線形代数 · 第6回 · 動画2 · インタラクティブ教材

行列の列空間:Ax = b は列の一次結合の問題

I重要な公式

公式 名称 説明
Ax=x1a1+x2a2+⋯+xnanAx = x_1\mathbf{a}_1 + x_2\mathbf{a}_2 + \cdots + x_n\mathbf{a}_n 行列とベクトルの積 AxAx は AA の列の一次結合
C(A)={Ax:x∈Rn}C(A) = \{Ax : x \in \mathbb{R}^n\} 列空間 出力として得られるベクトル全体の集合
rank(A)=dim⁡C(A)\text{rank}(A) = \dim C(A) 階数(ランク) ピボット列(一次独立な列)の数に等しい
Ax=bAx = b が解をもつ   ⟺  b∈C(A)\iff b \in C(A) 可解性 bb は列空間に入っていなければならない

II可視化1 — 余分な列

3列目 a3=a1+a2\mathbf{a}_3 = \mathbf{a}_1 + \mathbf{a}_2 は、届く範囲を少しも広げません。その重みは、1列目と2列目に振り分け直せます。

💡 動画の AA(a1=(1,2,3,4)\mathbf{a}_1=(1,2,3,4), a2=(1,1,1,1)\mathbf{a}_2=(1,1,1,1), a3=(2,3,4,5)=a1+a2\mathbf{a}_3=(2,3,4,5)=\mathbf{a}_1+\mathbf{a}_2)で、x3a3x_3\mathbf{a}_3 を x3a1+x3a2x_3\mathbf{a}_1+x_3\mathbf{a}_2 に置き換えると、重みは x1′=x1+x3x_1'=x_1+x_3, x2′=x2+x3x_2'=x_2+x_3 になります。軸は C(A)C(A) の中の座標で、ピボット列 a1,a2\mathbf{a}_1,\mathbf{a}_2 を基準に測っています。

III可視化2 — 列空間を見る

一次独立な2本の列は、平面全体を埋め尽くします。a2\mathbf{a}_2 を a1\mathbf{a}_1 と平行にすると、C(A)C(A) は直線につぶれます。

💡 動画の R4\mathbb{R}^4 の中の平面を、2次元に置き換えたものです。チャレンジ:det⁡[ a1  a2 ]=0\det[\,\mathbf{a}_1\ \ \mathbf{a}_2\,]=0 になるまで a2\mathbf{a}_2 を動かしましょう。その瞬間に平面は直線になり、a3=a1+a2\mathbf{a}_3=\mathbf{a}_1+\mathbf{a}_2 もその直線の上につぶれます。

IV可視化3 — b に届くか

Ax=bA\mathbf{x}=\mathbf{b} が解をもつのは、ちょうど b\mathbf{b} が列空間の直線の上にあるときです。予想してから確かめましょう。

💡 この2本の列は一次従属(a2=2a1\mathbf{a}_2 = 2\mathbf{a}_1)なので、C(A)C(A) はただの直線で、ほとんどの目標には届きません。動画で b=(0,0,0,1)\mathbf{b}=(0,0,0,1) が階数2の列空間の外に出たのと同じ理屈です。

V確認クイズ

問1

行列とベクトルの積 AxAx を計算した結果を最もよく表しているのはどれですか。

✅ 正解です! x の各成分が A の列1本ずつの重みになり、出力はそれらの重み付きの和です。

❌ 惜しい! x の各成分が何をしているか考えましょう。各成分は、A の列を1本ずつ定数倍しています。

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解答:

行列とベクトルの積 AxAx は次のようになります: Ax=x1a1+x2a2+⋯+xnanAx = x_1\mathbf{a}_1 + x_2\mathbf{a}_2 + \cdots + x_n\mathbf{a}_n

各成分 xix_i は、列 ai\mathbf{a}_i にかかる重みです。結果は、xx が重みを与えるAA の列の一次結合になります。これが、行列の積を列空間の立場から見る基本的な解釈です。

問2

動画の行列 AA は 4×34 \times 3 で、列は a1,a2,a3\mathbf{a}_1, \mathbf{a}_2, \mathbf{a}_3、ただし a3=a1+a2\mathbf{a}_3 = \mathbf{a}_1 + \mathbf{a}_2 です。dim⁡C(A)\dim C(A) はいくつですか。

✅ 正解です! 3本の列のうち一次独立なのは2本だけなので、列空間は2次元です。

❌ よくある間違いです! 列が3本あるからといって、dim = 3 になるわけではありません。3列目は一次従属で、ただ乗りをしています!

