線形代数 · 第11回 · 動画4 · インタラクティブ教材

方程式一つに部分空間が四つ ― いちばん単純な行列が教える線形代数の構造

I重要な公式

公式 名称 説明
dim⁡C(AT)=r\dim C(A^T) = r 行空間の次元 階数に等しい
dim⁡N(A)=n−r\dim N(A) = n - r 次元定理 列の数 − 階数
dim⁡C(A)=r\dim C(A) = r 列空間の次元 階数に等しい
dim⁡N(AT)=m−r\dim N(A^T) = m - r 左零空間の次元 行の数 − 階数

階数 rr の m×nm \times n 行列では、行空間と零空間は Rn\mathbb{R}^n の中で互いの直交補空間になり、列空間と左零空間は Rm\mathbb{R}^m の中で互いの直交補空間になります。

II可視化1 — 零空間に入るかどうか

A=(1111)A = \begin{pmatrix} 1 & 1 & 1 & 1 \end{pmatrix} では、ベクトルが N(A)N(A) に入るのは、ちょうど4つの成分の和が 0 になるときです。

AA の階数は 11 で列は n=4n = 4 本なので、この零空間の次元は n−r=3n - r = 3 です。上の3本の基底ベクトルが、この零空間を張ります。

III可視化2 — 直交補空間

A=(ab)A = \begin{pmatrix} a & b \end{pmatrix} では、零空間は、原点を通り行空間に垂直な直線です。

直線の直交補空間は、R2\mathbb{R}^2 では直線(1+1=21+1=2)、R3\mathbb{R}^3 では平面(1+2=31+2=3)、動画の R4\mathbb{R}^4 では 33 次元の空間(1+3=41+3=4)です。

IV可視化3 — 次元の釣り合い

階数 rr のどんな m×nm \times n 行列でも、4つの部分空間の次元は必ず r+(n−r)=nr+(n-r)=n と r+(m−r)=mr+(m-r)=m を満たします。

階数は min⁡(m,n)\min(m,n) を超えられません。rr をそれより大きくしても、上限で止まります。r=0r=0 では空間全体が零空間になり、それでも次元の和はきちんと合います。

V確認クイズ

問1

行列 A=(1111)A = \begin{pmatrix} 1 & 1 & 1 & 1 \end{pmatrix} は、階数 1 の 1×41 \times 4 行列です。

零空間 N(A)N(A) の次元はいくつでしょうか?

✅ 正解です! 次元定理より、dim N(A) = n − r = 4 − 1 = 3 です。

❌ 惜しい! 次元定理 dim N(A) = n − rank(A) を使いましょう。ここでは n = 4、階数は 1 です。

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解答:

次元定理より、 dim⁡N(A)=n−r=4−1=3\dim N(A) = n - r = 4 - 1 = 3

この行列は列が n=4n = 4 本、階数が r=1r = 1(ピボットが1つ)なので、零空間の次元は 4−1=34 - 1 = 3 です。

3本の基底ベクトルは (−1,1,0,0)(-1, 1, 0, 0)、(−1,0,1,0)(-1, 0, 1, 0)、(−1,0,0,1)(-1, 0, 0, 1) です。

問2

次のベクトルのうち、A=(1111)A = \begin{pmatrix} 1 & 1 & 1 & 1 \end{pmatrix} の零空間に入るのはどれでしょうか?

✅ 正解です! 成分の和が 1 + (−1) + 0 + 0 = 0 になります。

❌ 惜しい! ベクトルが N(A) に入るのは、成分の和が 0 になるときです。それぞれの選択肢の成分を足してみましょう。

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解答:

ベクトル v\mathbf{v} が N(A)N(A) に入るのは、v1+v2+v3+v4=0v_1 + v_2 + v_3 + v_4 = 0 のとき、かつそのときに限ります。1つずつ確かめましょう。

  • (1,1,1,1)(1, 1, 1, 1): 1+1+1+1=4≠01 + 1 + 1 + 1 = 4 \neq 0 ✗
  • (1,−1,0,0)(1, -1, 0, 0): 1+(−1)+0+0=01 + (-1) + 0 + 0 = 0 ✓
  • (−1,1,1,1)(-1, 1, 1, 1): −1+1+1+1=2≠0-1 + 1 + 1 + 1 = 2 \neq 0 ✗
  • (0,0,0,1)(0, 0, 0, 1): 0+0+0+1=1≠00 + 0 + 0 + 1 = 1 \neq 0 ✗

成分の和が 0 になるのは (1,−1,0,0)(1, -1, 0, 0) だけです。

問3

行列 BB は大きさが 3×73 \times 7 で、階数は 2 です。

零空間 N(B)N(B) の次元はいくつでしょうか?

✅ 正解です! dim N(B) = n − r = 7 − 2 = 5 です。

❌ 惜しい! dim N(B) = (列の数)− 階数 でしたね。行の数を使わないように気をつけましょう!

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解答:

次元定理より、 dim⁡N(B)=n−r=7−2=5\dim N(B) = n - r = 7 - 2 = 5

ここでは n=7n = 7(列の数)、r=2r = 2(階数)なので、零空間の次元は 7−2=57 - 2 = 5 です。

よくある間違い:

  • nn の代わりに mm を使うと 3−2=13 - 2 = 1 になりますが、これは零空間ではなく左零空間の次元です。
  • 階数そのもの(r=2r = 2)を答えるのは、階数と退化次数を混同しています。

問4

正しいか誤りか:階数 1 の 1×n1 \times n 行列では、左零空間 N(AT)N(A^T) は常に {0}\{\mathbf{0}\} に等しい(零ベクトルしか含まない)。

✅ 正解です! dim N(Aᵀ) = m − r = 1 − 1 = 0 なので、左零空間は {0} だけです。

❌ 惜しい! dim N(Aᵀ) = m − r を計算しましょう。m = 1、r = 1 のとき、いくつになるでしょうか?

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解答:正しい

左零空間の次元は m−rm - r です。

階数 1 の 1×n1 \times n 行列では m=1m = 1、r=1r = 1 なので、 dim⁡N(AT)=m−r=1−1=0\dim N(A^T) = m - r = 1 - 1 = 0

次元 0 の部分空間には、零ベクトルしか入っていません。N(AT)={0}N(A^T) = \{\mathbf{0}\} です。

これはまさに動画で見たとおりです。ATy=0A^T y = 0 という方程式は、ATA^T が 1 を並べた列なので、y=0y = 0 しか許しません。

正解数:0 / 4