線形代数 · 第21回 · 動画2 · インタラクティブ教材
| 公式 | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| 対角化 | を固有ベクトル と固有値の対角行列 に分解する | |
| 行列のべき乗の公式 | 動きはすべて の中にある | |
| 対角行列のべき乗 | 各固有値を 乗するだけ | |
| 安定性の定理 | すべての固有値が単位円の真に内側になければならない |
のべき乗は、渦を巻いて に近づくか、外へ飛び出して無限大に向かうかのどちらかです。どちらになるかは絶対値だけで決まります。
となるのは、すべての固有値が単位円の真に内側にあるとき、かつそのときに限ります。
💡 チャレンジ: を円の奥深くに置いたまま、 を円周のすぐ外まで動かしてみましょう。外側の固有値が1つあるだけで、 は発散します。
対角行列 では、各固有値が互いに関係なく変化します。 を超える成分が1つあるだけで、行列全体が発散します。
💡 チャレンジ: 、 にして まで進めてみましょう。 はもう見えないほど小さい()のに、 はやはり爆発します。
問1
行列 は対角化可能で、固有値は 、、 だとします。
のとき、 はどうなりますか。
✅ 正解です! すべての固有値が を満たすので 、したがって です。
❌ 惜しい! 安定性の定理によれば、 となるのは、すべての固有値が単位円の真に内側にあるときに限ります。、、 が、 が大きくなるとそれぞれどうなるか確かめましょう。
解答:
対角化 を使うと、動きはすべて の中にあります。
すべての固有値が を満たすので、 のとき の各対角成分は に近づきます。よって となり、その結果 です。
これが安定性の定理の働きです:(すべての について)。
問2
正しいか誤りか: が固有値 をもつなら、 が大きくなるにつれて の対応する成分は限りなく大きくなる( は「負なので爆発しうる」から)。
✅ 正解です! なので、成分 は符号が交互に変わりながら 0 に減衰します。
❌ 惜しい! 安定性の条件で使うのは そのものではなく です。 を計算して、絶対値の変化を見てみましょう。
解答:
この主張は誤りです。安定性にとって大事なのは、符号ではなく絶対値 です。
のとき:
なので です。値 は符号が交互に変わります()が、その絶対値は 0 に縮んでいきます。
だからこそ安定性の定理では絶対値を使い、 ではなく とするのです。幾何的には、各固有値が複素平面の単位円の真に内側にあるかどうかを問うています。大事なのは原点からの距離です。
問3
対角化可能な行列 の固有値は 、、 です。
のとき、 の長期的なふるまいはどうなりますか。
✅ 正解です! の固有値が1つあれば、ほかの固有値がどれほど小さくても は発散します。
❌ 惜しい! 安定性の条件は、すべての固有値が を満たすことを求めます。 はいくつでしょうか。ほかの縮んでいく固有値で、それを打ち消せるでしょうか。
解答:
安定性の定理は、すべての固有値が を満たすことを求めます。ここでは:
しかし には無限大に向かう成分が1つあるので、 は発散し、したがって次も発散します。
たった1つの反抗的な固有値が、すべてを乗っ取ってしまいます。 おとなしい仲間の固有値では救えません。 と は決まった有限の行列で、発散する を救うことはできないからです。
問4
行列 が固有値 (純虚数)をもつとします。
のときの のふるまいを正しく表しているのはどれですか。
✅ 正解です! は単位円の外側なので、 です。
❌ 惜しい! まず を計算しましょう。複素平面で から原点までの距離はいくつですか。安定性の定理が問題にするのはその距離で、実部や虚部だけではありません。
解答:
安定性を決めるのは絶対値(複素平面での原点からの距離)で、実部や虚部それぞれではありません。
のとき:
なので、この固有値は単位円の外側にあります。よって:
値 は複素平面上を回転します( を掛けると 回転します)が、その絶対値は のように増えていきます。つまり、渦を巻きながら外へ、無限大へと向かいます。
複素固有値は「中立」あるいは有界だ、というのはよくある誤解です。そうではありません。有界だが減衰しないのは、単位円上()にある固有値だけです。円の真に外側にあるものはすべて爆発します。
正解数:0 / 4