線形代数 · 第5回 · 動画3 · インタラクティブ教材

ベクトル空間と部分空間

I重要な公式

条件 公式 意味
加法について閉じている u,v∈V⇒u+v∈V\mathbf{u}, \mathbf{v} \in V \Rightarrow \mathbf{u} + \mathbf{v} \in V どの2つのベクトルの和も、集合の中に残る
スカラー倍について閉じている u∈V,  c∈R⇒c u∈V\mathbf{u} \in V,\; c \in \mathbb{R} \Rightarrow c\,\mathbf{u} \in V どのスカラー倍も、集合の中に残る
一次結合(線形結合) c u+d v∈Vc\,\mathbf{u} + d\,\mathbf{v} \in V(任意の c,d∈Rc, d \in \mathbb{R} について) 2つの「閉じている」条件を1つにまとめたもの
零ベクトルのテスト 0⋅v=0⇒0∈V0 \cdot \mathbf{v} = \mathbf{0} \Rightarrow \mathbf{0} \in V 零ベクトルは、どんなベクトル空間にも必ず入っている

II可視化1 — スカラー倍で QQ の外へ

QQ の2つのベクトルを足しても、QQ から出ることはありません。では、片方をスカラー倍したらどうでしょうか。

💡 部分空間はすべての公理を満たさなければなりません。ですから、c=−1c = -1 でスカラー倍が1回失敗するだけで、QQ は失格です。

III可視化2 — u+v\mathbf{u}+\mathbf{v} はどこに着くか

直線が部分空間になるのは、原点を通るときだけです。では、u+v\mathbf{u}+\mathbf{v} はどこに着くでしょうか。

💡 原点を通らない直線では、和に切片が2回入り込み、高さ m(ux+vx)+2bm(u_x + v_x) + 2b の位置に着きます。b=0b = 0 でない限り、直線から外れます。

IV可視化3 — 3つの公理を一度に

原点を通る直線は、どれも部分空間です。原点からずらすと、3つの公理が一度にすべて破れます。

💡 R2\mathbb{R}^2 の部分空間の完全な一覧は、{0}\{\mathbf{0}\}、原点を通るすべての直線、そして R2\mathbb{R}^2 全体です。R3\mathbb{R}^3 では、もう1つの型 — 原点を通る平面 — が加わります。

V確認クイズ

問1

第一象限 Q={(x,y):x≥0,  y≥0}Q = \{(x,y) : x \geq 0,\; y \geq 0\} は、加法について閉じています。それなのに、なぜベクトル空間ではないのでしょうか。

✅ 正解です! 負のスカラーを掛けると、ベクトルは第一象限の外に出てしまいます。

❌ 惜しい! Q のベクトルに -1 のような負の数を掛けると、どうなるかを考えてみましょう。

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解答

第一象限は零ベクトル (0,0)(0,0) を含んでいますし、加法についても閉じています。しかし、スカラー倍については閉じていません。

v=(1,1)∈Q\mathbf{v} = (1, 1) \in Q と c=−1c = -1 を取ります:

c⋅v=(−1)(1,1)=(−1,−1)∉Qc \cdot \mathbf{v} = (-1)(1, 1) = (-1, -1) \notin Q

結果の成分は負になり、第三象限 — QQ の外 — に落ちます。スカラー倍について閉じているためには、負のものも含めてすべての実数のスカラーについて、結果が集合の中に残らなければなりません。失敗は1回で十分です:QQ はベクトル空間ではありません。

問2

ベクトル (3,2,0)(3, 2, 0) は、第三成分が 0 です。このベクトルはどの空間に属しますか。

✅ 正解です! 成分の数を数えましょう。成分が3つなら、0 があってもなくても R³ です。

❌ 惜しい! R^n に属するかどうかは、成分の値ではなく、成分の個数で決まります。よく数えてみましょう!

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解答

Rn\mathbb{R}^n に属するかどうかは、成分の値ではなく、ベクトルに成分がいくつあるかで決まります。

  • (3,2)(3, 2) の成分は 2 つ → R2\mathbb{R}^2 に属する
  • (3,2,0)(3, 2, 0) の成分は 3 つ → R3\mathbb{R}^3 に属する

3番目の位置に 0 があっても、次元が1つ減ることはありません。0 もやはり1つの成分として数えます。(3,2)(3, 2) は平らな2次元の平面上の点ですが、(3,2,0)(3, 2, 0) は三次元空間の中の xyxy 平面上にあります。xx と yy の値は同じでも、別々の空間にある別のベクトルです。

問3

直線 y=2x+3y = 2x + 3 を R2\mathbb{R}^2 の中で考えます。この直線は R2\mathbb{R}^2 の部分空間でしょうか。

✅ 正解です! 零ベクトルのテストが、いちばん手っ取り早い確認です。0 ≠ 3 なので、(0,0) は y = 2x + 3 の上にありません。

❌ 惜しい! まず零ベクトルのテストから始めましょう。原点 (0, 0) は y = 2x + 3 を満たしますか。

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解答

零ベクトルのテストを使います。線形代数でいちばん手っ取り早い、失格判定のテストです。

(0,0)(0, 0) は直線 y=2x+3y = 2x + 3 の上にあるでしょうか。x=0x = 0 を代入します:

y=2(0)+3=3≠0y = 2(0) + 3 = 3 \neq 0

原点はこの直線の上にないので、これは部分空間ではありません。ここで終わりにできます!

原点を通り、部分空間になれるのは、y=mxy = mx の形(b=0b = 0)の直線だけです。y 切片が b=3b = 3 なので、この直線は必ず原点を外れます。加法もスカラー倍も同じく失敗しますが、零ベクトルのテストなら、すぐに問題が見つかります。

問4

正しいか誤りか: Rn\mathbb{R}^n の中の集合が加法について閉じていれば、その集合は必ずベクトル空間である。

✅ 正解です! 加法について閉じているだけでは足りません。スカラー倍についても閉じている必要があります。第一象限が代表的な反例です。

❌ 惜しい! 第一象限を考えてみましょう。加法については閉じていますが、ベクトル空間でしょうか。

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解答:誤り

加法について閉じているだけでは十分ではありません。ベクトル空間は、加法とスカラー倍の両方について閉じていなければなりません。言い換えると、すべての一次結合 c u+d vc\,\mathbf{u} + d\,\mathbf{v} について閉じていなければなりません。

第一象限が代表的な反例です:

  • ✅ 加法について閉じている:成分が 0 以上のベクトルを2つ足すと、成分が 0 以上のベクトルになる
  • ❌ スカラー倍について閉じていない:(−1)⋅(1,1)=(−1,−1)∉Q(-1) \cdot (1, 1) = (-1, -1) \notin Q

両方について閉じている必要があります。2つのうち1つでは足りません!

正解数:0 / 4