線形代数 · 第29回 · 動画2 · インタラクティブ教材

基底のトリック:数本のベクトルが線形変換のすべてを決める

I重要な公式

公式 名称 説明
v=c1v1+c2v2+⋯+cnvnv = c_1 v_1 + c_2 v_2 + \dots + c_n v_n 基底による展開 どのベクトルも、基底ベクトルの一次結合としてただ一通りに書ける
T(v)=c1T(v1)+c2T(v2)+⋯+cnT(vn)T(v) = c_1 T(v_1) + c_2 T(v_2) + \dots + c_n T(v_n) 基底のトリック 線形性によって、展開式がそのまま TT を通り抜ける
T(au+bv)=a T(u)+b T(v)T(au + bv) = a\,T(u) + b\,T(v) 線形性 加法性 + 斉次性
M=[ T(v1)    T(v2)    …    T(vn) ]M = [\,T(v_1)\;\;T(v_2)\;\;\dots\;\;T(v_n)\,] TT の行列 列は基底ベクトルの像

II可視化1 — 基底の成分に分けたベクトル

ベクトルは c1e1+c2e2c_1 e_1 + c_2 e_2 です。水平方向と垂直方向の基底の部品を、矢印の先端と根元をつないで足し合わせたものです。

III可視化2 — 基底のトリックを実際に使う

90° の回転 TT では、出力 T(v)=c1T(e1)+c2T(e2)T(v)=c_1T(e_1)+c_2T(e_2) が、回転した基底に同じ係数を掛けることで組み立て直されます。

入力空間

出力空間 — T を作用させる

IV可視化3 — 同じ矢印、異なる座標

同じ矢印を二つの辞書で書きます。標準基底 {e1,e2}\{e_1,e_2\} と、斜めの基底 {v1=(1,1), v2=(1,−1)}\{v_1=(1,1),\,v_2=(1,-1)\} です。

標準基底 {e₁, e₂}

基底 {v₁, v₂}

V確認クイズ

問1

R2\mathbb{R}^2 上の線形変換 TT が T(e1)=(2,3)T(e_1) = (2, 3)、T(e2)=(−1,4)T(e_2) = (-1, 4) を満たしています。

基底のトリックを使うと、v=(5,2)v = (5, 2) に対する T(v)T(v) は何ですか。

✅ 正解です! vv の係数と基底ベクトルの像を組み合わせて使えました。

❌ 惜しい! T(v)=c1T(e1)+c2T(e2)T(v) = c_1 T(e_1) + c_2 T(e_2) を思い出しましょう。ここで (c1,c2)(c_1, c_2) は vv の座標です。

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解答:

vv を標準基底で分解します。v=(5,2)=5 e1+2 e2v = (5, 2) = 5\,e_1 + 2\,e_2 です。

基底のトリックを当てはめます。 T(v)=5 T(e1)+2 T(e2)=5(2,3)+2(−1,4)=(10,15)+(−2,8)=(8,23).T(v) = 5\,T(e_1) + 2\,T(e_2) = 5(2, 3) + 2(-1, 4) = (10, 15) + (-2, 8) = (8, 23).

問2

線形変換 T:R2→R2T: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2 について、TT の標準行列が

M=[0−110].M = \begin{bmatrix} 0 & -1 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}.

であるとします。MM の列は何を表していますか。

✅ 正解です! 行列とは、基底ベクトルの送り先の記録そのものです。

❌ 惜しい! 標語を思い出しましょう。「行列 = 基底の行き先」です。

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解答:

行列とは、基底ベクトルがどこへ移るかを記録した表にすぎません。MM の1列目は T(e1)T(e_1)、2列目は T(e2)T(e_2) です。

この行列では、

  • T(e1)=(0,1)T(e_1) = (0, 1) — 1列目
  • T(e2)=(−1,0)T(e_2) = (-1, 0) — 2列目

行列の中身はこれで全部です。基底の行き先がわかれば、ほかのどのベクトルについても、基底のトリックで T(v)T(v) が決まります。

問3

正しいか誤りか: 座標 (3,2)(3, 2) はベクトルに固有の性質であり、どの基底を使ってもそのベクトルを表す。

✅ 正解です! 座標は、選んだ基底という通貨で書かれた請求書です。

❌ 惜しい! 可視化3を思い出しましょう。同じ矢印に、二通りの異なる座標表示がありました。

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解答:

誤りです。座標はベクトルに固有のものではありません。選んだ基底によって決まります。

ベクトルを (3,2)(3, 2) と書くときは、黙って標準基底を前提にしており、3 e1+2 e23\,e_1 + 2\,e_2 という意味です。v1=(1,1)v_1 = (1,1)、v2=(1,−1)v_2 = (1,-1) のような別の基底に切り替えると、同じ矢印に別の座標、つまり (2.5,0.5)(2.5, 0.5) が割り当てられます。

矢印そのものは幾何学的な対象で、空間の中の長さと向きです。数のほうは、選んだ言葉で書かれた帳簿にすぎません。

問4

R2\mathbb{R}^2 上の線形変換 TT が、T(e1)=(1,0)T(e_1) = (1, 0)、T(e2)=(0,0)T(e_2) = (0, 0) と送ります。

TT を幾何学的に最もよく表しているのはどれですか。また、v=(4,7)v = (4, 7) に対する T(v)T(v) は何ですか。

✅ 正解です! T(e1)T(e_1) と T(e2)T(e_2) がわかれば、すべてがわかります。2本目の基底ベクトルがゼロに送られるので、yy 成分は消えてしまいます。

❌ 惜しい! 基底のトリックを使いましょう。T(v)=4 T(e1)+7 T(e2)T(v) = 4\,T(e_1) + 7\,T(e_2) です。T(e2)T(e_2) が零ベクトルだと、どうなるでしょうか。

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解答:

基底のトリックを当てはめます。v=(4,7)=4 e1+7 e2v = (4, 7) = 4\,e_1 + 7\,e_2 に対して、 T(v)=4 T(e1)+7 T(e2)=4(1,0)+7(0,0)=(4,0).T(v) = 4\,T(e_1) + 7\,T(e_2) = 4(1, 0) + 7(0, 0) = (4, 0).

yy 成分は消え、xx 成分はそのまま残ります。これはまさに x 軸への射影です。対応する行列は

M=[1000],M = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 0 \end{bmatrix},

で、その列は T(e1)=(1,0)T(e_1) = (1, 0) と T(e2)=(0,0)T(e_2) = (0, 0) です。

正解数:0 / 4