線形代数 · 第28回 · 動画1 · インタラクティブ教材
| 公式 | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| 特異値分解(SVD) | どんな 行列にも使える | |
| SVD を特徴づける関係式 | は正規直交な を、正規直交な の 倍に写す | |
| 特異値 | の固有値の平方根。つねに | |
| スペクトル定理(対称・正定値) | 、 となる特別な場合 |
は、回転、伸縮、もう一度の回転という3つの動きで、単位円を楕円に変えます。
💡 チャレンジ: にしてみましょう。楕円がつぶれて線分になります。つまり の階数は 1 で、 は零空間に入ります。
では、 で写したあとも垂直のままでいる入力側の基底はただ1つ、特異ベクトル だけです。
💡 チャレンジ: となるまで をドラッグしましょう。そのときの入力側の角度 が、まさに SVD の基底です。
特異値は像の楕円の半軸の長さで、つねに実数かつ です。一方、固有値は負になることも、複素数になることさえあります。
💡 試してみましょう:90° の回転 では、特異値はどちらも なのに、固有値は です。
問1
実数の 行列 の SVD について、つねに正しいのは次のうちどれですか。
✅ 正解です! これがまさに SVD の構造で、どんな実行列でも成り立ちます。
❌ 惜しい! SVD には、形にも可逆性にも制限がありません。だからこそ「最後の分解」と呼ばれるのです。
解答:
SVD は、正方行列でも長方行列でも、特異でも正則でも、どんな実行列 にも使えます。分解 では次のようになります。
が正方行列である必要も、可逆である必要もありません。長方行列 には固有値がそもそも存在しないこともありますが、特異値はいつでも存在します。
となるのは、対称で半正定値な行列の場合だけです。
問2
ベクトルを 90° 回転させる回転行列 を考えます。
この行列の特異値はいくつですか。
✅ 正解です! 回転は長さを変えないので、固有値は虚数でも、特異値はどちらも 1 です。
❌ 惜しい! 思い出しましょう。特異値は で、つねに 0 以上の実数です。複素数になることも、負になることもありません。
解答:
特異値は の固有値の平方根です。
の固有値はどちらも 1 なので、 です。 の固有値が複素数(この場合は )であっても、特異値はつねに 0 以上の実数です。
幾何学的には、回転は単位円をそれ自身に写すので、「楕円」の半軸はどちらも 1 になります。
問3
正しいか誤りか:どんな実行列 でも、右特異ベクトルは左特異ベクトルに等しい(つまり )。
✅ 正解です! SVD は異なる2つの正規直交基底を使います。 となるのは、対称で半正定値な場合だけです。
❌ 惜しい! 長方行列を考えてみましょう。 は 、 は です。一般には、等しくなることすらありえません。
解答:
誤りです。一般には です。
長方形の 行列では、 と は大きさすら違います。両者が等しくなりうるのは、 が対称で半正定値という特別な場合だけです。そのときはスペクトル定理から となり、、 が得られます。
SVD の要点は、1つの基底に二役をさせるのではなく、入力用と出力用の2つの正規直交基底が必要だということです。
問4
行列 の SVD で、、、 だとします。
の幾何学的な意味と階数について正しいのはどれですか。
✅ 正解です! 階数 = 0 でない特異値の個数です。0 の特異値が1つの次元をつぶし、楕円体を平らな楕円にします。
❌ 惜しい! 階数は0 でない特異値の個数に等しく、0 の特異値があれば、その方向は 0 につぶされます(零空間)。
解答:
の階数は 0 でない特異値の個数に等しくなります。ここでは と は 0 でなく、 なので、 です。
幾何学的には、 は 3 次元の単位球を、 と が張る平面内の、半軸の長さが 4 と 2 の平らな楕円に写します。3つ目の方向 は0 につぶされます。
したがって、 は の零空間に属します。
注意: は一般には の固有ベクトルではありません。これは右特異ベクトルであり、 だからといって が固有ベクトルになるわけではありません。 行列には固有ベクトルがありません。 は のベクトルだからです。固有ベクトルと特異ベクトルは別の概念です。
正解数:0 / 4