❌ 惜しい! A の一次独立な列の数を数えましょう。

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解答:dim C(A) = 2

AA には列が3本ありますが、a3=a1+a2\mathbf{a}_3 = \mathbf{a}_1 + \mathbf{a}_2 なので、3列目は一次従属です。一次独立なのは1列目と2列目だけで、これがピボット列です。

dim⁡C(A)=rank(A)=ピボット列の数=2\dim C(A) = \text{rank}(A) = \text{ピボット列の数} = \boxed{2}

大切な教訓:列の数で次元が決まるわけではありません。数えるのは一次独立な列だけです!

問3

正しいか誤りか:AA が rank(A)=3\text{rank}(A) = 3 の 5×45 \times 4 行列ならば、すべての b∈R5\mathbf{b} \in \mathbb{R}^5 に対して Ax=bAx = b は解をもつ。

✅ 正解です! 階数 3 < 行の数 5 なので、C(A) は R⁵ 全体を埋め尽くしません。ほとんどのベクトル b には届きません。

❌ もう一度考えましょう。 階数を行の数と比べましょう。列空間は R⁵ 全体を埋め尽くすでしょうか。

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解答:誤り

すべての b∈R5\mathbf{b} \in \mathbb{R}^5 に対して Ax=bAx = b が解をもつには、列空間が R5\mathbb{R}^5 全体を埋め尽くさなければなりません: rank(A)=m=5(行フルランク)\text{rank}(A) = m = 5 \quad \text{(行フルランク)}

ところが rank=3<5=m\text{rank} = 3 < 5 = m です。列空間 C(A)C(A) は R5\mathbb{R}^5 の3次元の部分空間にすぎません。R5\mathbb{R}^5 のほとんどのベクトルはこの部分空間の外にあり、届きません。

連立方程式が解をもつためには、b\mathbf{b} が 5−3=25 - 3 = 2 個の条件を満たさなければなりません。

問4

行列 A=[112213314415]A = \begin{bmatrix} 1 & 1 & 2 \\ 2 & 1 & 3 \\ 3 & 1 & 4 \\ 4 & 1 & 5 \end{bmatrix} の列空間 C(A)C(A) に入らないベクトルはどれですか。

✅ 正解です! 動画で見たとおり、(0,0,0,1) では矛盾が生じます。このベクトルは列空間の平面から外れたところに浮かんでいます。

❌ 惜しい! それぞれのベクトルを x₁(1,2,3,4) + x₂(1,1,1,1) の形に書いてみて、矛盾が出ないか確かめましょう。

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解答:(0, 0, 0, 1)

階数は 2 でピボット列は a1\mathbf{a}_1 と a2\mathbf{a}_2 なので、b=x1(1,2,3,4)+x2(1,1,1,1)\mathbf{b} = x_1(1,2,3,4) + x_2(1,1,1,1) となる必要があります。

(0, 0, 0, 1) を確かめる

  • 1行目:x1+x2=0  ⟹  x2=−x1x_1 + x_2 = 0 \implies x_2 = -x_1
  • 2行目:2x1+x2=0  ⟹  x1=02x_1 + x_2 = 0 \implies x_1 = 0、よって x2=0x_2 = 0
  • 4行目:4(0)+1(0)=0≠14(0) + 1(0) = 0 \neq 1 — 矛盾です! ❌

残りの3つは、どれも C(A)C(A) に入っています

  • (1,2,3,4)=1⋅a1+0⋅a2(1,2,3,4) = 1\cdot\mathbf{a}_1 + 0\cdot\mathbf{a}_2 ✓
  • (2,3,4,5)=1⋅a1+1⋅a2(2,3,4,5) = 1\cdot\mathbf{a}_1 + 1\cdot\mathbf{a}_2 ✓
  • (0,−1,−2,−3)=(−1)⋅a1+1⋅a2(0,-1,-2,-3) = (-1)\cdot\mathbf{a}_1 + 1\cdot\mathbf{a}_2 ✓

正解数:0 / 4