線形代数 · 第24回 · 動画2 · インタラクティブ教材
| 公式 | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| 固有値の方程式 | は固有値、 はその固有ベクトル | |
| 対称性の条件 | 証明全体の要 | |
| 複素ベクトルの長さの二乗 | のとき、これで割ってよい理由 | |
| 実数であることの判定 | 共役が自分自身に等しいことは、虚部が 0 であることを意味する | |
| エルミートの条件 | 複素数への一般化。結論は同じ |
対角成分を と に固定すると、等しい非対角成分 () は2つの固有値を実軸に留めます。等しくなければ、実軸から押し出すこともあります。
💡 固有値が実軸を離れるのは になったときだけです。対称性は を強いるので となり、その境目より十分に実数の側にとどまります。
対称行列 の成分をどう動かしても、判別式は二乗の和なので、固有値が実軸を離れることはけっしてありません。
のとき、素朴な はゼロでないベクトルでも になりえますが、共役をとった はけっしてそうなりません。
問1
次の対称行列を考えます。
数値を計算せずに、 の固有値について何が言えますか?
✅ 正解です! 対称性だけで、固有値が実数であることは保証されます。計算は要りません。
❌ 惜しい! この行列は実対称行列 () なので、定理が当てはまり、固有値は実数であることが保証されます。
解答:
この行列は実行列で、 を満たします。動画で証明した定理は次のとおりです:
実対称行列の固有値は、すべて実数である。
ですから、何も計算しなくても、2つの固有値が実軸上にあることがわかります。(興味のある人へ:固有多項式は で、 と が得られます。どちらも実数です。)
証明をひと息で:固有値の方程式の共役をとり、転置し、 を使って置き換え、もとの方程式と組み合わせると が得られます。 なので約分でき、、つまり です。
問2
複素ベクトル を考えます。ある学生が「長さの二乗」を次のように計算しました:
動画の証明は、ゼロでないベクトルの長さの二乗が厳密に正であることに頼っています。同じ に対して、実際に正の実数を与える式はどれですか?
✅ 正解です! どちらの因子の共役をとっても、同じ正の実数が得られます。これがエルミート内積の要点です。
❌ 惜しい! 直し方は、2つの因子の片方の共役をとることです。 でも でも 2 になり、互いに相手の共役なので等しくなります。
解答:
成分が の複素ベクトル では、正しい長さの二乗は で、 である限り、実数でしかも厳密に正です。
の場合:
と は、どちらも同じ正の実数になります。2つは互いの共役ですが、実数は自分自身の共役に等しいからです。決め手は2つの因子の片方の共役をとることで、これによって がそれぞれ に変わります。
素朴な こそ、共役をとることで防ごうとしている大惨事なのです。
問3
証明は次のような構成になっています(ステップ順):
対称性の仮定 が実際に使われるただ一か所は、どのステップですか?
✅ 正解です! ステップ4が要です。ほかのステップは、どんな行列でも成り立ちます。
❌ 惜しい! がなければ成り立たないステップを探しましょう。共役、転置、約分は、どれも対称性なしで成り立ちます。対称性が必要なのは置き換え だけです。
解答:
仮定 が使われるのは、ちょうど一か所、 を に置き換えるステップ4だけです。ほかのステップは、どんな行列でも成り立ちます:
ステップ4を外すと、証明は崩れます。このたった一つの置き換えが、 を、 がすでに支配している同じ組み合わせ へと導き、 を強いるのです。
一般化:複素行列では、これに当たる条件は (エルミート)です。ステップ4でまったく同じ役割を果たし、結論も同じ、つまり固有値は実数になります。
問4
次の複素行列を考えます。
であることに注意してください(非対角成分は と で、異なります)。それでも、 の固有値はすべて実数になります。
正しいか誤りか:これは動画の定理に対する反例である。固有値が実数の非対称行列があるのだから、対称性は実は必要ない。
✅ 正解です! この行列は、対称行列を複素数に一般化したエルミート行列なので、定理が当てはまり、固有値は実数になると予言されます。
❌ 惜しい! かどうかを確かめましょう。すべての成分の共役をとってから転置すると、ぴったり に戻ります。これがエルミートの条件で、複素行列に対する正しい仮定です。
解答:
答えは誤りです。その理由こそ、動画の最後で触れたエルミート行列への一般化です。
共役転置を計算します:
よって で、この行列はエルミート行列です。複素行列では「対称」() は正しい条件ではなく、正しい条件は「エルミート」() です。証明の中の をすべて に置き換えれば、結論は同じ、つまり固有値は実数になります。
実対称行列は、エルミート行列の実数の場合という特別な場合にすぎません。成分がすべて実数なら は に帰着し、エルミートは対称に帰着します。
(確認:この の固有値は の根 、つまり と です。定理の予言どおり、どちらも実数です。)
正解数:0 / 4