一変数の微積分 · 第1回 · 動画1 · インタラクティブ教材

微分係数とは何か:接線の傾きとして定義する

I重要な公式

公式名称説明
y−y0=m(x−x0)y - y_0 = m(x - x_0)点と傾きによる直線の方程式PP を通る直線 — mm ごとに1本ずつ
y0=f(x0)y_0 = f(x_0)1つ目の情報 — 点値を計算するだけ。微積分は不要
m=f′(x0)m = f'(x_0)2つ目の情報 — 微分係数PP における接線の傾き
y=f(x0)+f′(x0)(x−x0)y = f(x_0) + f'(x_0)(x - x_0)PP における接線2つの情報を組み合わせたもの

ポイント:f′(x0)f'(x_0) は、公式や規則、手順としてではなく、幾何学的な量、つまりある特定の1本の直線の傾きとして定義されています。その数に名前をつけることは、それを計算することとは違います。

II可視化1 — PP を通るどの直線が接線か?

傾き mm を1つ決めるごとに、PP を通る直線が1本決まります。そのうち接線はちょうど1本だけです。

III可視化2 — 2つの情報

PP における接線に必要な数はちょうど2つです。そして、その2つはまったく別の世界からやってきます。

1つ目の情報 — 点

2つ目の情報 — 傾き

組み立てた直線の方程式

IV可視化3 — 「曲線に合う」とはどういうことか

PP のまわりを拡大してみましょう。曲線にぴったり貼りついたままなのは接線だけです。

💡 この定義は数 m=f′(x0)m = f'(x_0) に名前をつけますが、その値を作り出す手順は何も与えてくれません。定義はアルゴリズムではないのです。この隔たりを埋めることが、第1回の残りの課題です。

V確認クイズ

問1 · 接線を組み立てる

条件:f(4)=3f(4) = 3、f′(4)=−2f'(4) = -2 のとき、x0=4x_0 = 4 における y=f(x)y = f(x) の接線を求めてください。

✅ 正解です!点と傾きによる直線の方程式 y−3=−2(x−4)y - 3 = -2(x - 4) を展開すると y=−2x+11y = -2x + 11 です。−2(4)+11=3-2(4) + 11 = 3 なので、この直線は P=(4,3)P = (4, 3) を通ります。
❌ 2つの情報が入れ替わっています。f(4)=3f(4) = 3 は PP の高さ、f′(4)=−2f'(4) = -2 は傾きです。この式では役割が逆になっています。
❌ 惜しい — y0y_0 を yy 切片として扱っています。33 は x=0x = 0 ではなく x0=4x_0 = 4 での高さです。−2(4)+3=−5≠3-2(4) + 3 = -5 \ne 3 となります。
❌ かっこを外すときに符号を間違えています。y−3=−2(x−4)y - 3 = -2(x - 4) からは y=−2x+8+3y = -2x + 8 + 3 が得られます。88 の符号を誤ると −2x−8+3=−2x−5-2x - 8 + 3 = -2x - 5 となり、この直線は (4,−13)(4, -13) を通ってしまいます。
❌ 惜しい!選んだ直線に x=4x = 4 を代入してみてください。結果は f(4)=3f(4) = 3 にならなければいけません。
解答を見る

接線に必要なのは点と傾きで、どちらも与えられています。

y0=f(4)=3,m=f′(4)=−2y_0 = f(4) = 3, \qquad m = f'(4) = -2

点と傾きによる直線の方程式に代入します。

y−3=−2(x−4)y - 3 = -2(x - 4) y−3=−2x+8y - 3 = -2x + 8 y=−2x+11y = -2x + 11

検算:x=4x = 4 のとき  −2(4)+11=3=f(4)\ -2(4) + 11 = 3 = f(4) ✓ です。この直線は傾き −2-2 で P=(4,3)P = (4, 3) を通ります。

問2 · 直線から2つの情報を読み取る

条件:x0=5x_0 = 5 における y=f(x)y = f(x) の接線が y=−x+9y = -x + 9 のとき、f(5)f(5) と f′(5)f'(5) を求めてください。

f(5)f(5) はいくつですか?

f′(5)f'(5) はいくつですか?

