線形代数 · 第9回 · 動画1 · インタラクティブ教材

一次独立:零空間による判定

I重要な公式

公式 名称 使う場面
c1v1+c2v2+⋯+cnvn=0c_1\mathbf{v}_1 + c_2\mathbf{v}_2 + \cdots + c_n\mathbf{v}_n = \mathbf{0} 一次独立を調べる式 成り立つのが c1=c2=⋯=cn=0c_1 = c_2 = \cdots = c_n = 0 だけのとき、かつそのときに限り一次独立
Ac=0A\mathbf{c} = \mathbf{0} 行列の形 A=[v1∣⋯∣vn]A = [\mathbf{v}_1 \mid \cdots \mid \mathbf{v}_n] として、係数ベクトル c\mathbf{c} について解く
Null⁡(A)={0}\operatorname{Null}(A) = \{\mathbf{0}\} 零空間による判定 零空間が自明なとき、かつそのときに限り、ベクトルは一次独立
n>m⇒一次従属n > m \Rightarrow \text{一次従属} 数え上げの議論 ベクトルの本数が次元より多ければ、一次従属が保証される

II可視化1 — 同一直線上なら一次従属

R2\mathbb{R}^2 の2本のベクトルが一次従属になるのは、ちょうど一直線に並ぶとき、つまり det⁡[v1 v2]=0\det[\mathbf{v}_1\ \mathbf{v}_2] = 0 のときです。

III可視化2 — 従属関係は直線をなす

どの係数 (c1,c2)(c_1, c_2) なら c1v1+c2v2=0c_1\mathbf{v}_1 + c_2\mathbf{v}_2 = \mathbf{0} になるでしょうか(ただし v1=(1,2), v2=(2,4)\mathbf{v}_1 = (1,2),\ \mathbf{v}_2 = (2,4))。

💡 この解の直線が Null⁡(A)\operatorname{Null}(A) です(A=[v1∣v2]A = [\mathbf{v}_1 \mid \mathbf{v}_2])。直線上の 0 でない点はどれも従属関係を表すので、2本が一次独立になるのは、この直線が1点 0\mathbf{0} に縮むときだけです。

IV可視化3 — 数えれば一次従属がわかる

v1=(1,0)\mathbf{v}_1 = (1,0) と v2=(0,1)\mathbf{v}_2 = (0,1) を固定したとき、3本目のベクトル v3\mathbf{v}_3 をどう選んでも(R2\mathbb{R}^2 の中では)一次従属を免れないのでしょうか。

A = [ v₁ | v₂ | v₃ ]

💡 行列は 2×32 \times 3 です。ピボットは多くても 22 個なのに列は 33 個あるので、必ず1つの列が自由列になります。これが数え上げの議論です。n>mn > m なら 0 でない零空間のベクトルが必ず存在し、したがって一次従属になります。

V確認クイズ

問1

ベクトル v1=(3,6)\mathbf{v}_1 = (3, 6) と v2=(1,2)\mathbf{v}_2 = (1, 2) を考えます(どちらも R2\mathbb{R}^2 のベクトル)。

これらのベクトルは一次独立ですか、それとも一次従属ですか。

✅ 正解です! v₁ = 3·v₂ なので、自明でない解 c₁ = −1, c₂ = 3 があり、一次従属であることがわかります。

❌ 惜しい! 一方のベクトルが他方のスカラー倍になっていないか確かめましょう。

解答を見る

解答:

一方のベクトルが他方のスカラー倍になっていないか確かめます:

v1=(3,6)=3⋅(1,2)=3 v2\mathbf{v}_1 = (3, 6) = 3 \cdot (1, 2) = 3\,\mathbf{v}_2

したがって、次のように書けます:

(−1) v1+3 v2=(−3,−6)+(3,6)=(0,0)=0(-1)\,\mathbf{v}_1 + 3\,\mathbf{v}_2 = (-3, -6) + (3, 6) = (0, 0) = \mathbf{0}

