線形代数 · 第2回 · 動画3 · インタラクティブ教材

置換行列と逆行列

I重要な公式

公式 名称 説明
PAPA は行を入れ替え、APAP は列を入れ替える 左右の規則 どちら側から掛けるかで、動くもの(行か列か)が決まる
P−1=PTP^{-1} = P^{T} 置換行列の逆行列 転置で、どんな置換も元に戻せる
乗数の符号を反転させる 消去行列の逆行列 ℓ\ell 倍を引く操作は、ℓ\ell 倍を足せば元に戻る
P2=IP^2 = I(1回だけ行を入れ替える場合) 自分自身が逆行列 同じ2行を2回入れ替えると元に戻る

II可視化1 — 行を選び出す置換行列

置換行列は、単位行列の行を並べ替えたものです。積 PAPA は、それと同じ並べ替えを AA に施します。

III可視化2 — 同じ P で、行か列か

どちら側から掛けるかで、動く向きが決まります。PAPA は AA の行を並べ替え、APAP はその列を並べ替えます。

IV可視化3 — 取り消しとしての逆行列

E21E_{21} は、2行目から1行目の ℓ\ell 倍を引きます。E21−1E_{21}^{-1} はその符号を反転させて、足し戻します。

💡 符号を反転させるこの近道が使えるのは、非対角成分が1つだけの基本的な消去行列に限られます。一般の行列の逆行列は、きちんと計算して求める必要があります。

V確認クイズ

問1

P=[0110]P = \begin{bmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}、A=[3478]A = \begin{bmatrix} 3 & 4 \\ 7 & 8 \end{bmatrix} とします。

積 PAPA はどれですか。

✅ 正解です! PP を左から掛けると、AA の行が入れ替わります。

❌ 惜しい! 思い出しましょう:左から掛けて入れ替わるのは行で、列ではありません。PP の各行が、AA の行を1つずつ選び出します。

解答を見る

解答:

PP を左から掛けると、AA の行が入れ替わります:

PA=[0110][3478]=[7834]PA = \begin{bmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 3 & 4 \\ 7 & 8 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 7 & 8 \\ 3 & 4 \end{bmatrix}

  • PP の1行目は [0,  1][0,\; 1] で、これは AA の2行目を選び出します:[7,  8][7,\; 8]。
  • PP の2行目は [1,  0][1,\; 0] で、これは AA の1行目を選び出します:[3,  4][3,\; 4]。

問2

正しいか誤りか:どんな置換行列 PP についても、逆行列は転置に等しい:P−1=PTP^{-1} = P^{T}。

✅ 正解です! どんな置換行列でも、その転置はつねに逆行列になります。

❌ 惜しい! 置換行列には特別な性質があります。転置がつねに逆行列になるのです。

解答を見る

解答: 正しい。

置換行列は直交行列です。行(および列)が正規直交なベクトルになっています。 つまり PTP=IP^{T} P = I が成り立つので、PTP^{T} は PP の逆行列です。

特別な場合:ちょうど2つの行を入れ替える行列では、PT=PP^{T} = P そのものです。 したがって P⋅P=IP \cdot P = I となります。2回入れ替えれば、元に戻るのです。

問3

消去行列 E21=[100−410001]E_{21} = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ -4 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{bmatrix} は、2行目から1行目の4倍を引きます。

E21−1E_{21}^{-1} はどうなりますか。

✅ 正解です! 乗数の符号を反転させるだけです。消去行列なら、それで済みます。

❌ 惜しい!

解答を見る

解答: −4-4 を +4+4 に変えます(符号を反転させる)。

E21−1=[100+410001]E_{21}^{-1} = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ +4 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{bmatrix}

なぜでしょうか? E21E_{21} は、2行目から1行目の4倍を引きます。これを元に戻すために、E21−1E_{21}^{-1} は1行目の4倍を足し戻します。

検算:E−1EE^{-1}E の (2,1) 成分は次のとおりです。 4⋅1+1⋅(−4)=4−4=0  ✓4 \cdot 1 + 1 \cdot (-4) = 4 - 4 = 0 \;\checkmark

⚠️ 符号を反転させるこの近道が使えるのは、非対角成分が1つだけの基本的な消去行列だけです。一般の行列には使えません。

問4

3×33 \times 3 の場合、異なる置換行列はいくつありますか。

✅ 正解です! 3つの行の並べ方は 3!=63! = 6 通りです。

❌ 惜しい!

解答を見る

解答: 置換行列は 6 個です。

n×nn \times n の置換行列の個数は n!n!(n の階乗)に等しくなります。置換行列の1つ1つが、nn 個の行のただ1通りの並べ方に対応するからです。

3!=3×2×1=63! = 3 \times 2 \times 1 = 6

6通りの行の並べ方は次のとおりです: (1,2,3)(1,2,3)、(1,3,2)(1,3,2)、(2,1,3)(2,1,3)、(2,3,1)(2,3,1)、(3,1,2)(3,1,2)、(3,2,1)(3,2,1)。

並べ方1つにつき、置換行列が1つずつ決まります。

正解数:0 / 4