線形代数 · 第23回 · 動画2 · インタラクティブ教材
| 公式 | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| マルコフ連鎖の反復 | 連鎖の時間を1ステップ進める | |
| スペクトルによる基本公式 | 固有ベクトルの基底で見た のべき乗 | |
| () | マルコフ行列のスペクトル | 列確率行列 では常に成り立つ |
| () | 定常状態 | の方向だけが生き残る |
各ステップで都市 A の割合 、都市 B の割合 が出ていきます。連鎖を進めると、配分は一つの値に落ち着きます。
💡 の定常状態は です。決めるのは移動の割合だけで、出発点はまったく関係しません。
支配的でない項はどれも のように減衰します。 が 1 に近いほど、連鎖が忘れるのは遅くなります。
💡 1% まで縮むのに必要なステップ数が、その連鎖の混合時間です。それを決める比 を混合率といいます。
直線 上の6通りの最初の配分から出発しても、どの軌跡も同じ定常状態の点へ滑り込んでいきます。
問1
どんな列確率のマルコフ行列 についても、最大の固有値 はいくつですか。
✅ 正解です! どんな列確率行列も をもちます。列の和が 1 であることがそれを保証します。
❌ 惜しい! 列の和が 1 という性質から、ある特定の固有値が必ず現れます。 が何に等しいかを考えましょう。
解答:
列確率行列は、どの列も和が 1 です。したがって、全成分が 1 の行ベクトル は を満たし、 は固有値 の左固有ベクトルです。 と は同じ固有値をもつので、 は の固有値でもあります。
確率行列のすべての固有値について成り立つペロン–フロベニウスの評価 と合わせると、次の結論が得られます。
問2
あるマルコフ連鎖の固有値は 、、 です。支配的でない成分がおよそ 100 分の 1 に減衰するには、およそ何ステップ が必要ですか(つまり となるのはいつですか)。
✅ 正解です! です。混合時間を決めるのは、最もゆっくり減衰する固有値 です。
❌ 惜しい! 収束を支配するのは2番目に大きい固有値です。 を解きましょう。
解答:
収束の速さを決めるのは、2番目に大きい固有値の大きさ です。次の式を満たすステップ数を求めます。
対数をとると です。
したがって約 90 ステップです。 ははるかに速く減衰する( は天文学的に小さい)ので、関係ありません。混合時間を支配するのは、支配的でない固有値のうち最も減衰の遅いものです。
問3
正しいか誤りか:(性質のよい)マルコフ連鎖では、定常状態 は最初の分布 によって決まる。
✅ 正解です! 定常状態 は行列の に対応する固有ベクトルで決まり、確率の条件によって も決まります。 にはよりません。
❌ 惜しい! 可視化3を振り返りましょう。6通りの最初の配分は、どれも同じ赤い星印へ流れ込みました。
解答:
基本公式から です。 とすると最初の項だけが生き残るので、次のようになります。
向き は行列 で決まり、 にはまったくよりません。スカラー は原理的には によりますが、確率ベクトル (成分が 0 以上で和が 1)であれば、 の和も 1 という条件によって がただ一つに決まります。
結論:確率ベクトルである最初の分布は、どれも同じ定常状態に収束します。連鎖は自分の出発点を忘れるのです。
(注意:ここでは の重複度が 1 で、連鎖が既約かつ非周期的である、つまり性質のよい場合を仮定しています。)
問4
次の列確率行列を考えます。
定常分布( に対応する固有ベクトルを、成分の和が 1 になるように正規化したもの)はどれですか。
✅ 正解です! を解いて正規化すると になります。
❌ 惜しい! が定常状態になるのは、行列が対称な場合(たとえば )だけです。ここでは です。
❌ 惜しい! 対角成分を読み取ることは、 を解くことと同じではありません。固有値の方程式を立てましょう。
❌ 惜しい! 成分を入れ替えてしまったのかもしれません。 を丁寧に解きましょう。
解答:
、つまり を解きます。
1行目から なので 、すなわち です。
成分の和が 1 になるように正規化します。
2×2 の列確率行列の近道 :定常状態は です。ここでは 、 なので、 となります。
正解数:0 / 4