線形代数 · 第22回 · 動画4 · インタラクティブ教材

高階の方程式を行列に変える:コンパニオン行列のしかけ

I重要な公式

公式 名称 説明
y′′+by′+ky=0y'' + b y' + k y = 0 二階の線形常微分方程式 元のスカラーの方程式
u=(y′y)\mathbf{u} = \begin{pmatrix} y' \\ y \end{pmatrix} 状態ベクトル 最高階の導関数を上に置く
u′=Au,A=(−b−k10)\mathbf{u}' = A\mathbf{u}, \quad A = \begin{pmatrix} -b & -k \\ 1 & 0 \end{pmatrix} コンパニオン行列による連立系 1行目 = 物理、2行目 = 帳簿づけ
det⁡(A−λI)=λ2+bλ+k\det(A - \lambda I) = \lambda^2 + b\lambda + k 固有多項式(特性多項式) 常微分方程式の特性方程式と同じ

II可視化1 — コンパニオン行列を組み立てる

常微分方程式の係数 bb と kk は AA の1行目に入り、この行列の固有多項式は λ2+bλ+k\lambda^2 + b\lambda + k になります。

💡 この横軸との交点が AA の固有値です。次の可視化では、これを別の方法で求めます。

III可視化2 — 固有値は特性根である

AA の固有値は、実数でも複素数でも、ちょうど λ2+bλ+k\lambda^2 + b\lambda + k の根です。

💡 どんな b,kb, k でも、2つの固有値の和は −b-b(AA のトレース)、積は kk(その行列式)です。

IV可視化3 — 高階の場合のパターン

nn 階の常微分方程式では、1本の物理の行の下で、帳簿づけの 11 が主対角線のすぐ下の対角線に並びます。

💡 この行列の固有値は、nn 次の固有多項式の根です。階数が上がっても、しかけは同じです。

V確認クイズ

問1

次の二階の常微分方程式を考えます。 y′′+4y′+3y=0.y'' + 4y' + 3y = 0.

u=(y′,y)T\mathbf{u} = (y', y)^T(最高階の導関数を上に置く)という約束ごとのもとで、u′=Au\mathbf{u}' = A\mathbf{u} となるコンパニオン行列 AA はどれですか?

✅ 正解です! 上の行は、常微分方程式の係数の符号を反転した (−b,−k)=(−4,−3)(-b, -k) = (-4, -3) で、下の行の (1,0)(1, 0) は y′=y′y' = y' を表します。

❌ 符号の誤りです。 y′′+4y′+3y=0y'' + 4y' + 3y = 0 を y′′y'' について解くと、y′′=−4y′−3yy'' = \mathbf{-}4 y' \mathbf{-} 3 y になります。係数の符号が反転するのです。

❌ 順番の誤りです。 u=(y′,y)T\mathbf{u} = (y', y)^T では、上の行はまず y′y' に、次に yy に掛かります。ですから成分は (−b,−k)=(−4,−3)(-b, -k) = (-4, -3) で、(−k,−b)(-k, -b) ではありません。

❌ これは、逆の約束ごと u=(y,y′)T\mathbf{u} = (y, y')^T から得られる行列です。 ここでの約束ごとでは最高階の導関数を上に置くので、物理の行が上に来ます。

❌ 惜しい! もう一度考えてみましょう。上のヒントが役に立ちます。

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解答:

u=(y′,y)T\mathbf{u} = (y', y)^T を微分すると、 u′=(y′′y′).\mathbf{u}' = \begin{pmatrix} y'' \\ y' \end{pmatrix}.

常微分方程式から y′′=−4y′−3yy'' = -4y' - 3y です。下の成分は、ただの y′=y′y' = y' です。したがって u′=(−4y′−3yy′)=(−4−310)(y′y).\mathbf{u}' = \begin{pmatrix} -4 y' - 3 y \\ y' \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} -4 & -3 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} y' \\ y \end{pmatrix}.

よって A=(−4−310)A = \begin{pmatrix} -4 & -3 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} です。

問2

常微分方程式 y′′+3y′+2y=0y'' + 3y' + 2y = 0 のコンパニオン行列は、次のとおりです。 A=(−3−210).A = \begin{pmatrix} -3 & -2 \\ 1 & 0 \end{pmatrix}.

AA の固有値はどれですか?

