線形代数 · 第8回 · 動画3 · インタラクティブ教材

解は0個か1個か無限個か:階数が連立一次方程式を決める

I重要な公式

公式 名称 説明
r=ピボットの個数r = \text{ピボットの個数} 階数 行簡約したあとに残る、独立な方程式の本数
n−rn - r 自由変数のギャップ 一意性を決める:0 なら解は一意
m−rm - r 零行のギャップ 存在を決める:0 ならどんな bb にも解がある
r≤min⁡(m,n)r \leq \min(m, n) 階数の上限 階数は行の数も列の数も超えられない

II可視化1 — 4つの場合

r=nr = n か? r=mr = m か? — この2つのイエス/ノーの問いで、どんな m×nm \times n 行列も4つの場合のどれか1つに分類されます。

分類

2つのギャップ

💡 チャレンジ:どんな bb にも解がある設定を2種類見つけましょう。1つは解が一意になるもの、もう1つは解が無数になるものです。

III可視化2 — R の形

RR の形(ピボット、自由列、零行)は、2つのギャップをそのまま目に見える形にしたものです。

簡約した形 R

ピボット 自由列 零行

2つのギャップ

IV可視化3 — 解がちょうど2個にならない理由

pp と qq がどちらも Ax=bAx = b の解なら、どんな実数 tt についても p+t(q−p)p + t(q - p) が解になります。では、解はいくつあることになるでしょうか?

💡 tt はあらゆる実数をとれるので、2つ目の解があれば、たちまち解は無数になります。だから連立一次方程式の解の個数は 00、11、∞\infty のどれかで、ちょうど2個になることはありません。

V確認クイズ

問1

5×35 \times 3 行列 AA の階数が r=3r = 3 です。2つのギャップはいくつで、どの場合に当てはまるでしょうか?

✅ 正解です! r=n=3r = n = 3 なので自由変数はありません(解があれば一意)。m−r=2m - r = 2 なので、bb への条件があります。

❌ 惜しい! n−rn - r と m−rm - r の両方のギャップを計算しましょう。ここでは m=5m = 5、n=3n = 3、r=3r = 3 です。

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解答:

条件:行の数 m=5m = 5、列の数 n=3n = 3、r=3r = 3。

  • 一意性のギャップ:n−r=3−3=0n - r = 3 - 3 = 0 → 自由変数なし → 解があれば一意 ✓
  • 存在のギャップ:m−r=5−3=2m - r = 5 - 3 = 2 → 零行が2本 → bb への条件あり ⚠️

r=nr = n かつ r<mr < m なので、これは場合2(解は0個か1個)です。

この行列は縦長で、列フルランクです。方程式の数が未知数の数より多いので、すべての bb に届くわけではありませんが、解が存在するときは一意です。

問2

正しいか誤りか:4×44 \times 4 行列 AA の階数が 3 ならば、どんな bb に対しても Ax=bAx = b の解は無数にある。

✅ 正解です! m−r=1m - r = 1 なので、bb への条件があります。解が ∞\infty 個になる bb もあれば、0個になるものもあります。

❌ 惜しい! 主張には「どんな bb に対しても」とあります。両方のギャップを確かめましょう。m−rm - r は、どんな bb でも解をもつことを保証しているでしょうか?

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解答:誤り

m=4m = 4、n=4n = 4、r=3r = 3 のとき:

  • n−r=4−3=1n - r = 4 - 3 = 1 → 自由変数が1つ → 一意でない ✓
  • m−r=4−3=1m - r = 4 - 3 = 1 → 零行が1本 → bb への条件あり ⚠️

これは場合4(r<mr < m かつ r<nr < n)で、解は0個か無数です。

解が存在するときは、自由変数のおかげで解は無数になります。しかし零行があるため、bb によっては矛盾(0=0 でない数0 = \text{0 でない数})が生じ、解がなくなります。どんな bb に対しても成り立つわけではありません。

問3

拡大係数行列 [A∣b][A \mid b] を行簡約すると、次のようになりました。

[10−2130141−100000]\left[\begin{array}{cccc|c} 1 & 0 & -2 & 1 & 3 \\ 0 & 1 & 4 & 1 & -1 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \end{array}\right]

この連立方程式の解はいくつあるでしょうか?

✅ 正解です! 零行からは 0=00 = 0 が出るだけで(矛盾なし)、2つの自由変数から、2つのパラメータをもつ解の族が生まれます。

❌ 惜しい! 零行から矛盾が生じるかを確かめましょう。そして、自由列(ピボットのない列)の数を数えましょう。

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解答:解は無数

拡大係数行列から次のことがわかります。

  • AA は 3×43 \times 4 行列(m=3m = 3, n=4n = 4)で、ピボットは r=2r = 2 個(1列目と2列目)
  • 最後の行は 0=00 = 0 → 矛盾なし → 連立方程式は解をもつ ✓
  • n−r=4−2=2n - r = 4 - 2 = 2 → 自由変数が2つ(x3x_3 と x4x_4)

連立方程式は解をもち、自由変数が2つあるので、解は無数にあります。

x=[3−100]+x3[2−410]+x4[−1−101]x = \begin{bmatrix} 3 \\ -1 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix} + x_3\begin{bmatrix} 2 \\ -4 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix} + x_4\begin{bmatrix} -1 \\ -1 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix}

問4

2つのギャップ n−rn - r と m−rm - r の役割を正しく述べているのはどれでしょうか?

✅ 正解です! 自由変数(n−rn - r)が一意性を、零行(m−rm - r)が存在を決めます。独立した2本のレバーです!

❌ 惜しい! 考えてみましょう。自由変数があると異なる解を選べます(一意性)。一方、零行は、解をもつ bb を制限します(存在)。

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解答:n−rn - r が一意性を決め、m−rm - r が存在を決める

2つのギャップは、独立したレバーとしてはたらきます。

n−rn - r = 自由変数の個数(ピボットのない列の数)

  • n−r=0n - r = 0:自由変数なし → 一意(解をもつとき)
  • n−r>0n - r > 0:自由変数あり → 無数(解をもつとき)

m−rm - r = RR の零行の数

  • m−r=0m - r = 0:条件なし → いつでも解をもつ
  • m−r>0m - r > 0:bb への条件あり → 解をもたないことがある

覚え方:列(n−rn - r)→ 一意性、行(m−rm - r)→ 存在。

正解数:0 / 4