線形代数 · 第3回 · 動画1 · インタラクティブ教材

行列の積を見る五つの方法

I重要な公式

方法 公式 重要な洞察
成分の方法 Cij=∑k=1naik bkjC_{ij} = \sum_{k=1}^{n} a_{ik}\, b_{kj} AA の ii 行目と BB の jj 列目の内積
列の方法 colj(C)=A⋅colj(B)\text{col}_j(C) = A \cdot \text{col}_j(B) CC の各列は、AA の列の一次結合
行の方法 rowi(C)=rowi(A)⋅B\text{row}_i(C) = \text{row}_i(A) \cdot B CC の各行は、BB の行の一次結合
列 × 行 AB=∑k=1ncolk(A)  rowk(B)AB = \sum_{k=1}^{n} \text{col}_k(A)\;\text{row}_k(B) nn 個の階数一の外積の和

II可視化1 — 成分の方法

各成分 CijC_{ij} はただ1つの数で、AA の ii 行目と BB の jj 列目の内積です。

III可視化2 — 列の方法

CC の各列は、AA の列の一次結合で、その重みは BB の1つの列です。

IV可視化3 — 行の方法

対称的に、CC の各行は、BB の行の一次結合で、その重みは AA の1つの行です。

V可視化4 — 列 × 行

ABAB は nn 個の階数一の外積の和に等しくなります。共通の次元の添字1つにつき、1つの外積です。

💡 各項は階数一です。どの列も1つのベクトルの定数倍で、どの行も別の1つのベクトルの定数倍です。この分解は、行列の階数や低ランク近似の土台になっています。

VI確認クイズ

問1

2×32 \times 3 行列 DD(1行目 =[3,  −1,  2]= [3,\; -1,\; 2])と、3×23 \times 2 行列 EE(2列目 =[4,  0,  −1]T= [4,\; 0,\; -1]^T)を考えます。

「成分の方法」で (DE)1,2(DE)_{1,2} を計算してください。

✅ 正解です! 内積は 12+0−2=1012 + 0 - 2 = 10 になります。

❌ 惜しい! 対応する成分どうしをかけ、符号に注意しましょう。

解答を見る

解答:

(DE)1,2(DE)_{1,2} は、DD の1行目と EE の2列目の内積です:

(DE)1,2=3⋅4+(−1)⋅0+2⋅(−1)=12+0−2=10(DE)_{1,2} = 3 \cdot 4 + (-1) \cdot 0 + 2 \cdot (-1) = 12 + 0 - 2 = 10

答えは 10 です。

問2

C=ABC = AB を「列の方法」で考えるとき、CC のどの列も、どのベクトルの組の一次結合になっていますか。

✅ 正解です! CC の各列は、AA の列空間の中にあります。

❌ 惜しい! A⋅colj(B)A \cdot \text{col}_j(B) が何を表すか考えてみましょう。AA のどのベクトルが定数倍され、たし合わされますか。

解答を見る

解答:

CC の jj 列目は A⋅colj(B)A \cdot \text{col}_j(B) に等しく、展開すると次のようになります:

colj(C)=b1j col1(A)+b2j col2(A)+⋯+bnj coln(A)\text{col}_j(C) = b_{1j}\,\text{col}_1(A) + b_{2j}\,\text{col}_2(A) + \cdots + b_{nj}\,\text{col}_n(A)

したがって、CC のどの列も AA の列の一次結合で、その重みは BB の jj 列目の成分です。

だから 列空間(C)⊆列空間(A)\text{列空間}(C) \subseteq \text{列空間}(A) となるのです。

問3

ゼロでない列ベクトル u\mathbf{u}(m×1m \times 1)とゼロでない行ベクトル vT\mathbf{v}^T(1×p1 \times p)の外積は、m×pm \times p 行列になります。この行列の階数はいくつですか。

✅ 正解です! ゼロでない2つのベクトルの外積の階数は、常に1です。

❌ 惜しい! 外積でできた行列には、一次独立な列がいくつありますか。

解答を見る

解答:

外積 uvT\mathbf{u}\mathbf{v}^T からできる行列では:

  • どの列も u\mathbf{u} のスカラー倍
  • どの行も vT\mathbf{v}^T のスカラー倍

すべての列が同じ方向を向いているので、列空間は1次元です。したがって、階数は 1 です。

こうした階数一の行列は、ゼロでない行列の中で最も単純なものです。そして、どんな行列の積 ABAB も、それらの和に分解できます。

問4

正しいか誤りか:C=ABC = AB で、AA が m×nm \times n、BB が n×pn \times p のとき、積 CC は常にちょうど nn 個の階数一の行列の和として書ける(共通の次元の添字1つにつき1個)。

✅ 正解です! 列 × 行の分解からは、常にちょうど nn 個の階数一の項が出てきます。

❌ 惜しい! 列 × 行の分解を思い出しましょう。列と行の組はいくつありますか。

解答を見る

解答:

正しい。列 × 行の分解により:

AB=∑k=1ncolk(A)  rowk(B)AB = \sum_{k=1}^{n} \text{col}_k(A)\;\text{row}_k(B)

各項 colk(A)  rowk(B)\text{col}_k(A)\;\text{row}_k(B) は外積で、階数一の(または零の)行列です。そうした項はちょうど nn 個あり、nn は共通の内側の次元です。

注:個々の項が零行列になることもあります(AA の列や BB の行が零の場合)が、それでも分解の項は nn 個です。CC の実際の階数は nn より小さいこともあります。

正解数:0 / 4