線形代数 · 第19回 · 動画1 · インタラクティブ教材

余因子に隠された逆行列の公式:A⁻¹ = Cᵀ / det A

I重要な公式

公式 名称 説明
Cij=(−1)i+jMijC_{ij} = (-1)^{i+j} M_{ij} 余因子 符号つきの小行列式
A−1=1det⁡A CTA^{-1} = \frac{1}{\det A}\, C^T 余因子による逆行列の公式 余因子行列の転置(adj(A))を使って逆行列を表す
A⋅CT=det⁡(A)⋅IA \cdot C^T = \det(A) \cdot I 鍵となる恒等式 対角成分は =det⁡(A)= \det(A)、非対角成分は =0= 0

II可視化1 — 余因子から逆行列を組み立てる

A=[2134]A = \begin{bmatrix} 2 & 1 \\ 3 & 4 \end{bmatrix} の4つの余因子が、一歩ずつ逆行列に変わっていきます。

💡 det⁡A=0\det A = 0 のときは割る数がありません。余因子行列の転置 adj(A) は存在しても、A−1A^{-1} は存在しないのです。

III可視化2 — 恒等式 A CT=det⁡(A) IA\,C^{T} = \det(A)\,I

どんな行列でも、AA に余因子行列の転置を掛けると、対角線には det⁡A\det A が、それ以外にはすべて 00 が並びます。

💡 非対角成分が 0 になるのは偶然ではありません。なぜ必ず消えるのかは、次のパネルで見ます。

IV可視化3 — 非対角成分が 0 になる理由

ある行の成分と別の行の余因子の内積は、実は同じ行が二つある行列の行列式を計算しています。

V確認クイズ

問1

A=[3124]A = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 2 & 4 \end{bmatrix} とします。余因子 C12C_{12} はいくつですか?

復習:Cij=(−1)i+jMijC_{ij} = (-1)^{i+j} M_{ij}。ここで MijM_{ij} は、ii 行目と jj 列目を取り除いた小行列の行列式です。

✅ 正解です! 符号因子 (−1)1+2=−1(-1)^{1+2} = -1 によって、小行列式 22 の符号が反転して −2-2 になります。

❌ 惜しい! 1行目と2列目を消すと小行列式 M12=2M_{12} = 2 が得られます。そこに符号 (−1)1+2=−1(-1)^{1+2} = -1 を掛けましょう。

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解答:

C12C_{12} を求めるには、A=[3124]A = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 2 & 4 \end{bmatrix} から1行目と2列目を消します。

残る成分は a21=2a_{21} = 2 なので、M12=2M_{12} = 2 です。

符号因子を掛けます:(−1)1+2=(−1)3=−1(-1)^{1+2} = (-1)^3 = -1。

C12=(−1)1+2⋅M12=(−1)(2)=−2C_{12} = (-1)^{1+2} \cdot M_{12} = (-1)(2) = \boxed{-2}

問2

余因子による逆行列の公式 A−1=1det⁡A CTA^{-1} = \frac{1}{\det A}\, C^T で、A−1A^{-1} の (1,2)(1, 2) 成分に現れるのはどの余因子ですか?

ヒント:転置に注意してください。

✅ 正解です! 転置で添字が入れ替わります:(CT)12=C21(C^T)_{12} = C_{21}。

❌ 典型的な間違いです!転置を忘れないでください。CTC^T の (i,j)(i,j) 成分は CijC_{ij} ではなく CjiC_{ji} です。

❌ 惜しい! 転置すると、行と列の添字がどうなるかを考えてみましょう。

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解答:

公式は A−1=1det⁡A CTA^{-1} = \frac{1}{\det A}\, C^T です。

CTC^T の (i,j)(i, j) 成分は CjiC_{ji} に等しくなります(転置で添字が入れ替わるため)。

したがって、CTC^T の (1,2)(1, 2) 成分は C21C_{21} です。

よって:(A−1)12=C21det⁡A(A^{-1})_{12} = \frac{C_{21}}{\det A}。

よくある間違い:転置を忘れて C12C_{12} を選んでしまうこと!

問3

i≠ji \neq j のとき、非対角成分 (A⋅CT)ij(A \cdot C^T)_{ij} は、AA の ii 行目と jj 行目の余因子との内積で求めます。これがつねに 0 になるのはなぜですか?

✅ 正解です! 「偽の行列」の技法です。ある行を別の行で置き換えると同じ行が二つでき、行列式は 0 になるしかありません。

❌ 惜しい! jj 行目に沿った余因子展開に ii 行目の成分を使うと、本当はどんな行列の行列式を計算していることになるでしょうか?

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解答:

和 ∑kaik Cjk\displaystyle\sum_k a_{ik}\, C_{jk} は、成分を ii 行目から、余因子を jj 行目からとっています。

これはまさに、jj 行目を ii 行目のコピーで置き換えた「偽の行列」の、jj 行目に沿った余因子展開です。

この偽の行列には同じ行が二つあります(ii 行目が、ii 番目と jj 番目の両方の位置に現れます)。

同じ行が二つある行列はつねに特異なので、その行列式は 00 です。

したがって、i≠ji \neq j のときはつねに (A⋅CT)ij=0(A \cdot C^T)_{ij} = 0 です。

問4

AA は成分がすべて整数の 4×44 \times 4 行列で、det⁡(A)=1\det(A) = 1 だとします。A−1A^{-1} について何が言えますか?

✅ 正解です! 整数行列の余因子は整数で、det(A) = 1 で割ってもそれは変わりません。余因子の公式から得られる、構造についての深い洞察です!

❌ 惜しい! A−1=1det⁡A CTA^{-1} = \frac{1}{\det A}\, C^T を使いましょう。整数行列の余因子はつねに整数です。det⁡(A)=1\det(A) = 1 で割るとどうなるでしょうか?

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解答:

余因子の公式より:A−1=1det⁡A CTA^{-1} = \frac{1}{\det A}\, C^T。

各余因子 CijC_{ij} は、AA の 3×33 \times 3 の小行列の行列式に符号をつけたものです。AA の成分は整数なので、どの余因子も整数になります(整数行列の行列式はつねに整数です)。

det⁡(A)=1\det(A) = 1 なので: A−1=11 CT=CTA^{-1} = \frac{1}{1}\, C^T = C^T

A−1A^{-1} のどの成分も、整数である余因子を 11 で割ったものなので、A−1A^{-1} の成分はすべて整数です。

行基本変形からは見えないこの美しい構造的な洞察は、余因子の公式から直接得られます!(このような行列をユニモジュラ行列といいます。)

正解数:0 / 4