これは自明でない解(c1=−1≠0c_1 = -1 \neq 0, c2=3≠0c_2 = 3 \neq 0)なので、ベクトルは一次従属です。

⚠️ 大きさが違っても、一次独立とは限りません。2本のベクトルで問題になるのは向きだけです。

問2

正しいか誤りか:組 {(1,3,5),  (2,−1,0),  (0,0,0)}\{(1, 3, 5),\; (2, -1, 0),\; (0, 0, 0)\} は一次独立である。

✅ 正解です! 零ベクトルを含む組は、自動的に一次従属です。零ベクトルには、いつでも 0 でない係数をつけられるからです。

❌ 惜しい! 零ベクトルに 0 でない係数をつけたらどうなるか、考えてみましょう。

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解答:

零ベクトルを含む組は、自動的に一次従属です。

零ベクトルには、いつでも 0 でない係数をつけられます:

0⋅v1+0⋅v2+7⋅0=00 \cdot \mathbf{v}_1 + 0 \cdot \mathbf{v}_2 + 7 \cdot \mathbf{0} = \mathbf{0}

係数 7≠07 \neq 0 があるので、これは自明でない解です。v1\mathbf{v}_1 と v2\mathbf{v}_2 が何であっても関係ありません。

答え:誤り。この組は一次従属です。

問3

4×44 \times 4 行列 AA(列は R4\mathbb{R}^4 の4本のベクトル)を行簡約したところ、すべての列がピボット列になりました。列ベクトルについて何がいえますか。

✅ 正解です! すべての列がピボット列なら自由変数は 0 個なので、零空間は自明で、ベクトルは一次独立です。

❌ 惜しい! 思い出しましょう:すべての列にピボット → 自由変数なし → 自明な解しか存在しない。

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解答:

行簡約による判定手順を使います:

  1. 行列 AA は 4×44 \times 4 です(4本のベクトルが R4\mathbb{R}^4 の中にあるので n=m=4n = m = 4)。
  2. 簡約行階段形まで行簡約します。
  3. すべての列がピボット列 ⇒\Rightarrow 4つの列にピボットが4個 ⇒\Rightarrow 自由変数は 0 個。

自由変数がないので、Ac=0A\mathbf{c} = \mathbf{0} の解は c=0\mathbf{c} = \mathbf{0}(自明な解)だけです。

Null⁡(A)={0}⟹一次独立\operatorname{Null}(A) = \{\mathbf{0}\} \quad \Longrightarrow \quad \text{一次独立}

ここでは、数え上げの議論(n>mn > m なら必ず一次従属)は使えません。n=mn = m だからです。

問4

5本のベクトルが R3\mathbb{R}^3 の中にあります。行簡約をまったくしないで、何がいえますか。

✅ 正解です! R³ の中の5本のベクトルなので、数え上げの議論(n > m)により一次従属が保証されます。自由変数が少なくとも2個は必ずあります。

❌ 惜しい! 数え上げの議論を考えましょう。ベクトルの本数が空間の次元より多いと、どうなるでしょうか。

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解答:

数え上げの議論を使います。n=5n = 5 本のベクトルが Rm\mathbb{R}^m の中にあり、m=3m = 3 です。

n>mn > m なので:

  • 行列 AA は 3×53 \times 5 です(3行5列)。
  • 行簡約で得られるピボットは多くても3個です(1行につき1個)。
  • したがって、少なくとも 5−3=25 - 3 = 2 個の列にはピボットがありません → 自由変数が少なくとも2個。
  • 自由変数があれば、Ac=0A\mathbf{c} = \mathbf{0} に自明でない解が生まれます。

n>m  ⟹  一次従属(確定)n > m \;\Longrightarrow\; \text{一次従属(確定)}

行簡約は必要ありません。空間の次元(m=3m = 3)が、一次独立になれるベクトルの本数に越えられない上限を決めているのです。

答え:ベクトルは一次従属です。数え上げの議論で保証されます。

正解数:0 / 4