線形代数 · 第2回 · 動画1 · インタラクティブ教材

ガウスの消去法と後退代入

I重要な公式

公式 名称 説明
ℓij=aijajj\ell_{ij} = \dfrac{a_{ij}}{a_{jj}} 乗数 消去する成分とピボットの比
Ri←Ri−ℓij⋅RjR_i \leftarrow R_i - \ell_{ij} \cdot R_j 行基本変形 (i,j)(i, j) の位置の成分を消去する
det⁡(A)=p1⋅p2⋯pn\det(A) = p_1 \cdot p_2 \cdots p_n 行列式 UU のピボットの積
後退代入 Ux=cUx = c を解く 一番下の式から上へ順に解く

II可視化1 — 前進消去

行基本変形を1回行うたびに、対角線より下の成分が1つ 0 になり、[A∣b][A \mid b] は上三角形へと近づいていきます。

拡大係数行列 [A | b]

ステップ0 · 準備
ピボットは a11=1a_{11}=1 です。その下の成分 a21=3a_{21}=3 を 00 にしなければなりません。
ステップ1 · 1列目を消去
R2←R2−3R1R_2 \leftarrow R_2 - 3R_1、乗数は ℓ21=31=3\ell_{21}=\tfrac{3}{1}=3 です。新しいピボットは a22=2a_{22}=2、消去する成分は a32=4a_{32}=4 です。
ステップ2 · 2列目を消去
R3←R3−2R2R_3 \leftarrow R_3 - 2R_2、乗数は ℓ32=42=2\ell_{32}=\tfrac{4}{2}=2 です。ピボット 1,2,51,2,5 から det⁡A=10\det A = 10 が得られます。

III可視化2 — 消去法が破綻するとき

成分 a33a_{33} を1つ動かすと、3番目のピボット p3=a33+4p_3 = a_{33}+4 も動きます。それが 00 になると、行列は特異になります。

💡 ピボットが 0 になること、行列式が 0 になること、行列が特異になることは、すべて同じ1つの出来事です。ここでは a33=−4a_{33} = -4 で起こります。

IV可視化3 — 後退代入

一番下の式には未知数が1つしかありません。変数を1つ求めるたびに、1つ上の行で新しい未知数がちょうど1つ解けるようになります。

解ベクトル x

x?
y?
z?

V確認クイズ

問1

動画に出てきた拡大係数行列を考えます: [A∣b]=[121∣2381∣12041∣2][A \mid b] = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 1 & | & 2 \\ 3 & 8 & 1 & | & 12 \\ 0 & 4 & 1 & | & 2 \end{bmatrix}

最初の消去のステップでは R2←R2−ℓ21⋅R1R_2 \leftarrow R_2 - \ell_{21} \cdot R_1 を行います。乗数 ℓ21\ell_{21} はいくつですか。

✅ 正解です! 乗数は、消去する成分 ÷ ピボット = 3/1 = 3 です。

❌ 惜しい! 乗数は(消去する成分)÷(ピボット)= a₂₁ / a₁₁ です。

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解答

乗数は、消去する成分とピボットの比です:

ℓ21=a21a11=31=3\ell_{21} = \frac{a_{21}}{a_{11}} = \frac{3}{1} = 3

次に R2←R2−3⋅R1R_2 \leftarrow R_2 - 3 \cdot R_1 を行って、(2,1)(2,1) の位置を 0 にします。

よくある間違い:a11a21=13\frac{a_{11}}{a_{21}} = \frac{1}{3} と計算してしまうこと。乗数は消去する成分 ÷\div ピボットで、その逆ではありません。

問2

前進消去のあと、上三角行列 UU の対角線上にはピボット 1,2,51, 2, 5 が並んでいます。det⁡(A)\det(A) はいくつですか。

✅ 正解です! det(A) = ピボットの積 = 1 × 2 × 5 = 10 です。

❌ 惜しい! 思い出してください。行列式はピボットの和ではなく、積です。

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解答

行列式は、UU のピボットの積に等しくなります:

det⁡(A)=p1×p2×p3=1×2×5=10\det(A) = p_1 \times p_2 \times p_3 = 1 \times 2 \times 5 = 10

det⁡(A)≠0\det(A) \neq 0 なので、行列は可逆(正則)であり、連立方程式は一意解をもちます。

よくある間違い:

  • ピボットをたしてしまう:1+2+5=81 + 2 + 5 = 8 ✗(行列式は和ではなく積です)
  • 対角線上の成分をすべてたすのも誤りです

問3

正しいか誤りか:ガウスの消去法の途中でピボットの位置に 0 が現れたら、その行列は必ず特異(可逆でない)である。

✅ 正解です! ピボットが 0 でも、行の入れ替えで直せることがあります(一時的な破綻)。行列が特異になるのは、その下に 0 でない成分が1つもないときだけです。

❌ 惜しい! 考えてみましょう。0 のピボットの下に 0 でない成分があって、その行と入れ替えられるとしたらどうでしょうか。

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解答:誤り

ピボットの位置に 0 があっても、行列が特異だとは限りません:

  • 一時的な破綻:0 のピボットの下に 0 でない成分があれば、行を入れ替えて(行の入れ替え)消去を続けられます。行列は可逆のままかもしれません。

  • 永続的な破綻:0 のピボットの下の成分もすべて 0 なら、どんな行の入れ替えも役に立ちません。そのときに限り、行列は特異で det⁡(A)=0\det(A) = 0 です。

見分けるポイント:下に、入れ替えに使える 0 でない成分が見つかるかどうかです。

問4

三角形の連立方程式を後退代入で解いています。z=−2z = -2 が求まったので、式(2)に代入します:

2y−2(−2)=62y - 2(-2) = 6

yy の値はいくつですか。

✅ 正解です! −2×(−2)=+4-2 \times (-2) = +4 なので 2y+4=62y + 4 = 6 となり、y=1y = 1 が得られます。

❌ 惜しい! マイナスどうしのかけ算に注意してください:−2×(−2)=+4-2 \times (-2) = +4 です(−4-4 ではありません)。

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解答

z=−2z = -2 を式(2)に代入します: 2y−2(−2)=62y - 2(-2) = 6 2y+4=6(マイナスどうしの積:−2×(−2)=+4)2y + 4 = 6 \quad \text{(マイナスどうしの積:} -2 \times (-2) = +4\text{)} 2y=22y = 2 y=1y = 1

よくある間違い:−2×(−2)-2 \times (-2) の符号を間違えること。

  • −2×(−2)=−4-2 \times (-2) = -4 と計算して +4+4 にしなかった場合、2y−4=6⇒y=52y - 4 = 6 \Rightarrow y = 5 となってしまいます。✗

正解数:0 / 4