線形代数 · 第9回 · 動画3 · インタラクティブ教材

次元定理:行列の列はピボット列と自由列にきっちり分かれる

I重要な公式

公式 名称 説明
rank(A)+nullity(A)=n\text{rank}(A) + \text{nullity}(A) = n 次元定理 ピボット列の数 + 自由列の数 = 列の総数
rank(A)=r\text{rank}(A) = r 階数(ランク) 行簡約したあとのピボットの位置の個数
nullity(A)=n−r\text{nullity}(A) = n - r 退化次数 自由変数の個数 = 零空間の次元
dim⁡(Col(A))=r\dim(\text{Col}(A)) = r 列空間の次元 つねに階数に等しい

II可視化1 — ピボット列と自由列

行簡約によって、AA の列は2種類に仕分けられます。C(A)C(A) の土台となるのはどの列で、すでにそれらの一次結合になっているのはどの列でしょうか?

行列 A · 列をクリック

ピボット列 → C(A) の基底 自由列 → ピボット列の一次結合

簡約行階段形 R · 係数を読み取る

💡 C(A)C(A) の基底になるのは、RR ではなく元の AA のピボット列です。行簡約はどの列が従属かという関係は保ちますが、列ベクトルそのものは変えてしまいます。

III可視化2 — 列が側を移る

tt を動かして A=[12324t]A=\begin{bmatrix}1&2&3\\2&4&t\end{bmatrix} の2つの行を従属にすると、ピボットを失うのはどの列でしょうか? そして、その列はどちらの側に移るでしょうか?

行列 A → 階段形 U

R₂ ← R₂ − 2R₁ のあと

3つの列

IV可視化3 — 四つの基本部分空間

階数 rr が決まると、四つの基本部分空間がすべて一度に決まります。では、残りの次元はどこへ行くのでしょうか?

💡 列空間と行空間の次元は、つねに同じ rr です。列の階数と行の階数が等しいからこそ、「階数」がただ一つに定まる数になるのです。

V確認クイズ

問1 · 基本の適用

行列 AA は 3×53 \times 5(3行5列)で、階数は 3 です。AA の退化次数はいくつでしょうか?

✅ 正解です! 退化次数 = n − 階数 = 5 − 3 = 2 です。

❌ 惜しい! 退化次数 = n − 階数 で、n は(行ではなく)列の数です。

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解答:

次元定理より rank(A)+nullity(A)=n\text{rank}(A) + \text{nullity}(A) = n 3+nullity(A)=53 + \text{nullity}(A) = 5 nullity(A)=5−3=2\text{nullity}(A) = 5 - 3 = 2

退化次数は 2 です。つまり零空間は 2 次元です(行簡約のあと、自由変数が 2 つあります)。

問2 · よくある落とし穴

行列 AA を行簡約すると、階段形の1列目と2列目にピボットがありました。AA の列空間の基底を求めるには、どの列を使えばよいでしょうか?

✅ 正解です! 基底ベクトルは必ず元の行列から取ります。行簡約が教えてくれるのは、どの列を選ぶかだけです。

❌ 惜しい! 行基本変形は列ベクトルそのものを変えてしまいます。どの列を選ぶかは階段形が教えてくれますが、実際のベクトルは元の行列から取らなければなりません。

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解答:

行簡約でわかるのはどの列がピボット列かということです。その列は、階段形からではなく元の行列 AA から取らなければなりません。

行基本変形は列どうしの依存関係(どの列がほかの列の一次結合になっているか)を保ちますが、列ベクトルそのものは変えてしまいます。階段形の列が張る部分空間は、元の列が張る部分空間とは別物です。

答え:元の行列 AA の1列目と2列目です。

問3 · 複数ステップの推論

動画に出てきた次の行列を考えます。 A=[123111211231]A = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 & 1 \\ 1 & 1 & 2 & 1 \\ 1 & 2 & 3 & 1 \end{bmatrix}

その階段形は [12310−1−100000]\begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 & 1 \\ 0 & -1 & -1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{bmatrix} です。この行列の特殊解(零空間の基底ベクトル)はいくつあるでしょうか?

✅ 正解です! 自由変数が 2 つ(3列目と4列目)あるので、特殊解はちょうど 2 つです。この 2 つが零空間の基底になります。

❌ 惜しい! ピボットのない列を数えましょう。そうした列はそれぞれ自由変数に対応し、特殊解をちょうど 1 つ生みます。

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解答:

階段形からピボットを見つけます。

  • 1列目のピボット(1行目の 1)
  • 2列目のピボット(2行目の −1)

したがって rank=2\text{rank} = 2 で、自由列は n−r=4−2=2n - r = 4 - 2 = 2 本(3列目と4列目)です。

自由変数 1 つにつき、特殊解がちょうど 1 つ得られます。

  • x3=1,x4=0x_3 = 1, x_4 = 0 とおき、後退代入すると s1=(−1,−1,1,0)\mathbf{s}_1 = (-1, -1, 1, 0)
  • x3=0,x4=1x_3 = 0, x_4 = 1 とおき、後退代入すると s2=(−1,0,0,1)\mathbf{s}_2 = (-1, 0, 0, 1)

答え:2 つ。特殊解は自由変数 1 つにつき 1 つです。

問4 · 概念の理解

正しいか誤りか:4×64 \times 6 行列の退化次数が 0 になることがある。

✅ 正解です! 4×6 行列の階数は高々 4 なので、退化次数 ≥ 6 − 4 = 2 です。零空間は少なくとも 2 次元になります。

❌ 惜しい! 階数の最大値を考えましょう。4行しかない行列に、ピボットが本当に 6 個もありうるでしょうか? 階数 ≤ min(m, n) です。

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解答:

退化次数 = 0 だとすると、次元定理より rank(A)+0=6  ⟹  rank(A)=6\text{rank}(A) + 0 = 6 \implies \text{rank}(A) = 6

ところが rank(A)≤min⁡(m,n)=min⁡(4,6)=4\text{rank}(A) \leq \min(m, n) = \min(4, 6) = 4 です。4行しかない行列のピボットは高々 4 個です。

したがって rank(A)=6\text{rank}(A) = 6 はありえず、退化次数 = 0 もありえません。実際、 nullity(A)=6−rank(A)≥6−4=2\text{nullity}(A) = 6 - \text{rank}(A) \geq 6 - 4 = 2

4×64 \times 6 行列の退化次数は、つねに ≥2\geq 2 です。

答え:誤り

正解数:0 / 4