✅ 正解です!接線は PP で曲線に接するので、そこでの高さは f(5)=4f(5) = 4 です。そして接線の傾きこそが微分係数 f′(5)=−1f'(5) = -1 です。
❌ 高さを確かめてください。接線は P=(5,f(5))P = (5, f(5)) で曲線と出会うので、直線の値は x=0x = 0 ではなく x=5x = 5 で計算します。
❌ それは高さではなく傾きです。−1-1 は直線の式の xx の係数で、f′(5)f'(5) のほうです。f(5)f(5) は x=5x = 5 の位置で直線がどれだけの高さにあるかを表します。
❌ それは f(5)f(5) ではなく x0x_0 です。55 は直線に入れる入力で、f(5)f(5) はそこから返ってくる出力です。
❌ 傾きを確かめてください。y=mx+by = mx + b の形に書いたとき、xx の係数が傾きです。そしてその傾きが、x0x_0 における微分係数です。
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点。接線はグラフに PP で接するので、直線と曲線はそこで同じ高さをもちます。

f(5)=−(5)+9=4f(5) = -(5) + 9 = 4

傾き。この直線はすでに傾きと切片の形 y=mx+by = mx + b になっていて、m=−1m = -1 です。微分係数はこの接線の傾きとして定義されているので、

f′(5)=−1f'(5) = -1

したがって P=(5,4)P = (5, 4) で、曲線はそこで下がっています。数 99 は接線の yy 切片、つまり x=0x = 0 での高さにすぎず、x0=5x_0 = 5 での ff については何も教えてくれません。

問3 · 接線を点から離れてたどる

条件:f(3)=4f(3) = 4、f′(3)=−2f'(3) = -2 のとき、x=5x = 5 での接線の高さを求めてください。

✅ 正解です!P=(3,4)P = (3, 4) から右へ 22 進むと、傾き −2-2 により直線は 44 だけ下がります。4−4=04 - 4 = 0 です。
❌ 惜しい — 横に1単位しか進んでいません。x0=3x_0 = 3 から x=5x = 5 までの横の進みは 11 ではなく x−x0=2x - x_0 = 2 です。
❌ 式から x0x_0 が抜け落ちています。傾きをかける相手は x=5x = 5 ではなく x−x0=5−3x - x_0 = 5 - 3 です。y0y_0 は切片ではなく、x0x_0 での高さです。
❌ 符号を確かめてください。傾きが −2-2 なら、xx が増えると直線は下がります。ですから x=5x = 5 での高さは 44 より低いはずです。
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ステップ1 — 直線を組み立てる。y0=f(3)=4y_0 = f(3) = 4、m=f′(3)=−2m = f'(3) = -2 より

y=4−2(x−3)y = 4 - 2(x - 3)

ステップ2 — x=5x = 5 での値を計算する。

y=4−2(5−3)=4−4=0y = 4 - 2(5 - 3) = 4 - 4 = 0

先に展開しても同じ結果になります。y=−2x+10y = -2x + 10 で、−2(5)+10=0-2(5) + 10 = 0 ✓ です。

注意:00 は x=5x = 5 での接線の高さであって、f(5)f(5) ではありません。接線が曲線と一致することが保証されているのは x0=3x_0 = 3 だけです。PP から離れると、曲線は自由に直線からそれていきます。

問4 · 山の頂上での微分係数

条件:上の可視化の曲線 y=f(x)y = f(x) は x0=2.20x_0 = 2.20 で山の頂上に達し、その高さは f(2.20)=3.38f(2.20) = 3.38 です。f′(2.20)f'(2.20) を求めてください。

✅ 正解です!山の頂上では接線は水平で、水平な直線の傾きは 00 です。ですから、そこでの微分係数は 00 です。
❌ それは f′(2.20)f'(2.20) ではなく f(2.20)f(2.20) です。点の高さと、その点での接線の傾きは、別々の2つの数です。
❌ それは入力の x0x_0 です。2.202.20 は微分係数をどこで求めるかを表します。f′(2.20)f'(2.20) は、そこでの接線の傾きです。
❌ 惜しい!なめらかな山の頂上では何も壊れません。そこには接線があり、その傾きは図からそのまま読み取れます。
❌ 惜しい!微分係数はその点での接線の傾きです。なめらかな山のてっぺんで、接線がどうなっているかを考えてみてください。
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定義をそのまま使います。f′(2.20)f'(2.20) とは、P=(2.20, 3.38)P = (2.20,\ 3.38) における y=f(x)y = f(x) の接線の傾きそのものです。

なめらかな山の頂上では、曲線は上りを終え、まだ下り始めていません。ですから、そこでの接線は水平です。

m=f′(2.20)=0m = f'(2.20) = 0

接線そのものは y=3.38+0⋅(x−2.20)y = 3.38 + 0 \cdot (x - 2.20)、つまり y=3.38y = 3.38 です。

よくある落とし穴:3.383.38 は「どれだけ高いか」(1つ目の情報、値の計算)に答え、00 は「どれだけ急か」(2つ目の情報、微分係数)に答えます。同じ点についての、別々の数です。

正解数:0 / 4