線形代数 · 第7回 · 動画2 · インタラクティブ教材

自由変数ひとつに特殊解ひとつ

I重要な公式

公式 名称 説明
dim⁡(N(A))=n−r\dim(N(A)) = n - r 零空間の次元 列の数から階数を引いた数 = 特殊解の個数
x=c1s1+c2s2+⋯\mathbf{x} = c_1 \mathbf{s}_1 + c_2 \mathbf{s}_2 + \cdots 零空間の一般のベクトル どの解も特殊解の一次結合になる
NN の自由変数の行は II になる 単位行列ブロックの性質 特殊解が一次独立であることを保証する

レシピ:自由変数ごとに、その変数を 1、ほかの自由変数をすべて 0 とおき、後退代入でピボット変数を求めます。

II可視化1 — 後退代入

自由変数 x2,x4x_2, x_4 を決めると、後退代入によってピボット変数 x1,x3x_1, x_3 が決まり、Ax=0A\mathbf{x} = \mathbf{0} が成り立ちます。

💡 どんな値を割り当てても x=x2s1+x4s2\mathbf{x} = x_2\mathbf{s}_1 + x_4\mathbf{s}_2 になるので、(2,0)(2, 0) は 2s12\mathbf{s}_1 をつくり直すだけです。レシピの (1,0)(1, 0) と (0,1)(0, 1) は、重複なく数えられる2つの独立な部品なのです。

III可視化2 — 零空間を動き回る

零空間のベクトルはどれも c1s1+c2s2c_1\mathbf{s}_1 + c_2\mathbf{s}_2 と書けるので、2つの座標 (c1,c2)(c_1, c_2) で、R4\mathbb{R}^4 の中の2次元の平面全体に届きます。

💡 このパラメータ空間では、s1\mathbf{s}_1 と s2\mathbf{s}_2 が座標軸の役目を果たします。(c1,c2)(c_1, c_2) が平面のあいまいさのない座標になるのは、まさに単位行列ブロックのおかげです。

IV可視化3 — N の中の単位行列ブロック

特殊解を列として並べて NN をつくります。自由変数の行は、いつでも単位行列 I2I_2 になるでしょうか。

💡 レシピの (1,0)(1, 0) と (0,1)(0, 1) だけが、自由変数のブロックを必ず I2I_2 にします。おかげで、余計な手間なしに一次独立性が保証されます。ほかの割り当てでも独立になることはありますが、それは行列式が 0 でないときに限られます。

V確認クイズ

問1

4×74 \times 7 行列 AA の階数は r=3r = 3 です。AA の零空間には特殊解がいくつありますか。

✅ 正解です! 零空間の次元は n−r=7−3=4n - r = 7 - 3 = 4 です。

❌ 惜しい! 特殊解の個数は、列の数から階数を引いたもの、つまり n−rn - r です。

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解答

特殊解の個数 =n−r= n - r(列の数から階数を引いたもの)。

n−r=7−3=4n - r = 7 - 3 = 4

特殊解は自由変数1つにつき1つずつ、全部で 4 個あります。

よくある間違い:

  • 3 を選んだ場合:それは階数 rr で、n−rn - r ではありません
  • 7 を選んだ場合:それは nn、つまり列の総数です
  • 11 を選んだ場合:それは n+rn + r で、ここでは意味をもちません

問2

レシピを使って特殊解 sk\mathbf{s}_k を求めるとき、自由変数にはどのように値を割り当てますか。

✅ 正解です! 自由変数を1つだけ生かし、残りは黙らせます。

❌ 惜しい! レシピでは、一度にちょうど1つの自由変数だけを生かします。

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解答

レシピ:特殊解 sk\mathbf{s}_k を求めるには、自由変数 kk を 1、ほかの自由変数をすべて 0 とおきます。それから後退代入でピボット変数を求めます。

うまくいく理由:この「1つを生かし、残りを黙らせる」やり方では、単位行列 II が零空間行列 NN の自由変数の行に入ります。そのため、特殊解が一次独立であることが自動的に保証されます。

自由変数をすべて 1 とおいても零空間のベクトルにはなりますが、それは s1+s2+⋯\mathbf{s}_1 + \mathbf{s}_2 + \cdots に等しく、特殊解の一次結合です。基底ベクトルそのものではありません。

問3

階段形 U=[122200240000]U = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 2 & 4 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{bmatrix} について、x2=0,  x4=1x_2 = 0,\; x_4 = 1 とした特殊解を求めます。

x1x_1 の値はいくつですか。

(ヒント:まず2行目から x3x_3 を求め、次に1行目から x1x_1 を求めます。)

✅ 正解です! 後退代入で x3=−2x_3 = -2、続いて x1=2x_1 = 2 が得られます。

❌ 惜しい! 符号に注意しましょう。まず2行目から x3x_3 を求め、それからすべてを1行目に代入します。

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解答

ステップ1 — 2行目:2x3+4x4=02x_3 + 4x_4 = 0

2x3+4(1)=0  ⟹  2x3=−4  ⟹  x3=−22x_3 + 4(1) = 0 \implies 2x_3 = -4 \implies x_3 = -2

ステップ2 — 1行目:x1+2x2+2x3+2x4=0x_1 + 2x_2 + 2x_3 + 2x_4 = 0

x1+2(0)+2(−2)+2(1)=0x_1 + 2(0) + 2(-2) + 2(1) = 0 x1+0−4+2=0x_1 + 0 - 4 + 2 = 0 x1=2x_1 = 2

特殊解は s2=(2,  0,  −2,  1)\mathbf{s}_2 = (2,\; 0,\; {-2},\; 1) です。

よくある間違い:x3=−2x_3 = -2 が1行目で 2(−2)=−42(-2) = -4 として効くことを忘れ、符号を誤ってしまうことです。

問4

正しいか誤りか:AA が 3×43 \times 4 行列、ATA^T がその転置で 4×34 \times 3 行列であり、どちらも階数が 2 ならば、両者の零空間の次元は等しい。

✅ 正解です! 階数が同じでも、零空間の次元が同じとは限りません。列の数 nn が効いてくるからです(dim⁡=n−r\dim = n - r)。

❌ 惜しい! 零空間の次元は n−rn - r で決まります。AA と ATA^T の列の数は同じでしょうか。

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解答:誤り

零空間の次元は n−rn - r で、nn は列の数です。rank(A)=rank(AT)\text{rank}(A) = \text{rank}(A^T) は常に成り立ちますが、両者の列の数は異なります:

  • AA は 3×43 \times 4:dim⁡(N(A))=4−2=2\quad\dim(N(A)) = 4 - 2 = 2(R4\mathbb{R}^4 の中の平面)
  • ATA^T は 4×34 \times 3:dim⁡(N(AT))=3−2=1\quad\dim(N(A^T)) = 3 - 2 = 1(R3\mathbb{R}^3 の中の直線)

階数は同じでも、零空間の次元は違います! 鍵は、列(nn)が多いほど自由変数の入る余地が増えることです。

正解数:0 / 4