✅ 正解です! 固有多項式 λ2+3λ+2=(λ+1)(λ+2)\lambda^2 + 3\lambda + 2 = (\lambda+1)(\lambda+2) の根は −1,−2-1, -2 です。

❌ 符号の誤りです。 λ2+3λ+2=0\lambda^2 + 3\lambda + 2 = 0 は (λ+1)(λ+2)=0(\lambda+1)(\lambda+2) = 0 と因数分解できるので、λ=−1,−2\lambda = -1, -2 です。+1,+2+1, +2 ではありません。

❌ AA の1行目を読み取っていますね。 その成分は −b-b と −k-k で、固有値ではありません。わかるのはトレース(−3-3)と行列式(22)だけです。λ2+3λ+2=0\lambda^2 + 3\lambda + 2 = 0 を解く必要があります。

❌ 惜しい! これは常微分方程式の係数の絶対値で、固有値ではありません。λ2+3λ+2=0\lambda^2 + 3\lambda + 2 = 0 を解くと、λ=−1,−2\lambda = -1, -2 が得られます。

❌ 惜しい! もう一度考えてみましょう。上のヒントが役に立ちます。

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解答:

固有多項式を計算します。 det⁡(A−λI)=det⁡(−3−λ−21−λ)=(−3−λ)(−λ)−(−2)(1)=λ2+3λ+2.\det(A - \lambda I) = \det\begin{pmatrix} -3 - \lambda & -2 \\ 1 & -\lambda \end{pmatrix} = (-3-\lambda)(-\lambda) - (-2)(1) = \lambda^2 + 3\lambda + 2.

これはまさに、常微分方程式の特性多項式です。因数分解すると、 λ2+3λ+2=(λ+1)(λ+2)=0.\lambda^2 + 3\lambda + 2 = (\lambda + 1)(\lambda + 2) = 0.

したがって λ=−1\lambda = -1 と λ=−2\lambda = -2 です。これは、予想 y=eλty = e^{\lambda t} を代入して得られる指数と同じであることに注意しましょう。

問3

正しいか誤りか:コンパニオン行列のしかけは、元の常微分方程式に新しい情報を加える。連立系 u′=Au\mathbf{u}' = A\mathbf{u} は、スカラーの方程式 y′′+by′+ky=0y'' + b y' + k y = 0 より多くの解をもつ。

✅ 正解です! 帳簿づけの行は当たり前の恒等式で、制約条件を加えません。行列の連立系の解の集合は、スカラーの常微分方程式とまったく同じです。

❌ 惜しい! コンパニオン行列のしかけは、純粋な包み直しにすぎません。y′=y′y' = y' のような当たり前の行は新しい制約条件を加えず、導関数を名前のついた変数に展開しているだけです。

❌ 惜しい! もう一度考えてみましょう。上のヒントが役に立ちます。

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解答:

誤り。 動画でも強調しているとおり、コンパニオン行列のしかけは新しい情報を何も加えません。AA の帳簿づけの行が表すのは y′=y′y' = y' のような当たり前の恒等式で、新しい制約条件は課しません。高階の導関数に、新しい状態変数として名前をつけ直しているだけです。

u′=Au\mathbf{u}' = A\mathbf{u} の解の集合は、y′′+by′+ky=0y'' + b y' + k y = 0 の解の集合と一対一に対応します。解は同じで、新しい服を着ただけです。

問4

次の四階の常微分方程式を考えます。 y(4)+5y′′′+6y′′+2y′+7y=0.y^{(4)} + 5 y''' + 6 y'' + 2 y' + 7 y = 0.

u=(y′′′,y′′,y′,y)T\mathbf{u} = (y''', y'', y', y)^T という約束ごとのもとで、4×44 \times 4 のコンパニオン行列 AA の1行目はどれですか?

✅ 正解です! 1行目は、常微分方程式の係数の符号を反転し、u\mathbf{u} の成分と同じ順番、つまり y′′′y''' から yy までの順に並べたものです。

❌ 符号の誤りです。 y(4)y^{(4)} について解くと、すべての係数の符号が反転して y(4)=−5y′′′−6y′′−2y′−7yy^{(4)} = -5 y''' - 6 y'' - 2 y' - 7 y となります。

❌ 順番が逆です。 u\mathbf{u} は導関数を高い階数から低い階数へ並べているので、行の成分もそれに合わせます。まず y′′′y''' の係数、次に y′′y''、y′y'、yy の係数と並べると、(−5,−6,−2,−7)(-5, -6, -2, -7) になります。

❌ それは帳簿づけの行で、物理の行ではありません。 1行目には常微分方程式の係数が入り、11 はそのすぐ下の対角線に並びます。

❌ 惜しい! もう一度考えてみましょう。上のヒントが役に立ちます。

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解答:

常微分方程式を最高階の導関数について解きます。 y(4)=−5y′′′−6y′′−2y′−7y.y^{(4)} = -5 y''' - 6 y'' - 2 y' - 7 y.

u′\mathbf{u}' のいちばん上の成分は y(4)y^{(4)} です。u=(y′′′,y′′,y′,y)T\mathbf{u} = (y''', y'', y', y)^T なので、AA の1行目はこの一次結合を生み出さなければなりません。係数を同じ順番で読み取ると、 1行目=(−5,  −6,  −2,  −7).\text{1行目} = (-5, \; -6, \; -2, \; -7).

残りの3行は、主対角線のすぐ下の対角線に 11 が並ぶ帳簿づけの行です。したがって A=(−5−6−2−7100001000010).A = \begin{pmatrix} -5 & -6 & -2 & -7 \\ 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \end{pmatrix}.

正解数:0 / 4