線形代数 · 第7回 · 動画1 · インタラクティブ教材

消去法でゼロが出たら

I重要な公式

公式 名称 説明
rank(A)=r\text{rank}(A) = r 階数(ランク) 階段形におけるピボットの個数
自由変数の個数 =n−r= n - r 自由変数の個数 列の総数から階数を引いたもの
dim⁡(Null(A))=n−r\dim(\text{Null}(A)) = n - r 零空間の次元 自由変数の個数に等しい
ピボット列 →\to 独立 列の分類 ピボットを含む列は一次独立である

II可視化1 — ピボットの位置に 0 が現れたら

消去法でこの 3×43\times4 行列を階段形へと変形していきます。ピボットの位置に 0 が現れたら、どうなるでしょうか。

行列

ピボット 自由列 ピボットがゼロ
ステップ0 · 元の A
隠れた構造:c2=2c1c_2 = 2c_1 と R3=R1+R2R_3 = R_1 + R_2。消去法はこの両方を明らかにします。
ステップ1 · 1列目を消去
R2←R2−2R1R_2 \leftarrow R_2 - 2R_1。ピボットは a11=1a_{11}=1 で、2行目は [ 0  0  2  4 ][\,0\;0\;2\;4\,] になります。
ステップ2 · ピボットの位置に 0
R3←R3−3R1R_3 \leftarrow R_3 - 3R_1 のあとは (2,2)=0(2,2)=0 で、その下も (3,2)=0(3,2)=0 です。入れ替えられる行がないので、2列目は飛ばします。
ステップ3 · 階段形 U
R3←R3−R2R_3 \leftarrow R_3 - R_2 で3行目がすべて 0 になります。ピボットは1列目と3列目 → 階数 =2=2。2列目と4列目は自由列です。

III可視化2 — ピボット列と自由列

消去を終えたとき、ある列がピボットをもつか自由列になるかは、何で決まるのでしょうか。

元の A

階段形 U

IV可視化3 — 階数による変数の分かれ方

階数 rr は nn 個の列を、rr 個のピボット変数と n−rn-r 個の自由変数に分けます。零空間が自明になるのはどんなときでしょうか。

💡 行数 mm は、rr の上限を決めるだけです(r≤min⁡(m,n)r \le \min(m,n))。自由変数の個数 n−rn-r、したがって零空間の次元は、nn と rr だけで決まります。

V確認クイズ

問1

次の階段形が与えられています: U=[122200240000]U = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 2 & 4 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{bmatrix}

元の行列 AA の階数はいくつですか。

✅ 正解です! ピボットは2つ((1,1) と (2,3) の位置)なので、階数は 2 です。

❌ 惜しい! 先頭の 0 でない成分を数えましょう。U の 0 でない行1つにつき1つあります。

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解答

階数は、階段形におけるピボット(0 でない各行の、先頭の 0 でない成分)の個数に等しくなります。

UU を見ると:

  • 1行目:先頭の成分は1列目の 11 → 1つ目のピボット
  • 2行目:先頭の成分は3列目の 22 → 2つ目のピボット
  • 3行目:すべて 0 → ピボットなし

rank(A)=ピボットの個数=2\text{rank}(A) = \text{ピボットの個数} = 2

問2

上と同じ階段形 UU で、自由変数はどれですか。

✅ 正解です! 2列目と4列目にはピボットがないので、x2x_2 と x4x_4 が自由変数です。

❌ 惜しい! 自由変数は、ピボットをもたない列に対応します。各行の先頭の 0 でない成分がどの列にあるか確かめましょう。

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解答

ピボットのある列 → ピボット変数。ピボットのない列 → 自由変数。

U=[122200240000]U = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 2 & 4 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{bmatrix} から:

列 ピボットの有無 変数の種類
1列目 あり(1行目の 1) x1x_1 はピボット変数
2列目 なし x2x_2 は自由変数 ✓
3列目 あり(2行目の 2) x3x_3 はピボット変数
4列目 なし x4x_4 は自由変数 ✓

自由変数は x2x_2 と x4x_4 です。

問3

正しいか誤りか:行簡約(消去法)では、行列の列空間は変わらない。

つまり、UU が AA に行基本変形をほどこして得られたものならば、UU の列空間は AA の列空間に等しい。

✅ 正解です! 消去法で零空間(と行空間)は変わりませんが、列空間は変わってしまいます。列空間を調べるときは、必ず元の行列 AA を使いましょう。

❌ 惜しい! 行基本変形は、各列の成分を変えてしまいます。UU の列は AA の列とは別のベクトルなので、それらが張る空間も一般には異なります。

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解答:誤り

行基本変形は各列の成分そのものを変えるので、UU の列空間は一般に AA の列空間とは異なります。

消去法で変わらないもの:

性質 変わらないか 理由
零空間 ✅ 変わらない Ax=0Ax = 0 と Ux=0Ux = 0 の解はまったく同じ
行空間 ✅ 変わらない 行基本変形のあとも、行は同じ空間を張る
列空間 ❌ 変わる UU の列は別のベクトルになる
階数 ✅ 変わらない ピボットの個数が同じ

目安:零空間についての問題なら UU を使い、列空間についての問題なら AA に戻りましょう。

問4

5×75 \times 7 行列 AA の階数は 3 です。AA の零空間の次元はいくつですか。

✅ 正解です! 列の数が n=7n = 7、階数が r=3r = 3 なので、零空間の次元は 7−3=47 - 3 = 4 です。

❌ 惜しい! 公式「零空間の次元 = n − r」を使いましょう。ここで n は(行ではなく)列の数です。

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解答

零空間の次元は、自由変数の個数に等しくなります:

dim⁡(Null(A))=n−r\dim(\text{Null}(A)) = n - r

ここで、nn は列の数、rr は階数です。

dim⁡(Null(A))=7−3=4\dim(\text{Null}(A)) = 7 - 3 = 4

零空間は、R7\mathbb{R}^7 の4次元の部分空間です。

重要:行の数(m=5m = 5)は、この公式には現れません。零空間の次元を決めるのは、nn(列の数)と rr(階数)だけです。

  • ピボット変数は r=3r = 3 個(後退代入で決まる)
  • 自由変数は n−r=4n - r = 4 個(どんな値にしてもよい)

正解数:0 / 4