線形代数 · 第7回 · 動画3 · インタラクティブ教材

簡約行階段形なら後退代入はいらない:ブロック構造が零空間を明かす

I重要な公式

公式 名称 説明
R=[IF00]R = \begin{bmatrix} I & F \\ 0 & 0 \end{bmatrix} 簡約行階段形のブロック構造 ピボット列に単位行列 II、自由列に FF(列を並べ替えたと考えた場合)
N=[−FI]N = \begin{bmatrix} -F \\ I \end{bmatrix} 零空間行列 各列が特殊解。変数の種類に応じて行が入り混じる
xpivot=−F xfreex_{\text{pivot}} = -F \, x_{\text{free}} ピボット変数と自由変数の関係 Rx=0Rx = 0 の上のブロック行から
零空間の次元 =n−r= n - r 解の個数 列数 nn − ピボット数 rr = 特殊解の個数

II可視化1 — 階段形から簡約行階段形へ

階段形ではピボットの下がすでに 0 です。簡約行階段形まで仕上げるには、あと2つ何をすればよいでしょうか?

III可視化2 — 簡約行階段形のブロック構造

簡約行階段形から FF を読み取って符号を反転すれば、零空間行列 N=[−FI]N = \begin{bmatrix} -F \\ I \end{bmatrix} が得られます。では、その行はブロックに積み重なるのでしょうか、それとも入り混じるのでしょうか?

💡 −F-F の各成分は、NN の中で対応するピボット変数の行に入ります。動画の例のように2つのピボット列の間に自由列があると、−F-F の行と II の行はきれいなブロックに積み重ならず、入り混じります。

IV可視化3 — どの一次結合も零空間にとどまる

s1s_1 と s2s_2 がどちらも Ux=0Ux = 0 の解なら、どんな c1s1+c2s2c_1 s_1 + c_2 s_2 も必ず解になるでしょうか?

V確認クイズ

問1 · F ブロックを見つける

次の簡約行階段形の行列を考えます。 R=[10301−2000]R = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 3 \\ 0 & 1 & -2 \\ 0 & 0 & 0 \end{bmatrix}

ピボット列は1列目と2列目、自由列は3列目です。行列 FF はどれでしょうか?

✅ 正解です! F は、自由列のうちピボットのある行の成分をそのまま読み取ったものです。符号の反転はまだしません。

❌ 惜しい! F に使うのはピボットのある r 行だけで(零行は含めません)、R からそのまま読み取ります(符号は反転しません)。

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解答:

FF は、ピボットのある行(1行目と2行目)のうち、自由列(3列目)にある成分からなります。

  • 1行目・3列目:33
  • 2行目・3列目:−2-2

F=[3−2]F = \begin{bmatrix} 3 \\ -2 \end{bmatrix}

よくある間違い:

  • 零行を含めない — FF に使うのはピボットのある rr 行だけなので、大きさは 2×12 \times 1 です。3×13 \times 1 ではありません
  • 符号を反転しない — FF は RR からそのまま読み取ります。符号の反転は N=[−FI]N = \begin{bmatrix} -F \\ I \end{bmatrix} を組み立てるときに行います
  • II と混同しない — 単位行列のブロックがあるのは、自由列ではなくピボット列です

問2 · 行の入り混じり(正しいか誤りか)

5列の連立方程式を考えます。その簡約行階段形では、ピボット列が1, 3, 4列目、自由列が2, 5列目です。

主張:零空間行列 NN では、−F-F から来る行は必ず最初の3行(1, 2, 3行目)を占め、II から来る行は必ず最後の2行(4, 5行目)を占める。

✅ 正解です! 行は、どの変数がピボット変数でどれが自由変数かに従って入り混じります。きれいなブロックには積み重なりません。

❌ 惜しい! 各行がどの変数を表しているかを考えましょう。行は変数の番号順に並ぶので、ピボット変数の行と自由変数の行が入り混じります。

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解答:誤り

NN の行は、もとの変数の順番 x1,x2,x3,x4,x5x_1, x_2, x_3, x_4, x_5 に対応しています。

行 変数 種類 出どころ
1 x1x_1 ピボット変数 −F-F の1行目
2 x2x_2 自由変数 II の1行目
3 x3x_3 ピボット変数 −F-F の2行目
4 x4x_4 ピボット変数 −F-F の3行目
5 x5x_5 自由変数 II の2行目

行は入り混じります。−F,I,−F,−F,I-F, I, -F, -F, I の順で、きれいには積み重なりません!

公式 N=[−FI]N = \begin{bmatrix} -F \\ I \end{bmatrix} が示しているのは、概念上のブロック構造です(ピボット列が先に来るように列を並べ替えたと考えた場合)。実際のベクトルでは、各成分をそれぞれの変数の正しい行にはめ込まなければなりません。

問3 · 特殊解を求める

次の簡約行階段形を考えます。 R=[10201−3000]R = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 2 \\ 0 & 1 & -3 \\ 0 & 0 & 0 \end{bmatrix}

ピボット列は1列目と2列目、自由列は3列目です。零空間の特殊解はどれでしょうか?

✅ 正解です! ピボット変数の成分は F の符号を反転したもの、自由変数には単位行列から 1 が入ります。

❌ あと一歩! F をそのまま読み取って、符号の反転を忘れています。ピボット変数の成分は F ではなく −F から来ます。

❌ 惜しい! ピボット変数の成分は −F から来て、自由変数には(単位行列のブロックから)1 が入ります。

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解答:

ステップ1 — FF を取り出す(ピボットのある行 ×\times 自由列): F=[2−3]F = \begin{bmatrix} 2 \\ -3 \end{bmatrix}

ステップ2 — 符号を反転する: −F=[−23]-F = \begin{bmatrix} -2 \\ 3 \end{bmatrix}

ステップ3 — NN を組み立てる(行を正しい位置に置く):

  • x1x_1(ピボット変数) ←\leftarrow −F-F の1行目:−2\mathbf{-2}
  • x2x_2(ピボット変数) ←\leftarrow −F-F の2行目:3\mathbf{3}
  • x3x_3(自由変数) ←\leftarrow 単位行列:1\mathbf{1}

s=(−231)s = \begin{pmatrix} -2 \\ 3 \\ 1 \end{pmatrix}

検算: R⋅s=[1(−2)+0(3)+2(1)0(−2)+1(3)+(−3)(1)0]=[000]R \cdot s = \begin{bmatrix} 1(-2) + 0(3) + 2(1) \\ 0(-2) + 1(3) + (-3)(1) \\ 0 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix} ✓

問4 · 特殊解の個数

ある 5×75 \times 7 行列の簡約行階段形では、ピボットが1, 3, 4, 5列目にあります。

零空間の特殊解はいくつあるでしょうか?

✅ 正解です! 特殊解の個数 = n − r = 7 − 4 = 3 です。

❌ 惜しい! 数えてみましょう。列数 n = 7、ピボット数 r = 4 です。特殊解の個数 = n − r です。

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解答:

  • 列数:n=7n = 7
  • ピボットの個数(階数):r=4r = 4(1, 3, 4, 5列目)
  • 自由変数の個数:n−r=7−4=3n - r = 7 - 4 = \mathbf{3}

自由変数1つにつき特殊解が1つできるので、特殊解は3つです。

自由列は2, 6, 7列目です。行列 FF の大きさは 4×34 \times 3(ピボットのある行4つ ×\times 自由列3つ)、零空間行列 NN の大きさは 7×37 \times 3 になります。

ポイント:行の数(m=5m = 5)は、この個数に影響しません。零空間の次元を決めるのは、いつも n−rn - r です。

正解数:0 / 4