線形代数 · 第30回 · 動画1 · インタラクティブ教材
| 公式 | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| 基底による展開 | どんな画像も、基底ベクトルに重みを付けた和で表せる | |
| 係数(正規直交基底の場合) | 画像 の基底ベクトル への射影 | |
| ベクトルとしての画像 | のグレースケール画像を 1 本の列に並べ直したもの | |
| 非可逆な再構成 | 大きい係数 だけを残し、残りは捨てる |
グレースケールの格子を 1 行ずつほどいて並べると、絵は 1 つの点、つまり のベクトルになります。
💡 同じ考え方は大きな画像にもそのまま通用します。 の写真は の 1 点です。
基底ベクトルはどれも、それ自体が の画像です。1 点だけの突起もあれば、一様な面も、速い振動もあります。
💡 JPEG の基底は、周波数がだんだん高くなるコサイン波です(離散コサイン変換)。最近のコーデックはウェーブレットを使います。基底の選び方がすべてを決めるのです。
64 個の周波数の係数のうち、大きいものをいくつか残すだけで、再構成した画像はほとんど変わりません。
💡 これがうまくいくのは、実際の画像がほとんどなめらかだからです。低周波の基底ベクトルには大きく射影され、高周波の基底ベクトルにはほとんど射影されません。
問1
解像度 のグレースケール写真があります。これを 1 本のベクトルとみなすと、どの空間に属するでしょうか。
✅ 正解です! 画素 1 つが座標 1 つを受け持ちます。
❌ 惜しい! 次元は幅や高さだけではなく、画素の総数に等しくなります。
解答:
画像をベクトルにするには、すべての画素値を 1 本の長い列に積み上げます。 のグレースケール画像なら、画素値は 個あるので、この画像は の 1 点です。
(カラー画像なら、各画素に R、G、B の 3 チャンネルがあるので、この 3 倍になります。)
問2
完全に一様な暗い灰色の黒板を撮影しました。2 つの基底を比べます。
この画像の記述が短くなる(ゼロでない係数が少なくなる)のは、どちらの基底でしょうか。
✅ 正解です! 一様な画像は全成分が 1 のベクトルのスカラー倍なので、ほとんどすべての係数がゼロになります。
❌ 惜しい! すべての係数が等しいことと、ほとんどの係数がゼロであることは違います。ほしいのは一様さではなく、記述の短さです。
解答:
画素の基底では、どの係数も灰色の値 です。等しくてゼロでない数が 262,144 個並ぶので、短い記述にはなりません。
全成分が 1 のベクトル を含む構造をもった基底では、一様な画像は単に となります。ほとんどすべての係数がゼロです。画像全体が、たった 1 つの数 でとらえられます。
ベクトルも情報も同じで、記述がずっと短くなっただけです。
問3
正しいか誤りか:JPEG は非可逆圧縮を行うとき、ファイルを小さくするために情報をでたらめに取り除いている。
✅ 正解です! 非可逆圧縮は、高周波の係数を狙って正確に、決まったやり方で捨てる処理です。でたらめに壊しているのではありません。
❌ 惜しい! 基底変換による圧縮の要点は、捨てる対象が狙いを定めて選ばれていることです。
解答:誤り。
JPEG は情報をでたらめに捨てているのではありません。(離散コサイン変換を使って)基底を取り替え、画像を低周波から高周波までの成分の和として表します。そのうえで、高周波の基底ベクトルにかかる係数を大胆に量子化するか、ゼロにしてしまいます。
これはでたらめではなく、筋の通った処理です。
つまり JPEG は、私たちの目がほとんど気づかない部分を選んで捨てているのです。だからこそ、10 分の 1 に圧縮した写真でも十分きれいに見えます。
問4
最近の動画コーデックは、フレームを 1 枚ずつ符号化するのではなく、続いているフレームどうしの差を符号化します。この戦略と JPEG に共通しているのは何でしょうか。
✅ 正解です! これが核心です。圧縮とは座標を選ぶことなのです。
❌ 惜しい! JPEG は非可逆で、DCT は時間ではなく空間についての変換です。2 つに共通する一般的な原理を探しましょう。
解答:
共通する原理は、ほとんどの数がゼロになるまで座標を取り替えることです。
軸が違うだけで、考え方は同じです。正しい基底を選べば、難しい問題が当たり前の問題に変わるのです。
正解数:0 / 4