線形代数 · 第18回 · 動画2 · インタラクティブ教材

行列式の中の行列式:余因子展開で問題を小さく分ける

I重要な公式

公式 名称 説明
det⁡(abcd)=ad−bc\det\begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} = ad - bc 2×2 の行列式 余因子展開の出発点
MijM_{ij} = det(ii 行目と jj 列目を消した小行列) 小行列式 一回り小さい行列式
Cij=(−1)i+j⋅MijC_{ij} = (-1)^{i+j} \cdot M_{ij} 余因子 市松模様の符号をつけた小行列式
det⁡(A)=∑j=1naij Cij\det(A) = \displaystyle\sum_{j=1}^{n} a_{ij} \, C_{ij} 余因子展開 どの行 ii(またはどの列 jj)に沿って展開してもよい

II可視化1 — 市松模様の符号

余因子の符号 (−1)i+j(-1)^{i+j} は位置 (i,j)(i,j) だけで決まり、チェス盤のように交互に並びます。

💡 i+ji+j は足す順番によらないので、位置 (i,j)(i,j) と (j,i)(j,i) の符号は必ず同じです。

III可視化2 — 3×3 の行列式を展開する

det⁡A\det A をどの行や列に沿って展開しても、成分とその 2×22\times2 の小行列式との積の、符号つきの和に書き直せます。

💡 チャレンジ: 展開に 2×22\times2 の小行列式が2つしか要らない行または列を見つけましょう。

IV可視化3 — 0 を探す

どの行や列で展開しても、行列式は同じです。けれども、展開する行や列に 0 が1つあるごとに、余因子の計算が1つまるごと消えます。

💡 展開する前に、0 がいちばん多い行や列を探しましょう。必要な小行列式がいちばん少なくて済みます。

V確認クイズ

問1 · 余因子を計算する

位置 (2,3)(2, 3) の成分の値が a23=5a_{23} = 5 である行列を考えます。2行目と3列目を消すと、残る小行列の行列式(小行列式)は M23=8M_{23} = 8 です。

余因子 C23C_{23} はいくつですか。

✅ 正解です! i+j=2+3=5i+j = 2+3 = 5 は奇数なので、市松模様の符号は −1-1 です。したがって C23=(−1)(8)=−8C_{23} = (-1)(8) = -8 となります。

❌ 惜しい! 市松模様の符号を忘れていませんか。i+j=5i+j = 5 は奇数なので、符号は +1+1 ではなく −1-1 です。

❌ 惜しい! 成分の値(5)まで掛けてしまっています。余因子に使うのは符号と小行列式だけで、成分そのものは使いません。

❌ 惜しい! 問題が2つあります。余因子には成分の値は含まれません。また、位置 (2,3) の符号は正ではなく負です。

❌ 惜しい! もう一度考えてみましょう。上のヒントが役に立ちます。

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解答:

余因子の公式は Cij=(−1)i+j⋅MijC_{ij} = (-1)^{i+j} \cdot M_{ij} です。

位置 (2,3)(2, 3) では: C23=(−1)2+3⋅M23=(−1)5⋅8=(−1)(8)=−8C_{23} = (-1)^{2+3} \cdot M_{23} = (-1)^5 \cdot 8 = (-1)(8) = -8

重要な区別: 余因子は、市松模様の符号と小行列式だけを組み合わせたものです。成分の値 a23=5a_{23} = 5 は、行列式への寄与を計算するときに別に使います:a23⋅C23=5×(−8)=−40a_{23} \cdot C_{23} = 5 \times (-8) = -40。

問2 · 行・列の戦略的な選び方

次の 4×4 行列を考えます: B=(3002150407106003)B = \begin{pmatrix} 3 & 0 & 0 & 2 \\ 1 & 5 & 0 & 4 \\ 0 & 7 & 1 & 0 \\ 6 & 0 & 0 & 3 \end{pmatrix}

計算しなければならない 3×3 の余因子がいちばん少ない展開はどれですか。

✅ 正解です! 3列目には 0 が3つあるので、計算すべき余因子は1つだけ。これ以上ない効率です!

❌ 惜しい! 0 がいちばん多い行または列を探しましょう。0 が1つあるごとに、余因子の計算が1つまるごと要らなくなります。

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解答:

それぞれの選択肢について、0 でない成分(= 計算しなければならない余因子)の個数を数えます:

選択肢 成分 0 の個数 必要な余因子
1行目 3, 0, 0, 2 2 2
3行目 0, 7, 1, 0 2 2
3列目 0, 0, 1, 0 3 1 ✅
4列目 2, 4, 0, 3 1 3

3列目には 0 が3つあり、0 でない成分は1つ(3行目の 1)だけです。計算しなければならない 3×3 の余因子は1つだけで、これが考えうる最小です!

問3 · 成分の符号と市松模様の符号

ある行列の位置 (2,1)(2, 1) に成分 a21=−4a_{21} = -4 があります。小行列式は M21=11M_{21} = 11 です。

この成分の行列式への寄与、つまり a21⋅C21a_{21} \cdot C_{21} はいくつですか。

✅ 正解です! 余因子は C21=(−1)(11)=−11C_{21} = (-1)(11) = -11、寄与は (−4)(−11)=+44(-4)(-11) = +44 です。負と負を掛けると正になります!

❌ 惜しい! 符号に注意しましょう。成分は −4-4、余因子は −11-11 です。負かける負は正の 44 です。

❌ 惜しい! 寄与は 成分 ×\times 余因子 = a21×C21a_{21} \times C_{21} です。成分の値に、余因子全体(符号 ×\times 小行列式)を掛けているか確かめましょう。

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解答:

3つの別々の要素:

  1. 成分の値: a21=−4a_{21} = -4(行列から)
  2. 市松模様の符号: (−1)2+1=(−1)3=−1(-1)^{2+1} = (-1)^3 = -1
  3. 小行列式: M21=11M_{21} = 11

ステップ1 — 余因子: C21=(−1)2+1⋅M21=(−1)(11)=−11C_{21} = (-1)^{2+1} \cdot M_{21} = (-1)(11) = -11

ステップ2 — 寄与: a21⋅C21=(−4)(−11)=+44a_{21} \cdot C_{21} = (-4)(-11) = +44

成分の負の符号(−4-4)と市松模様の負の符号(−1-1)は互いに無関係です。負かける負は正!

問4 · 正しいか誤りか

主張: 同じ行列でも、異なる行に沿って行列式を展開すると、異なる行列式の値が得られることがある。

✅ 正解です! 行列式はただ一つに決まります。どの展開(どの行でも、どの列でも)でも同じ値になり、違うのは手間だけです。

❌ 惜しい! 行列式は、行列によって決まる一つの値です。展開の選び方を変えると計算の道筋は変わりますが、たどり着く数はいつも同じです。

❌ 惜しい! もう一度考えてみましょう。上のヒントが役に立ちます。

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解答:誤り

行列式は、正方行列それぞれに対応するただ一つの数です。どの行やどの列に沿って余因子展開しても、必ず同じ値になります:

det⁡(A)=∑j=1naij Cij(どの行 i でも同じ)\det(A) = \sum_{j=1}^{n} a_{ij}\, C_{ij} \quad \text{(どの行 } i\text{ でも同じ)}

det⁡(A)=∑i=1naij Cij(どの列 j でも同じ)\det(A) = \sum_{i=1}^{n} a_{ij}\, C_{ij} \quad \text{(どの列 } j\text{ でも同じ)}

選び方が影響するのは計算量だけです。だからこそ、答えを変えずに「0 を探して」手間を最小にできるのです。

正解数:0 / 4