[2−10−12−10−34]A = \begin{bmatrix}2 & -1 & 0\\-1 & 2 & -1\\0 & -3 & 4\end{bmatrix}、b=[0−14]\mathbf{b} = \begin{bmatrix}0\\-1\\4\end{bmatrix} のとき、列の見方を使うと解がすぐにわかります。それは b\mathbf{b} が AA のどの列とまったく同じだからでしょうか。

✅ 正解です! b = [0, -1, 4] は3列目と一致するので、解は (0, 0, 1) です。

❌ 惜しい! 3つの列の和は [2-1+0, -1+2-1, 0-3+4] = [1, 0, 1] で、b とは等しくありません。b を各列と1本ずつ見比べてみましょう。

❌ 惜しい! b = [0, -1, 4] を各列と成分ごとに見比べてみましょう。

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解答

b=[0,−1,4]\mathbf{b} = [0, -1, 4] を AA の各列と見比べます。

  • 1列目:[2,−1,0][2, -1, 0] — 一致しない
  • 2列目:[−1,2,−3][-1, 2, -3] — 一致しない
  • 3列目:[0,−1,4][0, -1, 4] — ぴったり一致! ✓

b\mathbf{b} は3列目と等しいので、解は次のとおりです。 0⋅c1+0⋅c2+1⋅c3=b  ⟹  (x,y,z)=(0,0,1)0 \cdot \mathbf{c}_1 + 0 \cdot \mathbf{c}_2 + 1 \cdot \mathbf{c}_3 = \mathbf{b} \implies (x, y, z) = (0, 0, 1)

問3

正しいか誤りか:行の見方(交わる図形を目で見て考える方法)は、未知数が10個の連立方程式にも有効に使える。

✅ 正解です! 私たちが描けるのは2次元と3次元だけです。それより高い次元では、行の見方を目で見ることはできません。

❌ 惜しい! 9次元の超平面を描けますか。10次元の行の見方では、まさにそれが必要になります。

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答え:誤り

行の見方では、nn 次元空間の図形を描かなければなりません。

次元 行の見方に現れる図形 目で見られるか
2次元 直線 Yes
3次元 平面 Yes
4次元 3次元の超平面 No
10次元 9次元の超平面 No

人間が思い浮かべられるのは3次元までです。それに対して列の見方が問うのは、いつも「これらのベクトルを組み合わせて b に届くか」だけです。この考え方は、どの次元でもまったく同じように使えます。

問4

同じ行列 A=[2−10−12−10−34]A = \begin{bmatrix}2 & -1 & 0\\-1 & 2 & -1\\0 & -3 & 4\end{bmatrix} で、目標を b=[1,1,−3]\mathbf{b} = [1, 1, -3] に変えると、解 (x,y,z)(x, y, z) はどうなりますか。

ヒント:AA の1列目と2列目を成分ごとにたしてみましょう。

✅ 正解です! 1列目 + 2列目 = [1, 1, -3] = b なので、(x, y, z) = (1, 1, 0) です。

❌ それは b = [0, -1, 4] のときの解です。この問題では b = [1, 1, -3] です。1列目と2列目をたしてみましょう。

❌ 惜しい! 1列目と2列目を成分ごとにたして、b と比べてみましょう。

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解答

AA の1列目と2列目をたします。 [2−10]+[−12−3]=[2+(−1)−1+20+(−3)]=[11−3]=b  ✓\begin{bmatrix}2\\-1\\0\end{bmatrix} + \begin{bmatrix}-1\\2\\-3\end{bmatrix} = \begin{bmatrix}2+(-1)\\-1+2\\0+(-3)\end{bmatrix} = \begin{bmatrix}1\\1\\-3\end{bmatrix} = \mathbf{b} \;\checkmark

よって x=1x = 1、y=1y = 1、z=0z = 0 です。1列目を1つ、2列目を1つ使い、3列目は使いません(0個)。

検算: A[110]=[2(1)+(−1)(1)+0(0)(−1)(1)+2(1)+(−1)(0)0(1)+(−3)(1)+4(0)]=[11−3]A\begin{bmatrix}1\\1\\0\end{bmatrix} = \begin{bmatrix}2(1)+(-1)(1)+0(0)\\(-1)(1)+2(1)+(-1)(0)\\0(1)+(-3)(1)+4(0)\end{bmatrix} = \begin{bmatrix}1\\1\\-3\end{bmatrix} ✓

正解数:0 / 4