線形代数 · 第13回 · 動画2 · インタラクティブ教材

Ax = 0 が Rⁿ を垂直な二つに分ける

I重要な公式

公式 名称 説明
Ax=0  ⟺  rowi⋅x=0 ∀ iAx = 0 \;\Longleftrightarrow\; \text{row}_i \cdot x = 0\ \forall\, i 零空間の条件 xx は AA のすべての行と垂直
Null(A)=Row(A)⊥\text{Null}(A) = \text{Row}(A)^{\perp} 線形代数の基本定理の第二部 零空間は行空間の直交補空間
r+(n−r)=nr + (n - r) = n 次元定理 dim⁡(行空間)+dim⁡(零空間)=n\dim(\text{行空間}) + \dim(\text{零空間}) = n
x=xrow+xnull,  xrow⊥xnullx = x_{\text{row}} + x_{\text{null}},\; x_{\text{row}} \perp x_{\text{null}} 直交分解 どの x∈Rnx \in \mathbb{R}^n も、互いに ⊥\perp な成分に分かれる

II可視化1 — 零空間のベクトルを見つける

A=[1252410]A=\begin{bmatrix}1&2&5\\2&4&10\end{bmatrix} では、Ax=0Ax=0 が成り立つのは、2つの行がどちらも xx と垂直なとき、つまり内積が両方とも 0 になるときです。

💡 チャレンジ: 2本のバーを両方とも 00 にしてみましょう。たとえば x=(−2,1,0)x=(-2,1,0) です。零空間は平面まるごとなので、条件を満たす xx は無数にあります。

III可視化2 — 零空間 ⊥\perp 行空間

ベクトルが零空間に属するのは、行空間と垂直なとき、かつそのときに限ります。2つは互いに直交補空間なのです。

💡 動画の 2×32\times3 の例では、零空間は 2 次元の平面です(次元 1+2=31+2=3)。ここで使う R2\mathbb{R}^2 版の A=[1224]A=\begin{bmatrix}1&2\\2&4\end{bmatrix} では、それが垂直な直線になります(次元 1+1=21+1=2)。同じ直交補空間の原理です。

IV可視化3 — 直交と直交補空間

直交する2つの部分空間が補空間になるのは、次元の和が nn になり、とらえ損ねた垂直な方向が1つも残らないときだけです。

V確認クイズ

問1

A=[1252410]A = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 5 \\ 2 & 4 & 10 \end{bmatrix} のとき、Null(A)\text{Null}(A) に属するベクトルはどれですか。

(ヒント:x1+2x2+5x3=0x_1 + 2x_2 + 5x_3 = 0 を満たすのはどのベクトルか確かめましょう。)

✅ 正解です! 1+2(−3)+5(1)=1−6+5=01 + 2(-3) + 5(1) = 1 - 6 + 5 = 0 となります。

❌ 惜しい! 選んだベクトルで x1+2x2+5x3x_1 + 2x_2 + 5x_3 を計算しましょう。0 になるはずです。

解答を見る

解答:

row2_2 = 2 ⋅\cdot row1_1 なので、x1+2x2+5x3=0x_1 + 2x_2 + 5x_3 = 0 だけを確かめれば十分です:

ベクトル x1+2x2+5x3x_1 + 2x_2 + 5x_3 Null(A) に属するか
(1,−3,1)(1, -3, 1) 1−6+5=01 - 6 + 5 = 0 ✅ はい
(5,−1,−1)(5, -1, -1) 5−2−5=−25 - 2 - 5 = -2 ❌ いいえ
(1,2,5)(1, 2, 5) 1+4+25=301 + 4 + 25 = 30 ❌ いいえ
(2,1,0)(2, 1, 0) 2+2+0=42 + 2 + 0 = 4 ❌ いいえ

答えは x=(1,−3,1)x = (1, -3, 1) です。

問2

正しいか誤りか: 部分空間 UU のすべてのベクトルが部分空間 WW のすべてのベクトルと垂直ならば、WW は必ず直交補空間 U⊥U^{\perp} である。

✅ 正解です! 直交 ≠\neq 直交補空間です。補空間は垂直な方向を1つ残らずとらえなければならず、そのためには次元の和が nn になる必要があります。

❌ 惜しい! 反例を考えましょう。R3\mathbb{R}^3 の垂直な2本の直線は直交していますが、3つ目の次元をとらえていません。

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解答:誤り。

直交しているだけでは不十分です。直交補空間 U⊥U^{\perp} は、垂直な方向をすべてとらえていなければなりません。

反例(動画より): R3\mathbb{R}^3 で、UU を xx 軸、WW を yy 軸とします。

  • UU のすべてのベクトルは、WW のすべてのベクトルと ⊥\perp ✓
  • しかし dim⁡(U)+dim⁡(W)=1+1=2≠3\dim(U) + \dim(W) = 1 + 1 = 2 \neq 3
  • zz 軸の方向 (0,0,1)(0,0,1) は UU と垂直ですが、WW には含まれません

本当の補空間 U⊥U^{\perp} は yzyz 平面全体(次元 2)です。補空間であるためには dim⁡(U)+dim⁡(W)=n\dim(U) + \dim(W) = n が必要です。

問3

4×64 \times 6 行列 AA の階数は 22 です。Null(A)\text{Null}(A) の次元はいくつですか。

✅ 正解です! 次元定理より、退化次数 =n−r=6−2=4= n - r = 6 - 2 = 4 です。

❌ 惜しい! 退化次数 =n−r= n - r でした。ここで nn は(行ではなく)列の数です。

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解答:

次元定理を使います: dim⁡(行空間)+dim⁡(零空間)=n(列の数)\dim(\text{行空間}) + \dim(\text{零空間}) = n \quad (\text{列の数}) 2+dim⁡(零空間)=62 + \dim(\text{零空間}) = 6 dim⁡(零空間)=6−2=4\dim(\text{零空間}) = 6 - 2 = \boxed{4}

ポイント: 使うのは n=6n = 6(列の数)で、m=4m = 4(行の数)ではありません。零空間は Rn=R6\mathbb{R}^n = \mathbb{R}^6 の中にあります。

問4

線形代数の基本定理の第二部は、直交補空間のペアを2組示しています。Rm\mathbb{R}^m において、列空間の直交補空間はどの部分空間ですか。

✅ 正解です! Null(AT)\text{Null}(A^T) は、列空間と垂直な Rm\mathbb{R}^m のベクトルをすべて含みます。次元は r+(m−r)=mr + (m-r) = m です。

❌ 惜しい! Rm\mathbb{R}^m の中にあって、AA のすべての列と垂直なベクトルからなる部分空間はどれか考えましょう。ATy=0A^T y = 0 から何がわかりますか。

解答を見る

解答:

四つの基本部分空間は、直交補空間のペアを2組つくります:

ペア 空間1 空間2 属する空間
1 行空間(次元 rr) 零空間(次元 n−rn-r) Rn\mathbb{R}^n
2 列空間(次元 rr) 左零空間(次元 m−rm-r) Rm\mathbb{R}^m

左零空間 Null(AT)\text{Null}(A^T) が、列空間の直交補空間です。

なぜでしょうか。 ATA^T の行は AA の列です。ですから ATy=0A^T y = 0 は、yy が AA のすべての列と垂直、つまり列空間全体と垂直だということです。次元の確認:r+(m−r)=mr + (m - r) = m ✓。

正解数:0 / 4