線形代数 · 第17回 · 動画3 · インタラクティブ教材

対角成分を掛けるだけ:消去法で行列式を求める

I重要な公式

公式 名称 要点
det⁡(U)=u11⋅u22⋯unn\det(U) = u_{11} \cdot u_{22} \cdots u_{nn} 三角行列の行列式 対角成分の積
det⁡(A)=(−1)r p1 p2⋯pn\det(A) = (-1)^r \, p_1 \, p_2 \cdots p_n 消去法による公式 rr = 行の入れ替えの回数、pip_i = ピボット
Ri←Ri+c RjR_i \leftarrow R_i + c\,R_j 行の置き換え(性質5) 行列式を変えない
Ri↔RjR_i \leftrightarrow R_j 行の入れ替え(性質2) 行列式の符号が反転する

II可視化1 — 三角行列の行列式 = 対角成分の積

三角行列では、行列式に効いてくるのは対角成分だけです。対角線より上の成分はまったく効きません。

💡 行の置き換えを使えば、行列式を変えずに対角線より上の成分をすべて消せます。だから残るのは対角成分の積だけです。

III可視化2 — 消去法で行列式を追跡する

消去法は AA を上三角形まで変形します。その一手一手は、行列式を変えないか、符号を反転させるかのどちらかです。

IV可視化3 — 数値計算ライブラリが消去法を使う理由

余因子展開の計算量は O(n!)O(n!)、消去法は O(n3)O(n^3) です。nn が大きくなると、その差は爆発的に広がります。

V確認クイズ

問1

次の上三角行列を考えます。

U=[231054003]U = \begin{bmatrix} 2 & 3 & 1 \\ 0 & 5 & 4 \\ 0 & 0 & 3 \end{bmatrix}

det⁡(U)\det(U) はいくつですか。

✅ 正解です! 三角行列の行列式は対角成分の積です:2 × 5 × 3 = 30。

❌ 惜しい! 三角行列では、効いてくるのは対角成分だけです。それらを掛け合わせましょう。

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解答:

上三角行列の行列式は、対角成分の積に等しくなります。

det⁡(U)=2×5×3=30\det(U) = 2 \times 5 \times 3 = 30

非対角成分 (3,1,4)(3, 1, 4) は行列式に影響しません。動画の議論で確かめられます。まず行の置き換えで対角線より上の成分を 0 にし(性質5:行列式は不変)、次に各対角成分をくくり出すと(性質3A)、単位行列が残ります(性質1:det = 1)。

問2

行列 AA にガウスの消去法を行ったところ、行の入れ替えを1回行って、次の上三角形に到達しました。

U=[312021005/2]U = \begin{bmatrix} 3 & 1 & 2 \\ 0 & 2 & 1 \\ 0 & 0 & 5/2 \end{bmatrix}

det⁡(A)\det(A) はいくつですか。

✅ 正解です! ピボットの積は 15 ですが、1回の行の入れ替えで符号が反転して −15 になります。

❌ あと一歩! ピボットの積は合っていますが、行の入れ替えによる符号の反転を忘れています。入れ替えを1回するごとに、行列式は −1 倍されます。

❌ 惜しい! 公式 det(A) = (−1)^r ×(ピボットの積)を当てはめましょう。ここで r は行の入れ替えの回数です。

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解答:

消去法による公式を使います:det⁡(A)=(−1)r×p1×p2×p3\det(A) = (-1)^r \times p_1 \times p_2 \times p_3

ステップ1 — ピボットの積: p1⋅p2⋅p3=3×2×52=15p_1 \cdot p_2 \cdot p_3 = 3 \times 2 \times \tfrac{5}{2} = 15

ステップ2 — 符号の補正: 入れ替えは r=1r = 1 回なので、(−1)1=−1(-1)^1 = -1

ステップ3 — 最終的な答え: det⁡(A)=(−1)×15=−15\det(A) = (-1) \times 15 = -15

行の入れ替えを1回するごとに、行列式の符号が反転します(性質2)。この符号の補正を忘れるのが、いちばんよくある間違いです!

問3

正しいか誤りか:ガウスの消去法でピボットが 0 になり、行の入れ替えでも直せない(その列の下に 0 でない成分がない)ならば、det⁡(A)=0\det(A) = 0 である。

✅ 正解です! 入れ替えでも直せないピボットの 0 は、対角成分の積に 0 が入ることを意味するので、det = 0 になります。

❌ 惜しい! ピボットが1つでも 0 なら、ピボットの積全体が 0 になり、行列式も 0 になります。

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答え:正しい

理由は次のとおりです。

  1. 行の入れ替えで 0 でないピボットが得られないなら、消去法の結果、上三角形 UU にはすべて 0 の行が現れます。
  2. その零行があるということは、少なくとも1つの対角成分(ピボット)が 00 だということです。
  3. ピボットの積は因子 00 を含むので、積は 00 です。
  4. したがって det⁡(A)=(−1)r×0=0\det(A) = (-1)^r \times 0 = 0 です。

行列式が 0 であることは、行列が特異である、つまり逆行列をもたないことを意味します。これが動画で見た「白黒はっきりつける判定」です:det⁡(A)=0  ⟺  A\det(A) = 0 \iff A は特異。

問4

4×44 \times 4 行列 AA にガウスの消去法を行い、行の入れ替えを3回行いました。得られた上三角行列のピボットは 2,−1,4,32, -1, 4, 3 です。

det⁡(A)\det(A) はいくつですか。

✅ 正解です! 奇数回の入れ替えによるマイナスと、負のピボットによるマイナスが打ち消し合い、det(A) = 24 になります。

❌ あと一歩! 符号の補正を忘れたか、マイナスを1つ見落としたのかもしれません。丁寧に追いましょう:(−1)³ × (2)(−1)(4)(3) = (−1)(−24) = 24。

❌ 惜しい! まず4つのピボットをすべて掛け合わせ、それから行の入れ替えに対する (−1)^r の符号の補正を当てはめましょう。

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解答:

det⁡(A)=(−1)r×p1⋅p2⋅p3⋅p4\det(A) = (-1)^r \times p_1 \cdot p_2 \cdot p_3 \cdot p_4 を当てはめます。

ステップ1 — ピボットの積: 2×(−1)×4×3=−242 \times (-1) \times 4 \times 3 = -24

ステップ2 — 符号の補正: 入れ替えは r=3r = 3 回なので、(−1)3=−1(-1)^3 = -1

ステップ3 — 組み合わせる: det⁡(A)=(−1)×(−24)=24\det(A) = (-1) \times (-24) = 24

2つのマイナス(奇数回の入れ替えによるものと、負のピボットによるもの)が打ち消し合い、行列式は正になります。

正解数:0 / 4