線形代数 · 第2回 · 動画2 · インタラクティブ教材

消去行列:行基本変形は行列の積で表せる

I重要な公式

概念 公式 / 規則 説明
列の見方 Ax=x1c1+x2c2+x3c3A\mathbf{x} = x_1\mathbf{c}_1 + x_2\mathbf{c}_2 + x_3\mathbf{c}_3 行列 × 列ベクトル = 列の一次結合
行の見方 xTA=x1r1+x2r2+x3r3\mathbf{x}^T A = x_1\mathbf{r}_1 + x_2\mathbf{r}_2 + x_3\mathbf{r}_3 行ベクトル × 行列 = 行の一次結合
消去行列 II から始めて、−ℓ-\ell を (i,j)(i,j) の位置に置く ℓ\ell 倍した jj 行目を ii 行目から引く
消去全体 E32 E21 A=UE_{32}\,E_{21}\,A = U 消去行列の積 →\to 上三角行列

II可視化1 — 左から掛けると行が組み合わさる

行ベクトルに AA を掛けると、AA の行が混ざり合います。では、[c1,c2,c3] A[c_1, c_2, c_3]\,A は何になるでしょうか。

III可視化2 — 単位行列から E を組み立てる

−ℓ-\ell を1つだけ II の (i,j)(i,j) の位置に置くと、EE は AA にどんな行基本変形を行うでしょうか。

IV可視化3 — 順番が大事

E32E21E_{32}E_{21} と E21E32E_{21}E_{32} は同じ結果になるでしょうか。(3,1)(3,1) の位置と、最後に得られる形に注目します。

💡 結合法則があるので、くくり方は変えられます((E32E21)A=E32(E21A)(E_{32}E_{21})A = E_{32}(E_{21}A))。しかし可換ではないので、消去行列を掛ける順番は大事です。

V確認クイズ

問1

消去行列 E21E_{21} は、成分 −3-3 を (2,1)(2, 1) の位置にもちます:

E21=[100−310001]E_{21} = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ -3 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{bmatrix}

E21E_{21} を左から掛けると、どんな行基本変形が行われますか。

✅ 正解です! E₂₁ は、1行目をピボットの行として2行目を変形します。成分が負なので、引き算になります。

❌ 惜しい! 添字 (2,1) が教えてくれます。対象は2行目、ピボットは1行目です。成分が負なので、たし算ではなく引き算です。

解答を見る

解答:2行目を「2行目 − 3·(1行目)」で置き換えます。

E21E_{21} の添字は、対象 = 2行目、ピボット = 1行目を表します。成分 −3-3 は (2,1)(2,1) の位置にあります。

E21E_{21} の2行目は [−3,1,0][-3, 1, 0] です。左から掛けると、次のようになります: (−3)⋅row1+(1)⋅row2+(0)⋅row3=row2−3⋅row1(-3)\cdot\text{row}_1 + (1)\cdot\text{row}_2 + (0)\cdot\text{row}_3 = \text{row}_2 - 3\cdot\text{row}_1

乗数は 33 なので、行列には −3-3 を置きました(符号は常にマイナス)。この操作は引き算をします。

問2 · 正しいか誤りか

行列の積は結合法則を満たすが、可換ではない。つまり、(E32 E21) A=E32 (E21 A)(E_{32}\,E_{21})\,A = E_{32}\,(E_{21}\,A) は常に成り立つが、一般には E32 E21≠E21 E32E_{32}\,E_{21} \neq E_{21}\,E_{32} である。

✅ 正解です! 結合法則があるので、くくり方は自由に変えられます。しかし可換性は成り立たず、行列の積では順番が大事です。

❌ 惜しい! よく読んでください。この文は「結合法則が成り立つ」と「可換性が成り立たない」の2つを主張しています。どちらも正しい主張です!

解答を見る

解答:正しい

結合法則が成り立つとは、かっこを自由に付け替えられるということです: (E32 E21) A=E32 (E21 A)(E_{32}\,E_{21})\,A = E_{32}\,(E_{21}\,A) どちらも同じ結果 UU になります。✅

可換性が成り立つなら、順番を入れ替えてもよいことになります。しかし: E32E21=[100−3106−21]≠[100−3100−21]=E21E32E_{32}E_{21} = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ -3 & 1 & 0 \\ 6 & -2 & 1 \end{bmatrix} \neq \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ -3 & 1 & 0 \\ 0 & -2 & 1 \end{bmatrix} = E_{21}E_{32}

(3,1)(3,1) の位置:6≠06 \neq 0。順番が大事なのです!❌

問3

3行目から1行目の 55 倍を引きたいとします。左から掛けたときにこれを行う消去行列はどれですか。

✅ 正解です! 乗数にマイナスを付けたものを、単位行列の (i,j)(i, j) の位置に置きます。

❌ 惜しい! 思い出してください。乗数にマイナスを付けたものを、単位行列の (対象の行,引く行)(\text{対象の行}, \text{引く行}) の位置に置きます。

解答を見る

解答:正しい行列では、−5-5 が (3,1)(3, 1) の位置にあります:

E31=[100010−501]E_{31} = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ -5 & 0 & 1 \end{bmatrix}

乗数にマイナスを付けた −5-5 を (3,1)(3, 1) の位置に置くのは、3行目から1行目の 55 倍を引くからです。それ以外は単位行列のままです。

正解数:0 / 3