線形代数 · 第27回 · 動画1 · インタラクティブ教材
| 概念 | 内容 | 使う道具 |
|---|---|---|
| 正定値(二次形式による定義) | すべての に対して | 二次形式 |
| 逆行列の固有値 | 固有値 | |
| 和についての閉包性 | 二次形式 | |
| の恒等式 | ノルムの恒等式 | |
| が(半正定値でなく)正定値であること | の列が一次独立であることが必要 | 列フルランク |
正定値な では、どの固有値 も、 では になります。逆行列をとっても、正の値は正のままです。
💡 固有値が に近づくと、その逆数は限りなく大きくなります。それでも負になることはないので、 は正定値のままです。
正定値な二次形式を2つ足すと、お椀どうしが足し合わされます。和はより急なお椀になり、その等高線は有界な楕円のままです。
が正定値になるのは、 の列が一次独立であるときに限ります。そうでなければ、半正定値にとどまります。
💡 を固定すると、平行四辺形の面積は に等しくなります。この面積がつぶれて になるのは、ちょうど列が一次従属になるときです。
問1
対称行列 の固有値が だとします。 の固有値は何でしょうか。また、 は正定値でしょうか。
✅ 正解です! 正の数の逆数は正なので、 は正定値のままです。
❌ 惜しい! を使いましょう。固有値は逆数になりますが、符号は変わりません。
解答:
なら、両辺に を掛けると となるので、次が成り立ちます。
つまり、 の固有値は の固有値の逆数で、 です。
逆数はどちらも正です(正の数を正の数で割ったもの)。 は対称でもあり( だから)、固有値がすべて正なので、 は正定値です。
問2
正しいか誤りか: と が対称な正定値行列なら、 の固有値は、 の固有値と の固有値を単純に足したものになる。
✅ 正解です! 固有ベクトルを共有していない限り、固有値は足し算になりません。だからこそ、和については道具を替えて二次形式を使うのです。
❌ 惜しい! 一般に、 の固有値は と の固有値の和ではありません。和についての閉包性を証明するのに二次形式を使うのは、まさにこのためです。
解答:
誤りです。固有値が足し算になるのは、 と が同じ固有ベクトルを共有するときだけです。一般には、 の固有値はまったく別のものになります。
和についての閉包性に固有値という道具が使えないのは、まさにこのためです。そこで二次形式に切り替えます。
したがって、個々の固有値については何もすっきりしたことが言えなくても、 は正定値です。
問3
を考えます。 をもっとも正しく表しているのはどれですか。
✅ 正解です! 2列目 = 2·(1列目) なので、列は一次従属です。 は対称で半正定値ですが、 です。
❌ 惜しい! の列が一次独立かどうかを確かめましょう。2列目が1列目の定数倍なら、 は特異です。
解答:
の2列目はちょうど1列目の2倍なので、列は一次従属です(階数 1)。
はいつでも対称です。 だからです。
計算すると、
行列式は なので、 は特異です。
恒等式 が保証するのは半正定値性までです。列が一次従属だと、 となる 0 でない (たとえば )が存在するので、ゼロより真に大きいという性質が崩れます。
問4
最小二乗法の正規方程式は です。最小二乗解がただ1つに決まるために、 の列が一次独立であることが決定的に重要なのはなぜですか。
✅ 正解です! 列が一次独立 → なら → は正定値 → 可逆 → がただ1つに決まる。
❌ 惜しい! はたいてい長方行列なので、 を直接逆行列にすることはできません。ポイントは、 が正方行列であること、そして の列が一次独立であるときに限って正定値(したがって可逆)になることです。
解答:
推論の流れは次のとおりです。
注意: そのものはふつう長方行列(行の数が列の数より多い)なので、 を直接逆行列にすることはできません。 を作る意味はまさに、縦長の長方行列を正方の正定値行列に変えることにあります。ただし、列が一次独立であることが条件です。
正解数:0 / 4